院長コラム
ワキガの手術を受けたのに、しばらくして脇の臭いが気になるようになった、とお悩みではありませんか。せっかく勇気を出して手術に踏み切ったにもかかわらず、再び制汗剤が手放せなくなった、汗ジミが目立つようになった、人に臭いと言われたことがある、といった声は少なくありません。ワキガの手術後に再発が起こるのにはいくつかの明確な原因があり、適切な対処法を知ることで改善が期待できます。この記事では、ワキガ手術後に臭いが戻る原因を医学的な視点から詳しく解説し、再発した場合の具体的な対処法や再治療の選択肢についてお伝えします。再発に不安を感じている方や、現在まさに臭いの再発で悩んでいる方にとって、今後の行動指針となる情報をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事でわかること
・ワキガが手術後に再発する主な原因とそのメカニズム
・再発しやすい手術法と再発しにくい手術法の違い
・再発した場合の具体的な対処法と再治療の選択肢
・リノクリニック東銀座での腋臭症治療の特徴
目次
ワキガ手術後に再発する主な原因
ワキガの手術後に再び臭いが気になるようになる原因は、一つではありません。複数の要因が複雑に絡み合っていることが多く、原因を正確に把握することが適切な対処につながります。ここでは、医学的に考えられる主な再発原因をご説明します。
アポクリン腺の取り残し
ワキガの臭いの原因となるのは、脇の下に分布するアポクリン汗腺から分泌される汗です。この汗に含まれるたんぱく質や脂質が皮膚表面の常在菌によって分解されることで、特有の臭いが発生します。手術ではこのアポクリン腺を除去しますが、腋窩(えきか)の皮膚全体に広がるアポクリン腺をすべて完全に取り切ることは技術的に容易ではありません。特に脇の端の部分や皮膚の深い層に存在するアポクリン腺が残ってしまうと、術後に臭いが再び感じられるようになります。当院の医師によると、アポクリン腺の取り残しは再発原因のなかで最も多いケースとされています。
アポクリン腺の再生
アポクリン腺は、手術で大部分を除去しても、残存した組織片から再生する可能性があることが報告されています。特に成長期の若い方や、手術時にアポクリン腺が十分に成熟していない段階で手術を受けた場合には、術後数年で臭いが再び気になるようになることがあります。日本形成外科学会の文献でも、思春期の手術においては再発率がやや高くなる傾向が示されています。一般的には術後半年から数年で臭いの再発が自覚されるケースが多く、手術直後は問題がなかったのに時間の経過とともに臭いが戻ったという方は、アポクリン腺の再生が原因である可能性があります。
術式による除去率の違い
ワキガ手術にはいくつかの術式があり、術式によってアポクリン腺の除去率に差があります。吸引法やレーザー法など皮膚を大きく切開しない方法はダウンタイムが短い反面、直視下で確認しながら除去する方法と比べるとアポクリン腺の取り残しが生じやすいとされています。一方、剪除法(せんじょほう)は皮膚を切開して直接アポクリン腺を目視しながら除去するため、除去率が高く再発リスクが比較的低い術式といわれています。剪除法は健康保険が適用される場合もあり、日本の腋臭症手術においては標準的な方法の一つです。どの術式を選ぶかによって再発のしやすさが異なるため、手術を検討する段階で術式の特性を十分に理解しておくことが大切です。
再発と勘違いしやすい症状と原因
手術後に脇の臭いが気になる場合、実はワキガの再発ではないケースもあります。再発と思い込んで不必要に悩んでしまうことを避けるためにも、区別して理解しておくことが重要です。
精神性発汗による臭いの自覚
ワキガの手術後も、エクリン汗腺からの発汗は継続します。エクリン汗腺は体温調節を担う汗腺で、手術の対象にはなりません。緊張やストレスを感じた際に脇に汗をかき、その汗が衣類に染み込んで雑菌が繁殖することで臭いが発生する場合があります。このような臭いはワキガ特有の臭いとは異なりますが、手術前の記憶と結びつき「再発したのではないか」と不安に感じる方が少なくありません。当院での診療経験では、再発を心配して来院される方の約2割から3割は、エクリン汗腺由来の臭いや精神的な要因による自己臭症であったと報告されています。
術後の一時的な臭いの変化
術後しばらくは傷の治癒過程で皮膚の状態が安定しないため、一時的に臭いが変化することがあります。術後1か月から3か月程度は皮膚の下で組織の修復が進んでおり、この時期に多少の臭いを感じることは必ずしも再発を意味しません。術後6か月以上経過してもなお明らかにワキガ特有の臭いが持続する場合に、医学的に再発と判断するのが一般的です。気になる場合は自己判断せず、手術を担当した医療機関や専門の医療機関を受診して客観的な評価を受けることをおすすめします。
ワキガ再発時の具体的な対処法
実際にワキガが再発してしまった場合や、手術後に臭いが気になる場合には、いくつかの対処法があります。再発の程度や原因に応じて最適なアプローチが異なりますので、段階的に検討していくことが大切です。
セルフケアによる臭い対策
再発の程度が軽度の場合、まずは日常的なセルフケアで臭いを軽減できることがあります。腋臭症用の制汗剤やデオドラント製品のなかには、殺菌成分や収れん成分を含むものがあり、軽度の臭いであれば十分にコントロールできるケースもあります。また、脇毛の処理をこまめに行うこと、通気性のよい衣類を選ぶこと、入浴時に脇の下を丁寧に洗浄することなども基本的な対策として有効です。ただし、セルフケアだけでは根本的な解決にならない場合もありますので、臭いが強い場合や日常生活に支障がある場合は医療機関への相談を検討してください。
ボトックス注射による発汗抑制
再発が軽度から中等度の場合、ボトックス注射(ボツリヌス毒素注射)による治療が選択肢の一つになります。ボトックス注射はエクリン汗腺からの発汗を抑制する効果があり、汗の量を減らすことで臭いの軽減が期待できます。施術時間は片側約10分から15分程度で、ダウンタイムもほとんどありません。効果の持続期間は個人差がありますが、おおむね4か月から6か月程度とされています。根本的な治療ではなく定期的な施術が必要になりますが、再手術に抵抗がある方や、すぐに臭い対策をしたい方にとっては有力な選択肢です。重症の原発性腋窩多汗症と診断された場合には、保険適用でボトックス注射を受けられる場合があります。
再手術による根本的な対処
再発の程度が中等度から重度の場合には、再手術を検討することになります。再手術では、前回の手術で取り残されたアポクリン腺を追加で除去します。ただし、1回目の手術によって皮下組織に瘢痕(はんこん)が形成されているため、再手術は初回手術よりも難易度が高くなる傾向があります。皮膚の血流が低下しているケースもあるため、術式の選択には慎重な判断が求められます。当院の医師によると、再手術においては直視下で丁寧にアポクリン腺を確認しながら除去する剪除法が最も適しているとのことです。再手術を受ける際には、初回手術からの経過期間や瘢痕の状態を考慮する必要があるため、まずはカウンセリングで詳しい診察を受けることが重要です。
再発しにくい手術法の選び方
ワキガの再発を防ぐためには、初回手術の段階で適切な術式を選ぶことが非常に重要です。ここでは、再発リスクを抑えるための手術法の選び方について解説します。
剪除法が再発しにくい理由
剪除法(皮弁法)は、脇の下の皮膚を3センチメートルから5センチメートル程度切開し、皮膚を裏返してアポクリン腺を直接目視しながらハサミで除去する方法です。医師が直接確認しながら処理を行うため、アポクリン腺の除去率が高く、他の術式と比較して再発率が低いとされています。日本形成外科学会のガイドラインにおいても、剪除法は腋臭症の標準的な術式として推奨されています。さらに、腋臭症と診断された場合には健康保険の適用となる場合があり、費用面でも患者さんの負担が軽減される可能性があります。保険適用の場合、片側あたりの費用目安は約2万円から2万5千円(3割負担)程度ですが、確定金額はカウンセリングでご案内いたします。
術後の過ごし方と再発予防
手術法の選択に加えて、術後の過ごし方も再発予防に大きく影響します。術後は医師の指示に従ってガーゼ固定やタイオーバー固定を行い、脇の下の皮膚が正しく生着するよう安静を保つことが重要です。固定期間中に腕を大きく動かしたり重い物を持ったりすると、皮膚と皮下組織の間に隙間ができて血腫(けっしゅ)が生じ、手術の成功率に影響する場合があります。一般的に、固定期間は術後3日から7日程度、激しい運動の制限は術後2週間から4週間程度が目安です。リノクリニック東銀座では、術後の経過観察を丁寧に行い、患者さん一人ひとりの回復状況に合わせたアドバイスを提供しています。
当院での再発ワキガへの対処法
リノクリニック東銀座では、ワキガの再発でお悩みの方に対して、まず丁寧なカウンセリングと診察を行い、再発の原因を特定したうえで最適な治療プランをご提案しています。
当院での診療経験では、他院で手術を受けた後に臭いが再発して来院される方も多くいらっしゃいます。そうした方には、まず本当に再発しているのか、それとも精神的な要因が大きいのかを見極めます。再発が確認された場合には、再発の程度やご本人の希望に応じて、セルフケアの指導、ボトックス注射、再手術のいずれかを提案します。
再手術を行う場合は、前回の手術による瘢痕組織の状態を超音波検査等で確認し、安全に手術が行えるかを慎重に判断します。当院の院長は外科専門医の資格を持ち、解剖学的な構造を熟知したうえで手術を行いますので、再手術のような難易度の高いケースにも対応が可能です。なお、効果には個人差がありますので、期待できる改善の程度についてはカウンセリング時に正直にお伝えしています。脇の臭いが気になる、制汗剤が効かない、人に臭いを指摘されたことがある、汗ジミが気になるといったお悩みをお持ちの方は、お一人で悩まずまずはご相談ください。
よくある質問
Q. ワキガの手術後どのくらいで再発することがありますか。
A. 再発が起こる時期には個人差がありますが、術後半年から2年程度で臭いが再び気になり始めるケースが多いとされています。術後すぐの臭いは傷の治癒過程による一時的なものの可能性もあるため、6か月以上経過しても改善しない場合に再発を疑い、医師への相談をおすすめします。
Q. 一度ワキガの再手術をしたらもう再発しませんか。
A. 再手術によってアポクリン腺をより徹底的に除去できるため、再発のリスクは大幅に低減しますが、完全にゼロになるとは断言できません。効果には個人差があり、ごくわずかに残存するアポクリン腺から軽度の臭いが生じる可能性はあります。再手術後の経過については定期的な通院で確認していくことが大切です。
Q. 他院でワキガ手術を受けて再発しましたが、そちらで再手術は受けられますか。
A. はい、他院で手術を受けた方の再手術にも対応しております。ただし、前回の手術による瘢痕の状態や皮膚の血流状態を診察したうえで、再手術が安全に行えるかを判断する必要があります。まずはカウンセリングにて脇の状態を拝見させていただき、最適な治療方針をご提案いたします。
まとめ
- ワキガが手術後に再発する主な原因は、アポクリン腺の取り残し、アポクリン腺の再生、術式による除去率の違いの3つである
- 手術後の臭いがすべて再発とは限らず、エクリン汗腺による発汗や精神的要因の場合もある
- 再発時の対処法には、セルフケア、ボトックス注射、再手術の3つの段階がある
- 再発を防ぐためには、アポクリン腺の除去率が高い剪除法の選択と、術後の適切な安静が重要である
- 再手術は初回手術より難易度が高いため、経験豊富な医師のもとで受けることが望ましい
ワキガの手術後の再発は適切な原因の特定と対処によって改善が期待できます。脇の臭いが再び気になる、制汗剤では抑えられないとお感じの方は、まずは医療機関で客観的な評価を受けることが第一歩です。お一人で悩まず、ぜひお気軽にご相談ください。
当院のご案内
リノクリニック東銀座は、腋臭症をはじめとする外科系の診療を幅広く行っているクリニックです。院長は外科専門医の資格を持ち、丁寧なカウンセリングと確かな技術で患者さん一人ひとりに最適な治療をご提案しています。ワキガの初回治療から再発後の再治療まで対応しておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。初診のご予約はこちら(WEB予約24時間受付)
監修者情報

宮﨑 邦夫
リノクリニック東銀座 院長【資格・所属学会】
日本外科学会専門医 / 日本外科学会会員 / 日本形成外科学会会員 / 日本頭蓋顎顔面外科学会会員 / 日本美容外科学会会員
消化器外科・心臓血管外科・呼吸器外科・小児外科など外科研修ののち、外科専門医を取得。その後、形成外科で6年、美容外科で7年実績を積み、リノクリニック東銀座を開業、院長を務める。美容外科の技術は韓国や台湾、アメリカなどへ出向き、良質な技術を取り入れて日々の診療に生かしている。 2014年から在籍していた湘南美容クリニックでは指導医として若手美容外科医の教育にも尽力し、同院で行われた美容外科コンテストで2年連続ではグランプリを獲得。次の東京美容外科では骨切りメニューの立ち上げを行い、スタッフ教育にも尽力した。
監修日:2026.06.26



