院長コラム
「噛み合わせや顎の突出が気になるけれど、矯正に何年もかかるのは避けたい」「両顎手術に興味があるけれど、術前矯正の期間が長くて踏み出せない」とお悩みではありませんか。近年、両顎手術とサージェリーファーストを組み合わせる治療法が注目を集めており、治療期間の大幅な短縮や早期の見た目改善といったメリットが多くの方に支持されています。サージェリーファーストとは、従来のように1年以上の術前矯正を行わず、先に外科手術を実施してから歯列矯正に入るアプローチです。この記事では、リノクリニック東銀座の診療経験を踏まえ、サージェリーファーストの具体的なメリットや注意点、治療の流れ、費用目安までわかりやすく解説します。
この記事でわかること
・サージェリーファーストの仕組みと従来法との違い
・両顎手術にサージェリーファーストを選ぶ具体的なメリット
・治療の流れ・費用目安・ダウンタイムの実際
・リスクや注意点を含めた判断材料
目次
サージェリーファーストの基本的な仕組み
サージェリーファーストとは、顎変形症や顎の位置異常に対して行われる治療の進め方のひとつです。従来の顎矯正治療では、まず歯列矯正を1年から2年ほどかけて行い、歯並びを手術に適した状態に整えてから外科手術に進むのが一般的でした。一方、サージェリーファーストでは術前矯正を省略し、先に上下の顎骨を切って理想的な位置へ移動させる両顎手術を行います。手術後に歯列矯正を開始し、噛み合わせの微調整を進めるという流れです。
従来法との大きな違い
従来法では術前矯正の段階で一時的に噛み合わせが悪化し、見た目も崩れることがあります。これは手術時に正しい位置へ動かせるよう、あえて歯を術後のポジションに合わせて並べ直すためです。患者さまにとっては治療途中で見た目が悪くなるという心理的負担が大きく、治療の中断につながるケースもありました。サージェリーファーストではこの段階を飛ばすため、手術直後から顔貌の改善を実感しやすい点が大きな特徴です。当院の医師によると、術前矯正の省略によって治療全体の期間をおよそ1年から1年半短縮できるケースが多いとされています。
両顎手術でサージェリーファーストを選ぶメリット
サージェリーファーストを選択する最大のメリットは、治療期間の短縮と早期の審美的改善の両立にあります。ここでは具体的なメリットを整理します。
治療期間の大幅な短縮
従来法では術前矯正に12か月から24か月、手術後の矯正にさらに6か月から12か月と、合計で2年半から3年以上かかることも珍しくありません。サージェリーファーストでは術前矯正を省くことで、全体の治療期間を1年から1年半程度に抑えられる可能性があります。仕事や学業への影響を最小限にしたいと考える方にとって、この期間短縮は大きな魅力です。
見た目の早期改善
手術を先に行うため、治療開始から比較的早い段階で顎のラインや横顔のバランスが整います。従来法では術前矯正中に見た目が一時的に悪化しますが、サージェリーファーストではそのストレスがほとんどありません。当院での診療経験では、術後2週間から1か月ほどで腫れの約7割が落ち着き、周囲から見た目の変化を指摘されるようになる方が多い傾向にあります。
術後矯正がスムーズに進みやすい
骨切り手術によって顎の位置関係が先に整うと、歯は新しい骨格のポジションに合わせて自然に動きやすくなります。これをRAP(Regional Acceleratory Phenomenon)と呼び、手術による骨のリモデリングが歯の移動速度を促進する現象です。日本矯正歯科学会の文献でも、術後の骨代謝が活発な時期に矯正を行うことで効率的に歯が動くと報告されています。結果として術後矯正の期間も短くなりやすく、トータルの通院回数削減にもつながります。
両顎手術の流れとダウンタイムの実際
サージェリーファーストによる両顎手術がどのように進むのか、具体的な流れをご紹介します。
STEP 1|カウンセリングと精密検査
セファロ分析(頭部エックス線規格写真)や歯科用CTを用いて、上顎と下顎の骨格的なずれを数値化します。3Dシミュレーションで術後の顔貌を予測し、手術計画を立案します。矯正歯科医との連携のもと、サージェリーファーストの適応であるかを慎重に判断します。
STEP 2|両顎手術の実施
全身麻酔下で上顎にはLe Fort I型骨切り術、下顎には下顎枝矢状分割術(SSRO)または下顎枝垂直骨切り術(IVRO)を行います。口腔内からアプローチするため、顔の表面に傷が残る心配は基本的にありません。手術時間はおよそ3時間から5時間が目安です。入院期間は3日から7日程度が一般的です。
STEP 3|ダウンタイムと術後矯正
術後1週間から2週間は腫れや内出血が目立ちますが、当院の医師によると術後2週間で腫れの約5割から7割が引く方が多い傾向です。術後1か月頃から矯正装置を装着し、歯列の微調整を開始します。術後矯正の期間は6か月から12か月が目安ですが、効果には個人差があります。デスクワークであれば術後2週間から3週間で復帰される方もいらっしゃいます。
費用目安とリスクの注意点
費用の目安
両顎手術にサージェリーファーストを組み合わせた場合の費用は、手術費用と術後矯正費用を合わせて参考価格として200万円から400万円程度が目安です。顎変形症と診断され、指定の医療機関で治療を受ける場合は健康保険が適用されるケースもあります。厚生労働省の診療報酬規定では、顎変形症に対する顎骨切り手術は保険適用の対象として定められています。ただし、審美目的の場合は自費診療となります。確定金額はカウンセリングでご案内いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。
知っておきたいリスク
両顎手術には以下のようなリスクがあります。術後の知覚鈍麻(下唇やオトガイ部のしびれ)は一時的なものがほとんどですが、回復に数か月を要する場合もあります。感染や出血、骨の癒合不全といった外科手術に共通するリスクも存在します。サージェリーファースト特有の注意点としては、術前矯正を行わない分、手術直後の噛み合わせが一時的に不安定になることが挙げられます。この期間は顎間ゴムなどで噛み合わせを誘導しながら矯正を進めていきます。日本美容外科学会(JSAPS)でも、骨切り手術においては十分な術前シミュレーションと術後管理が重要であると提唱されています。リノクリニック東銀座では、リスクについても事前に丁寧にご説明したうえで治療方針を決定しています。
サージェリーファーストの適応と判断基準
サージェリーファーストはすべての方に適しているわけではありません。適応を判断するうえで重要なポイントを解説します。顎の骨格的なずれが大きく、歯列矯正だけでは改善が難しいケースがまず対象となります。また、歯周組織が健康であること、成長が完了していること(一般的に18歳以上)も重要な条件です。重度の叢生(歯の凸凹)がある場合は、最低限の術前矯正を短期間行ってから手術に進むこともあります。当院では精密検査の結果をもとに、矯正歯科医と口腔外科医が連携して適応を判断します。サージェリーファーストのメリットを最大限に引き出すためには、手術計画の精度が極めて重要です。3Dシミュレーション技術を活用し、骨の移動量や方向を0.5ミリ単位で計画することで、術後の噛み合わせと審美性の両立を目指します。なお、適応外と判断された場合でも、従来法による両顎手術で同等の仕上がりを得ることは十分に可能です。どちらの方法が最適かは、患者さまの骨格や歯列の状態によって異なりますので、まずは検査を受けていただくことをおすすめします。
Q. サージェリーファーストは従来法より痛みが強いですか。
A. 手術自体の内容は従来法と基本的に同じであり、痛みの程度に大きな差はありません。術後は鎮痛剤で管理し、多くの方が1週間から2週間程度で日常生活に戻られています。痛みの感じ方には個人差がありますので、不安な点はカウンセリングで医師にご相談ください。
Q. 両顎手術後の食事はいつから普通に食べられますか。
A. 術後1週間から2週間は流動食や柔らかい食事が中心です。術後1か月頃から徐々に通常の食事に移行できる方が多い傾向にあります。硬い食べ物は骨の癒合が安定する術後2か月から3か月頃まで控えていただくようご案内しています。
Q. サージェリーファーストの費用は保険適用されますか。
A. 顎変形症と診断され、顎口腔機能診断施設として認定された医療機関で治療を受ける場合は健康保険が適用される可能性があります。ただし、審美的な改善を主目的とする場合は自費診療となります。適用の可否は検査結果に基づいて判断しますので、まずはカウンセリングにお越しください。
まとめ
- サージェリーファーストは術前矯正を省略し、先に両顎手術を行う治療アプローチである
- 最大のメリットは治療期間の短縮と見た目の早期改善が同時に得られる点にある
- RAPの効果により術後矯正もスムーズに進みやすい
- 費用の目安は200万円から400万円程度で、保険適用となるケースもある
- 知覚鈍麻や一時的な噛み合わせの不安定さなどリスクも理解したうえで判断することが大切
- 効果には個人差があるため、精密検査とカウンセリングで適応を確認することが重要
両顎手術やサージェリーファーストに関心をお持ちの方は、まずは精密検査を受けてご自身の骨格に合った治療法を確認されることをおすすめします。リノクリニック東銀座では丁寧なカウンセリングのもと、最適な治療計画をご提案しています。
リノクリニック東銀座は、輪郭整形をはじめとする骨切り手術や美容外科治療を提供しております。外科専門医による精密な診断と丁寧なカウンセリングで、お一人おひとりに合った治療をご案内いたします。初診のご予約はこちら(WEB予約24時間受付)
監修者情報

宮﨑 邦夫
リノクリニック東銀座 院長【資格・所属学会】
日本外科学会専門医 / 日本外科学会会員 / 日本形成外科学会会員 / 日本頭蓋顎顔面外科学会会員 / 日本美容外科学会会員
消化器外科・心臓血管外科・呼吸器外科・小児外科など外科研修ののち、外科専門医を取得。その後、形成外科で6年、美容外科で7年実績を積み、リノクリニック東銀座を開業、院長を務める。美容外科の技術は韓国や台湾、アメリカなどへ出向き、良質な技術を取り入れて日々の診療に生かしている。 2014年から在籍していた湘南美容クリニックでは指導医として若手美容外科医の教育にも尽力し、同院で行われた美容外科コンテストで2年連続ではグランプリを獲得。次の東京美容外科では骨切りメニューの立ち上げを行い、スタッフ教育にも尽力した。
監修日:2026.05.21



