院長コラム
脇のにおいや汗の量が気になり、腋臭症なのか多汗症なのか、その違いや適切な治療法がわからずお悩みではありませんか。腋臭症と多汗症は混同されやすい疾患ですが、原因となる汗腺の種類や症状の特徴が大きく異なります。治療法もそれぞれ違うため、正しく理解したうえで自分に合った治療を選ぶことが大切です。この記事では、腋臭症と多汗症の原因や症状の違いを医学的な視点からわかりやすく解説し、保険適用の手術から自費診療の最新治療まで幅広くご紹介します。リノクリニック東銀座の医師監修のもと、受診前に知っておきたい情報を網羅していますので、ぜひ最後までお読みください。
この記事でわかること
・腋臭症と多汗症の原因や症状の明確な違い
・それぞれの疾患に対応した具体的な治療法と費用目安
・保険適用となる条件や治療選択のポイント
・リノクリニック東銀座での診療の特徴と受診の流れ
腋臭症と多汗症の原因の違い
腋臭症と多汗症は、どちらも脇に関する悩みとして語られることが多いですが、原因となるメカニズムが根本的に異なります。この違いを正しく理解することが、適切な治療への第一歩です。
腋臭症の原因はアポクリン汗腺
腋臭症はアポクリン汗腺から分泌される汗が原因で生じます。アポクリン汗腺は脇や耳の中、陰部などに分布しており、たんぱく質や脂質を多く含む粘り気のある汗を分泌します。この汗自体は本来無臭に近いのですが、皮膚表面に存在する常在菌によって分解されることで、独特の強いにおいが発生します。腋臭症はアポクリン汗腺の数や大きさに遺伝的な影響を強く受けるとされ、日本形成外科学会のガイドラインでも遺伝的背景が重要な要因として挙げられています。片方の親が腋臭症である場合、子どもに遺伝する確率はおよそ50パーセント、両親ともに腋臭症の場合はおよそ75パーセント以上とされています。思春期以降にアポクリン汗腺が活発になることで症状が顕在化するケースが多く、耳垢が湿っているタイプの方は腋臭症の可能性が高い傾向にあります。
多汗症の原因はエクリン汗腺
一方、多汗症の原因はエクリン汗腺の過剰な活動です。エクリン汗腺は全身に約200万から500万個存在し、体温調節のためにサラサラとした無色透明の汗を分泌します。多汗症の方ではこのエクリン汗腺からの発汗が通常よりも著しく多く、日常生活に支障をきたすほどの汗が出ます。原因としては交感神経の過剰な興奮が関与していると考えられており、精神的な緊張や温度変化に対して過敏に反応してしまいます。厚生労働省の基準においても、原発性腋窩多汗症は明確な原因疾患がないにもかかわらず腋窩の発汗が6か月以上持続し、日常生活に支障があるものと定義されています。多汗症のにおいはエクリン汗による一般的な汗臭さであり、腋臭症特有の強いにおいとは質的に異なります。
腋臭症と多汗症の症状の違い
原因が異なる以上、症状にも明確な違いがあります。ご自身がどちらに該当するかを見極めるためにも、症状の特徴を正確に把握しておくことが重要です。
におい方と汗の性質を比較する
腋臭症の最大の特徴はにおいです。衣類の脇部分に黄色いシミが付きやすく、独特のツンとした刺激臭やスパイシーなにおいが周囲にも感じられるほど強いケースがあります。一方、多汗症は汗の量が主な悩みであり、においは比較的軽度です。脇に限らず手のひらや足の裏、頭部など全身に症状が及ぶことがあり、書類が濡れて文字がにじむ、握手ができないといった生活上の困りごとが多く報告されています。当院での診療経験では、腋臭症と多汗症の両方を併発している方も少なくなく、このような方はにおいと汗量の両面から治療を検討する必要があります。セルフチェックの目安として、耳垢が湿っているか、家族に腋臭症の方がいるか、衣類に黄ばみが付くかなどを確認すると、腋臭症の可能性を推定しやすくなります。
重症度の判定基準について
多汗症にはHDSS(Hyperhidrosis Disease Severity Scale)という4段階の重症度評価が用いられます。グレード3以上で日常生活に耐えがたい支障がある場合は、保険適用での治療が検討されます。腋臭症の場合はガーゼテストなどを行い、においの強さや範囲を客観的に評価します。当院の医師によると、自覚症状だけでなく第三者による客観的な評価が診断において非常に重要であるとのことです。
腋臭症と多汗症それぞれの治療法
原因が異なるため、治療法も腋臭症と多汗症では異なるアプローチが必要になります。ここでは代表的な治療法を段階的にご紹介します。
腋臭症の治療法
腋臭症の治療は、根本的な改善を目指す場合、アポクリン汗腺を物理的に除去または破壊する方法が中心となります。
STEP 1|保存的治療での対策
軽度の腋臭症であれば、塩化アルミニウム外用薬やデオドラント製品で日常的にケアする方法があります。費用は月額数百円から数千円程度で、手軽に始められます。
STEP 2|ボトックス注射による汗腺抑制
ボツリヌストキシン製剤を脇に注射することでエクリン汗腺の活動を抑え、発汗量を減少させます。腋臭症のにおいも間接的に軽減されることがありますが、効果は4から6か月程度で再施術が必要です。費用目安は両脇で5万円から10万円程度です。
STEP 3|剪除法(保険適用の手術)
腋臭症に対する根本的な治療法として広く認められている手術が剪除法です。脇のしわに沿って数センチの切開を行い、皮膚を裏返してアポクリン汗腺を直視下で一つひとつ除去します。日本形成外科学会でも標準的術式として位置づけられており、保険適用で受けられるため、3割負担の場合は両脇で約4万円から5万円が費用の目安となります。術後はガーゼで圧迫固定を行い、通常3日から5日程度は安静が必要です。当院での診療経験では、術後2週間程度で日常生活への復帰が可能な方がほとんどです。なお、効果には個人差があります。
STEP 4|マイクロ波やレーザー等による治療
自費診療にはなりますが、マイクロ波を用いて汗腺を破壊する治療法もあります。切開が不要でダウンタイムが短い利点がありますが、費用は両脇で20万円から35万円程度が目安です。確定金額はカウンセリングでご案内いたします。
多汗症の治療法
多汗症の治療はエクリン汗腺の過剰な発汗を抑制することが目標です。
まず、外用薬として塩化アルミニウムローションが第一選択です。汗腺の出口を物理的に塞ぐことで発汗を抑えます。2020年には日本で初めて原発性腋窩多汗症の治療薬として抗コリン外用薬が保険適用となり、治療の選択肢が広がりました。
ボトックス注射は多汗症においても非常に有効です。重度の原発性腋窩多汗症と診断された場合は保険適用で施術を受けることができ、3割負担で両脇約2万5千円から3万円が目安です。効果の持続期間は平均4から9か月とされています。
さらに重症の場合や他の治療で十分な効果が得られない場合は、交感神経遮断術(ETS手術)が選択されることもあります。ただし代償性発汗のリスクがあるため、慎重な適応判断が求められます。
治療法を選ぶポイントと注意点
腋臭症と多汗症のどちらに該当するかを正確に診断したうえで治療法を選択することが、満足度の高い結果につながります。
正確な診断が治療成功の鍵
当院の医師によると、自己判断で腋臭症と思い込んでいた方が実際には多汗症であった、あるいはその逆であったというケースは珍しくありません。両方を併発している場合は、それぞれの症状に対応した組み合わせ治療が効果的です。リノクリニック東銀座では、問診に加えてガーゼテストやヨードでんぷん反応テストなどを用いて客観的に評価し、患者さま一人ひとりに最適な治療プランをご提案しています。
費用と保険適用を確認する
腋臭症の剪除法は保険適用が可能な手術ですが、適用には医師による診断と一定の基準を満たす必要があります。多汗症のボトックス注射についても、HDSSグレード3以上の重症例に限り保険適用となります。自費診療を含めた費用の総額については、事前のカウンセリングで詳しくご説明いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。治療後のダウンタイムや生活への影響も治療選択の重要な判断材料です。手術を伴う治療では術後1から2週間の安静期間が必要になることが多い一方、ボトックス注射であれば当日から通常の生活に戻れるケースがほとんどです。
腋臭症と多汗症のよくある質問
Q. 腋臭症と多汗症は同時に発症することがありますか。
A. はい、同時に発症するケースは少なくありません。アポクリン汗腺が多い方はエクリン汗腺も活発な傾向があるとされています。当院では両方の症状を総合的に評価し、においと汗量の両方に対応できる治療計画をご提案しています。効果には個人差があります。
Q. 腋臭症の手術後ににおいが再発することはありますか。
A. 剪除法ではアポクリン汗腺を直視下で丁寧に除去するため、再発率は比較的低いとされています。ただし完全にゼロとは言い切れず、わずかに残存した汗腺が再活性化する可能性もあります。再発が気になる場合は早めに医師に相談されることをおすすめします。
Q. 多汗症のボトックス注射は何回も繰り返す必要がありますか。
A. ボトックス注射の効果は通常4から9か月程度で徐々に減弱するため、効果を維持するには定期的な再施術が必要です。施術時間は両脇で約15から20分と短く、日常生活への影響も小さいため、継続しやすい治療法として多くの方に選ばれています。
まとめ
この記事のポイントを整理します。
- 腋臭症はアポクリン汗腺が原因でにおいが主症状であり、多汗症はエクリン汗腺が原因で汗の量が主症状である
- 腋臭症には剪除法(保険適用で約4万から5万円)やマイクロ波治療、多汗症にはボトックス注射や抗コリン外用薬など、それぞれに適した治療法がある
- 両方を併発しているケースもあるため、正確な診断に基づいた治療選択が重要である
- 保険適用の条件は診断結果や重症度によって異なる
- 効果には個人差があるため、事前のカウンセリングで十分な説明を受けることが大切である
脇のにおいや汗でお悩みの方は、まずは正確な診断を受けることが改善への第一歩です。おひとりで悩まず、ぜひ一度ご相談ください。
当院のご案内
リノクリニック東銀座では、外科専門医の資格を持つ医師が腋臭症や多汗症の診断から治療までを一貫して行っています。保険適用の剪除法をはじめ、患者さまの症状やご希望に合わせた治療プランをご提案いたします。初診のご予約はこちら(WEB予約24時間受付)。お気軽にお問い合わせください。
監修者情報

宮﨑 邦夫
リノクリニック東銀座 院長【資格・所属学会】
日本外科学会専門医 / 日本外科学会会員 / 日本形成外科学会会員 / 日本頭蓋顎顔面外科学会会員 / 日本美容外科学会会員
消化器外科・心臓血管外科・呼吸器外科・小児外科など外科研修ののち、外科専門医を取得。その後、形成外科で6年、美容外科で7年実績を積み、リノクリニック東銀座を開業、院長を務める。美容外科の技術は韓国や台湾、アメリカなどへ出向き、良質な技術を取り入れて日々の診療に生かしている。 2014年から在籍していた湘南美容クリニックでは指導医として若手美容外科医の教育にも尽力し、同院で行われた美容外科コンテストで2年連続ではグランプリを獲得。次の東京美容外科では骨切りメニューの立ち上げを行い、スタッフ教育にも尽力した。
監修日:2026.05.20



