院長ブログ
フェイスラインや口元のバランスを整えるために選ばれる「骨切り手術」。
顔の骨を動かす以上、避けて通れないのが「ダウンタイム」です。
この記事では、実際の症例に基づいて、術後の腫れやむくみの変化を術後1週間・1か月・3か月・半年のスパンで詳しくご紹介します。 また、ダウンタイム中の過ごし方や注意点についても医師の視点から解説します。
目次
骨切り手術とは?目的と種類
「骨切り手術」とは、顔の骨格を整えるために、下顎・上顎・オトガイ(あご先)などの骨を切り、適切な位置に再配置する手術です。 フェイスラインをシャープに整えたり、受け口・しゃくれ・口元の突出感など、輪郭に関する悩みを根本から改善するために行われます。
美容目的で多く選ばれるのが、以下のような術式です:
- 両顎手術
- Vライン形成
- 頬骨骨切り術
- オトガイ形成術
- 輪郭3点
これらの手術は、複数を組み合わせて行うことも多く、骨格全体の調和を図ることで、より自然で理想的なフェイスラインを目指します
症例紹介|患者の主訴と医師の診断
今回ご紹介するのは、フェイスラインや口元のバランスにお悩みを抱えて来院された患者様の症例です。
主訴(患者の訴え)
- 上あごが後ろにあり、下あごが前に出ているように見える「受け口の印象」を改善したい
- フェイスラインをVラインでシャープに整えたい
- 中顔面がフラットで、のっぺりとした印象を変えたい
- 口元の前方への突出が気になる
- 横顔をすっきりと見せて、Eラインを整えたい
宮﨑医師の見解(診察所見と判断)
診察させていただいたところ、まず全体的にお顔の印象がややフラットで、中顔面の立体感に乏しい印象がありました。上顎が少し後方に下がり、下顎が前に出ているため、正面から見ても横顔から見ても軽度の「受け口のような印象」に見受けられました。
また、輪郭が丸く見えやすく、フェイスラインのシャープさが出にくい輪郭でした。
噛み合わせ自体には大きな問題は見られませんでしたが、下顎の突出感や輪郭全体の印象を改善するには、骨格レベルでのアプローチが必要だと判断しました。
具体的には、下顎の骨を後方に調整することで口元の立体感を整え、同時に顎先を前に出すことでフェイスラインの引き締まりを作る方針です。 さらに、頬〜顎下にかけての皮下脂肪を吸引することで、引き締め効果の期待と骨格の変化をより明瞭に見せることができると考えました。
行った手術
- 両顎手術
- 頬下〜顎下の脂肪吸引
このように、骨格と脂肪の両側面にアプローチすることで、立体感のある、自然でバランスの取れたフェイスラインへと導きました。
ダウンタイムの経過
術前(正面・横顔)
- 顔全体が平坦な印象で、下顎がやや前に出ている
- 口角がやや下がり、下唇のボリュームがやや大きめの口元
術前(正面・横顔)
術前の横顔写真。下顎の前方突出と皮下脂肪により、輪郭が丸く見える状態。 術後1週間(正面・横顔)
- むくみが強く、輪郭はまだ丸い印象
- 唇や口元の腫れは比較的少なめ
- 顎先や顎下に内出血の色味があり、黄色味を帯びて見える
術後1週間。Vラインはまだ不明瞭で、骨切り手術と脂肪吸引による腫れが最も目立つ時期です。 ダウンタイム初期で腫れ・色味が目立ちます。 術後1か月(正面・横顔)
- 顔全体の腫れはかなり引いてきている
- 顎下や顎先周辺にはまだ軽度のむくみが残る
- 内出血の色味はほぼ消失
むくみが軽減し、フェイスラインが少しずつ整い始めた状態です。 Vラインと顎の位置が改善し、下顎の前突感が改善しました。 術後3か月(正面・横顔)
- 輪郭の引き締まりが進み、Vラインが明確に見え始める
- 脂肪吸引を行った部分の硬さやつっぱり感も徐々に和らいでくる
- 顎下〜首元のラインもすっきりしてくる
フェイスラインがはっきりと現れ、小顔効果が感じられる時期です。 受け口の印象が薄れ、横顔が整ってきた状態です。 術後半年(正面・横顔)
- 外見上は完全に腫れが落ち着いた状態
- シャープで整ったVラインのフェイスラインに仕上がっている
- 首元から顎にかけて自然なラインが完成
自然なVラインに仕上がっています。 骨格と脂肪のバランスが整い、横顔がナチュラルに。 術前〜6か月後のビフォーアフター
フェイスラインや横顔の変化を、術前から術後6か月まで比較した画像です。
👉 詳しくはYouTubeで症例解説動画をご覧ください。実際の写真とともに詳しくご説明しています。
術後のフェイスバンド固定は必要?
以前は、術後の腫れを抑える目的でフェイスバンドや圧迫テープによる固定を行っていました。しかし、現在当院では一切のフェイスバンド・テーピングによる固定を行っていません。
その背景には、台湾の著名な骨格形成の専門医(骨切りのレジェンド)からの助言がありました。
「バンドによる圧迫で顔が腫れた際、腫れが内部に拡がると気道閉塞のリスクがある。またテープによる皮膚トラブルも回避しなければならい。固定によるトラブルが起こる前に、自然な回復に任せるべきだ」との考えを受け、当院でも固定を廃止しました。
実際の経過から見えた変化
フェイスバンドを使用していた頃と、使用をやめた現在を比べると、ダウンタイムの経過に明確な差はありませんでした。
- バンド装着によるストレスや睡眠障害の軽減
- 食事や会話のしやすさ向上
- 圧迫による皮膚トラブルの回避 といった面で、固定しないほうが総合的に回復がスムーズであることが分かってきました。
そのため、現在はフェイスバンドやテープを使わず、腫れやむくみの自然な経過に任せる方式を採用しています。
骨切り手術のダウンタイム対策
骨切り手術後の腫れやむくみは、過ごし方によって回復速度に大きく差が出ます。 特に術後1週間は、以下のポイントに注意しましょう。
長時間の就寝はむくみの原因に
顔が心臓と同じ高さにある時間が長いと、どうしてもむくみやすくなります。 夜はしっかり休みつつも、昼間はなるべく座って過ごす時間や軽い散歩をすることにより、腫れの引きも早くなります。
食事は栄養バランスを意識
術後は組織がダメージを受けているため、水分と栄養がしっかりとれる食事が重要です。 しっかり噛む必要のない、柔らかいタンパク質やビタミンを意識しましょう。
術後3〜7日目の行動がカギ
寝たきりで過ごす方は、腫れや内出血が長引く傾向があります。 痛みやだるさがある中でも、日中はしっかり体を起こすことが、むくみを和らげるコツです。普段の生活リズムに早く戻すことで、回復も早まります。
よくある質問(FAQ)
Q. 骨切りのダウンタイムはどれくらいで落ち着きますか? → 個人差はありますが、1ヶ月で日常生活に支障ない程度まで回復し、3ヶ月でかなり落ち着いた印象になります。
Q. 術後いつから仕事に復帰できますか? → デスクワークであれば、術後4〜5日目から復帰する方もいます。ただし腫れやむくみが目立つ時期なので、在宅勤務やマスク使用の工夫をおすすめします。
Q. フェイスバンドを使わないと腫れが引かないのでは? → 実際に比較したところ、固定の有無で腫れの引き方に大きな違いは見られませんでした。 むしろ、ストレス軽減や回復のスムーズさからも、現在はフェイスバンド不使用を推奨しています。
骨切り手術をご検討の方へ
骨切り手術は、外見の印象を大きく左右する分、術後のダウンタイムやリスクも伴います。 だからこそ、正しい診断と丁寧な術後管理ができる医師を選ぶことがとても重要です。
当院では、患者さま一人ひとりのお悩みに寄り添い、骨格・筋肉・脂肪・皮膚のバランスを踏まえた最適な施術プランをご提案しています。
「どのくらい腫れる?」「仕事復帰は?」といった疑問にも、カウンセリング時にしっかりご説明しますので、 気になる方はお気軽にご相談ください。
👉 詳しくはYouTubeで症例解説動画をご覧ください。
👉 輪郭形成の施術一覧はこちら
監修者情報

宮﨑 邦夫
リノクリニック東銀座 院長【資格・所属学会】
日本外科学会専門医 / 日本外科学会会員 / 日本形成外科学会会員 / 日本頭蓋顎顔面外科学会会員 / 日本美容外科学会会員
消化器外科・心臓血管外科・呼吸器外科・小児外科など外科研修ののち、外科専門医を取得。その後、形成外科で6年、美容外科で7年実績を積み、リノクリニック東銀座を開業、院長を務める。美容外科の技術は韓国や台湾、アメリカなどへ出向き、良質な技術を取り入れて日々の診療に生かしている。 2014年から在籍していた湘南美容クリニックでは指導医として若手美容外科医の教育にも尽力し、同院で行われた美容外科コンテストで2年連続ではグランプリを獲得。次の東京美容外科では骨切りメニューの立ち上げを行い、スタッフ教育にも尽力した。
監修日:2025.07.16