院長ブログ
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輪郭整形後の感染トラブルに注意
韓国での輪郭整形を受ける方もいる中で、帰国後に術後感染などのトラブルが発生するケースも少なくありません。特に感染は、日本へ帰国してから症状が出ることもあり、発見や判断が遅れがちですが、早期対応が悪化を防ぐカギになります。
本記事では、実際にご相談いただいた事例をもとに、韓国整形後の術後感染について、原因・治療法・再発防止策を専門的に解説します。
骨切り後の感染時期と症状
なぜ帰国後に感染が発覚するのか
輪郭整形後の感染は、手術直後ではなく、1週間程度経過した後に発症することもあります。
韓国で手術を終えてから約1週間ほど滞在し帰国した後に、痛みや腫れ、膿などの症状が出てくるケースがあり、帰国後に感染が発覚するのは珍しくありません。実際に相談を受けた事例は術後3日目には感染と診断されていましたが、帰国日が迫りある程度の処置と抗生剤の内服で帰国せざるを得なかった状態でした。
すぐに受診すべき症状とは
- 日本へ帰国してから、以下のような症状がある場合は、なるべく早めに医療機関を受診する必要があります。
- 手術部位がジクジクとしている
- 赤み・腫れ・熱感が強い
- 手術部位(傷口)から酸味や苦味のある膿や異臭がする
- 手術した部位にに痛みがある
- 食事や会話などの日常生活で違和感や痛みが増している
これらの症状がある方は、感染の兆候である可能性があります。
放置すると悪化し、再手術が必要になることもあるため、早めの受診が重要です。
万が一、こうした症状がある場合は、韓国で手術を受けたクリニックへの相談も忘れずに行いましょう。
感染の原因と治療法
日本で手術をしても、韓国で手術をしても、感染のリスクはゼロではありません。では、なぜ感染をしてしまうのでしょうか。その理由として、以下のような原因が考えられます。
傷口からの感染:縫合不全や表皮トラブルによるもの
傷口の縫合が不完全だったり、傷口が清潔に保たれていない場合、皮膚バリアが弱まり、細菌が侵入しやすくなります。傷口からジュクジュクした分泌液が多かったり、赤みや腫れが長引く場合は、感染の兆候として早めに医師の診察を受けることが重要です。
プレートや吸収糸:異物反応による慢性炎症
骨切り手術では、骨を固定するプレートや閉創時に吸収糸が使用されます。これらが体にとって“異物”と判断され、体が過剰に反応すると炎症や感染の原因になる場合があります。また、血流の悪い組織があったり、スペースがあったりすると、その部位に細菌が繁殖して、プレート感染を引き起こす場合があります。
なお、骨切りプレートに関しては、私の見解としては基本的に除去の必要はないと考えていますが、感染が発生した場合には、プレート除去を検討することが重要です。
当院では、韓国で扱われているプレートのドライバーがあるため、韓国で行った治療のプレート抜去も可能です。
また、吸収糸による感染は「縫合糸膿瘍」と呼ばれ、糸に対する異物反応によって膿がたまる状態です。この場合には、原因となる糸を抜去する処置が必要になります。韓国では抜糸前提で非吸収糸を使用することがあるので、感染があった場合は適した時期に抜糸が必要になります。
また虫歯や歯石など口腔内環境が悪くても感染のリスクが高まります。
骨切り手術後のプレートは外すべき?チタンの安全性とプレート除去が必要なケース【専門医が解説】
親知らずや骨片:残存異物が引き起こすケース
親知らずが適切に処置されていなかったり、削られて骨片が残っている場合も、感染源となることがあります。こうした状態はCT撮影や口腔内の診察で確認されることが多く、放置すると感染が慢性化するリスクもあります。
感染の種類と原因・対応方法
感染の種類 | 主な原因 | 対応方法 |
---|---|---|
傷口からの感染 | 縫合不全、清潔保持が不十分 | 傷の洗浄、抗生剤投与、経過観察 |
プレートによる感染 | 傷口からの細菌の侵入、異物反応 | 抗生剤、洗浄、基本的に除去 |
縫合糸膿瘍 | 吸収糸への異物反応 | 吸収糸の抜去処置 |
親知らず・骨片の残存 | 不完全な処置・骨片の残存 | CT・診察による確認、外科的除去 |
これらの原因を見極めたうえで、適切な治療計画を立てることが重要です。
まずは原因を探し、異物除去と抗生剤内服が基本になる理由
感染が起きた場合、まずは感染源がどこにあるのかを見極め、それに応じた治療が必要です。
治療は抗生剤の内服や点滴、洗浄、必要に応じてプレート除去や異物抜去の検討が並行して行われます。
たとえば、異物反応が疑われる場合はプレートや吸収糸の除去を検討し、傷口の感染であれば洗浄や抗生剤の投与が中心になります。
また、口腔内の衛生状態が悪い場合には、歯磨きや口腔洗浄といった口腔ケアも重要な治療の一部です。
このように感染源を明らかにし、取り除くことが治療の基本となります。これらの対応は、抗生剤を内服しながら次の治療計画を立てていきます。
感染トラブルへの対応方針
韓国整形後でも対応可能な処置とは
術後1週間以内であれば、韓国に滞在している場合があるため、現地で治療する流れになることが一般的です。 しかし、仕事の都合で日本へ帰国しなければならない方や、すでに帰国していて韓国で治療を続けたくてもホテル代や飛行機代などのコスト面から現地滞在が難しい方もいます。 そのため、韓国での治療が難しい場合には、まずは近隣の医療機関や当院にご相談ください。
リノクリニックでは、韓国で手術を受けた患者さまの感染処置にも対応しています。具体的には、傷の洗浄、膿の排出、軽度な異物の除去など、応急的かつ必要な処置を実施しています。なお、感染の状態や原因は患者さまごとに異なるため、費用や治療期間については診察を行ったうえでのご案内となります。まずはお気軽にご相談ください。
再発を防ぐには?専門医が語る注意点
「治ったように見える」ことの落とし穴
感染が一時的に治まると「完治した」と誤解されやすいですが、根本原因が体内に感染したプレートが残っていれば再発のリスクは高まります。患者様がご自身で判断しないことも大切です。
抗生剤の中止判断と再手術の必要性
抗生剤は永遠に飲み続けるわけにはいきません。医師と相談し、感染源を取り除く必要がある場合は、再手術を含めた治療計画を立てる必要があります。
感染源を取り除かない限り再発は避けられない
抗生剤を続けても、異物や炎症部位が残っていれば感染が再発する可能性があります。
韓国整形前に考えておきたい大切なポイント
渡航整形のリスクと自己責任
韓国で整形を考える際は、術後に何かトラブルが起きた場合に、再度韓国に飛んで治療を受ける必要がある可能性も考慮しておくことが大切です。そのため、体調やスケジュール、経済的な余裕を含めた備えが重要です。
帰国後のフォロー体制は事前に確認を
術後に何か問題が起きたとき、日本国内でどこに相談できるのかを事前に調べておくことが安心材料となります。対応可能なクリニックのリストアップや、LINEでの相談体制の有無などもチェックしておきましょう。
トラブル時の対応先を国内で確保しておく
万が一に備えて、日本国内で診察・処置をしてくれるクリニックを確保しておくことで、不安を軽減できます。術後の安心感につながるだけでなく、トラブルの早期対応にもつながります。
まとめ
韓国での輪郭整形は選択肢として有効ですが、術後感染のリスクについて正しく理解し、備えることが不可欠です。特に帰国後に発症する感染は見逃されがちで、対応の遅れが悪化につながる恐れがあります。
リノクリニック東銀座では、海外整形後の感染対応やプレート除去、応急処置も含めた診察を行っています。少しでも違和感を感じた場合は、迷わず当院にご相談ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. 帰国後、感染かどうか自分で判断できる方法はありますか?
A. 痛みがある、腫れてきた、膿が出ている、赤みがあるなどは感染の可能性があります。
ダウンタイムなのか、感染なのかは判断が難しいため、早めの受診をおすすめします。
特に腫れ方に左右差がある場合も感染が疑わしです。
Q2. 韓国で手術を受けたのですが、リノクリニックで対応してもらえますか?
A. はい、当院では韓国整形後の術後感染にも対応しています。お気軽にご相談ください。
Q3. プレートを外した方がいいか迷っています。相談可能ですか?
A. ご相談可能です。プレートが入っていて不安な方も一度ご相談ください。
監修者情報

宮﨑 邦夫
リノクリニック東銀座 院長【資格・所属学会】
日本外科学会専門医 / 日本外科学会会員 / 日本形成外科学会会員 / 日本頭蓋顎顔面外科学会会員 / 日本美容外科学会会員
消化器外科・心臓血管外科・呼吸器外科・小児外科など外科研修ののち、外科専門医を取得。その後、形成外科で6年、美容外科で7年実績を積み、リノクリニック東銀座を開業、院長を務める。美容外科の技術は韓国や台湾、アメリカなどへ出向き、良質な技術を取り入れて日々の診療に生かしている。 2014年から在籍していた湘南美容クリニックでは指導医として若手美容外科医の教育にも尽力し、同院で行われた美容外科コンテストで2年連続ではグランプリを獲得。次の東京美容外科では骨切りメニューの立ち上げを行い、スタッフ教育にも尽力した。
監修日:2025.07.13