院長コラム
目次
人中が長いとは?顔の印象との関係
「人中(じんちゅう)」とは、鼻の下から上唇の間にある縦の溝を指します。
美容医療では「人中が長い」ことを気にする方が多く、特に若々しい印象や小顔効果を重視する方にとって重要な部位です。
人中が長いと顔の下半分が間延びし、老けた印象や「間のび顔」と呼ばれる雰囲気を与えることがあります。実際、当院でも「写真で笑ったときに人中の長さが気になる」「年齢を重ねるうちに、鼻の下の長さが気になる」というご相談を多くいただきます。
人中が長いとは?長さの目安
一般的には、女性で 1.5cm前後、男性で 2.0cm前後 がバランスの良い人中の長さとされています。
2cmを超えると男女ともに“人中が長い”と見られやすく、顔全体が間延びした印象を与える原因となります。
人中の測り方
人中の長さは次のように測ることができます。
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鏡の前で顔を自然に正面に向ける
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鼻の下のくぼみ(鼻柱基部)から、上唇の赤い部分が始まるラインまでを測る
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定規やノギスを使うと正確に測れるが、柔らかいメジャーでも目安はつかめる
この測り方で 2cm以上 ある場合、人中が長いと判断されやすくなります。
人中が長い原因
骨格の影響(骨切り視点)
上顎の突出や下顎の後退など、骨格のアンバランスが人中の長さに直結します。
骨格性の場合、皮膚を短縮する手術だけでは根本解決にならないことが多く、当院では骨切りによる改善を提案することがあります。
加齢による変化
加齢によって口周囲の皮膚や筋肉が緩むと、人中が伸びたように見えます。皮膚の弾力が失われ、リップラインも下がるため、鼻下から上唇までの距離が長くなります。
いわゆる「おばあちゃんの口もと」のように、間延びした印象を与えることもあり、その原因の一つが人中の長さにあるケースも少なくありません。
唇の厚みや歯並び
唇が薄い方は人中が強調されやすく、逆に厚みのある唇は人中を短く見せる効果があります。また、歯列が突出している場合には唇が押し出され、人中が短く見える一方、歯列後退では長く見える傾向があります。
遺伝や顔のタイプ
丸顔・面長・卵型など顔のタイプによって、人中の長さが与える印象は異なります。特に面長タイプの方は人中の長さがより目立ちやすくなります。
人中が長いことによるデメリット
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顔が間延びして見える
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若々しさや小顔感が損なわれる
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笑顔が不自然に見えることがある
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横顔のEラインが崩れる
このため「人中を短く見せたい」という希望は、美容医療相談の中でも特に多いものの一つです。
人中の長さと世界の基準
人中の理想的な長さには、文化や時代による違いもあります。
日本人・アジア人における美意識
日本や韓国、中国などのアジア圏では、顔の下半分を短く見せることが若々しさや小顔の条件とされています。
特に「童顔」「若見え」が美の基準として重視されるため、人中が短い=可愛らしい印象と捉えられる傾向があります。
西洋との比較
西洋では、鼻・口・顎のバランスが重視され、必ずしも人中の短さは「美」の絶対条件ではありません。
むしろ成熟した顔立ちや、リップラインのボリュームによってバランスを取ることが多く、人中が多少長くても魅力的とされるケースもあります。
流行の変化とSNSの影響
近年はSNSの普及により、アジア全体で「顔の黄金比」や「韓国アイドル顔」が注目され、人中短縮=美人・可愛いの条件として広く認識されるようになってきました。
TikTokやInstagramで「人中短縮メイク」や「リップで人中を短く見せるテクニック」が流行しているのもその影響です。
人中を短く見せる治療法
人中短縮術(リップリフト)
鼻の下から皮膚を切除して距離を短くする直接的な方法です。
ただし、骨格に原因がある場合は根本改善につながらないため、注意が必要です。
メリット:人中の短縮が期待できる。
デメリット:鼻の下に傷跡が残るリスクがある。
実際に他院で人中短縮を受けられた方から、**「傷跡が気になる」「つっぱり感がある」「左右差が目立つ」といったご相談をいただくことがあります。
形成外科の経験が豊富な医師であれば、傷跡を最小限に抑える工夫が可能ですが、体質や瘢痕の出方には個人差があります。
ヒアルロン酸注入
上唇にボリュームを出し、人中を短く見せる方法です。
メリット:ダウンタイムが短い、施術が手軽
デメリット:効果が一時的で、定期的な注入が必要
ボトックス注射
口輪筋にボトックスを注入し、上唇を軽く持ち上げることで人中を短く見せます。
効果は数ヶ月ですが、ナチュラルな変化を希望する方に向いています。
骨切りによる根本的改善
骨格に原因がある場合には、骨切りによるアプローチが有効な場合もあります。
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上顎セットバック術:上顎を後方へ下げ、人中の距離を自然に短縮
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下顎移動術:下顎を前方へ出すことでバランス改善
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輪郭3点手術(エラ・頬骨・オトガイ形成):人中だけでなく顔全体の調和を整える
皮膚を切るだけでは得られない「骨格レベルの調和」が得られるのが骨切りの最大の特徴です。
骨切りで人中が短く見える仕組み
例えば、上顎が前方に突出していると人中は必ず長く見えます。このケースで人中短縮術を行っても、根本的には解決しません。
一方で、骨切りで上顎を後方へ移動すると、人中は皮膚を切らずとも短く見えるようになります。
このアプローチは形成外科と美容外科の両分野を熟知した医師だからこそ可能であり、小顔治療や顔全体の美的バランス改善にも直結します。
ダウンタイムと副作用
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人中短縮術:腫れは1〜2週間、傷跡は数ヶ月で落ち着く
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ヒアルロン酸・ボトックス:腫れや内出血は数日、効果は数ヶ月〜1年
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骨切り:腫れ・内出血は数週間〜数ヶ月。ダウンタイムは長いが、根本改善が可能
外科的リスク(感染・しびれなど)はゼロではありませんが、形成外科専門医の管理下であれば最小限に抑えられます。
セルフケアや日常生活での対策
美容医療を受ける前にできる事もあります。
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メイク:上唇の輪郭を少しオーバー気味に描くことで人中が短く見える
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リップカラー:明るめや膨張色の口紅を使うと人中が目立ちにくい
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表情筋トレーニング:口輪筋や上唇挙筋を鍛えることでリフトアップ効果が期待できる
ただし、これらはあくまで一時的な方法であり、根本改善には医療的アプローチが有効です。
日常生活で変わる人中の印象
人中の長さは先天的な骨格や加齢だけでなく、日常生活や表情のクセによっても強調されたり、逆に目立ちにくくなったりします。
表情・笑い方
大きく笑ったときに上唇が下がると、人中が長く見えやすくなります。
一方で、口角を軽く引き上げて微笑む程度の表情は、人中を短く見せる効果があります。
写真の角度
正面からの撮影は人中が目立ちやすく、やや斜め上から撮影すると鼻下の距離が短く映ります。
SNSのセルフィーなどでも、角度を工夫するだけで印象が大きく変わります。
マスク生活の影響
マスクで口元を隠す時間が増えたことで、外した際に「思ったより人中が長いのでは」と気づく方が増えています。
ただし、マスクをしている間は人中の印象を気にせずに済むというメリットもあります。
日常でできる工夫
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上唇のリップラインをオーバーめに描く
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膨張色のリップカラーで人中を短く見せる
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写真では少し顎を引いて撮る
こうしたちょっとした工夫で、人中の印象はコントロールしやすくなります。
よくある質問
Q. 人中が長いと必ず手術が必要ですか?
A. 必要ではありません。軽度の場合はメイクやヒアルロン酸注入で改善するケースもあります。
Q. 人中短縮と骨切りはどう違いますか?
A. 人中短縮は皮膚を短くする方法で、骨切りは骨格から改善する方法です。骨格性の原因には骨切りが適しています。
Q. 人中短縮の手術は傷跡が心配です。
A. 体質によりますが、形成外科専門医によるデザインと縫合で目立ちにくく仕上げることが可能です。
Q. 費用はどのくらいかかりますか?
A. ヒアルロン酸は数万円、ボトックスも同程度。人中短縮術は数十万円、骨切りはさらに高額ですが、根本改善が期待できます。
Q. 手術後、仕事にはどのくらいで復帰できますか?
A. 人中短縮術の場合は1〜2週間程度で大きな腫れは落ち着くため、デスクワークなど軽作業は比較的早めに復帰可能ですが、傷後の赤みは数か月続きます。骨切り手術は数週間程度の休養を推奨しています。仕事の内容や個人差によって異なるため、事前に生活スタイルを踏まえて相談いただくのが安心です。
Q. 人中短縮と骨切りを同時に受けることはできますか?
A. 骨格性の問題と軟部組織の問題が両方ある場合には、同時に施術を組み合わせることも可能です。ただし手術範囲が広がるため、ダウンタイムやリスクも増える点に注意が必要です。当院では診察で骨格分析を行い、必要に応じて段階的に施術を行う方針をとることもあります。