院長コラム

副皮除去は小陰唇縮小術と一緒に手術したほうがいい?|形の違いと手術デザインを医師が解説

婦人科形成の中でも「小陰唇縮小」と「副皮除去」は、見た目の整え方だけでなく、機能面の改善にも関わる重要な手術です。
カウンセリングでは「副皮も一緒に取ったほうがいいですか?」「小陰唇だけではだめですか?」というご質問を多くいただきます。

実はこの2つの部位は、見た目だけでなく解剖学的にも密接な関係があり、どちらか片方だけを整えると左右差や形の不自然さが残るケースもあります。
そこで今回は、リノクリニック東銀座・宮﨑院長が、小陰唇と副皮の構造の違い・同時手術のメリット・デザイン設計の考え方について、外科的視点から詳しく解説します。

婦人科形成における小陰唇と副皮とは

婦人科形成の相談では、「自分の形が普通なのか」「どこからが小陰唇で、どこまでが副皮なのか」が分からないという質問を多くいただきます。実際、陰部の形態には大きな個人差があり、解剖学的に正確な理解が手術のデザインにも直結します。

小陰唇は左右に広がるヒダ状の皮膚で、前方では陰核(クリトリス)に繋がり、それを包む「陰核包皮(いんかくほうひ)」が存在します。この陰核包皮の上方には「陰核包皮脚(いんかくほうひきゃく)」があり、その外側に皮膚の余りが存在すると、それが「副皮(ふくひ)」と呼ばれる部分です。

副皮は小陰唇の前方1/3あたりから前方向へ回り込み、陰核包皮の横を通って皮膚の余剰として形成されます。人によってはヒダとして明確に独立している場合もあれば、皮膚の余りがわずかに存在するだけのケースもあります。このバリエーションが「自分の形が左右で違う」と感じる原因にもなります。

小陰唇縮小術に必要な解剖学的知識

小陰唇は、中央部分にピークがある人もいれば、やや下がった位置にボリュームが集中している方もいます。さらに肛門側(後方)までしっかりヒダが続いている人もいれば、途中で平坦になる人もおり、その形態差が手術設計に大きく影響します。

また、小陰唇の外側には「大陰唇との溝(陰唇間溝)」があり、手術ではこの溝からの高さを10〜12mm程度の皮膚を残すようにデザインします。この残す厚みは非常に重要です。残しすぎると余り感が出てしまい、切りすぎると高さを保てなくなったり、乾燥や痛み、将来的な瘢痕拘縮の原因になります。

小陰唇の組織は表層が皮膚ですが、陰核や尿道口付近では「粘膜」に移行します。粘膜を切りすぎると乾燥や痛みが生じやすくなるため、皮膚と粘膜の境界を見極めた切除が求められます。これは経験豊富な医師でなければ判断が難しいポイントの一つです。

副皮切除は必要なのか?

副皮は見た目の左右差や陰核の被りを整えるだけでなく、清潔性や機能面にも関わります。副皮が厚くかぶっている場合、通気性が悪くなり「蒸れ」「かゆみ」「におい」などのトラブルを引き起こすことがあります。

手術デザインは、小陰唇と副皮の接続状態によって変わります。小陰唇と副皮が連続しているタイプでは、滑らかなラインを意識して一体的にデザインします。一方で、副皮が独立している場合は、それぞれの境界を明確にし、自然な形に整えます。いずれにしても解剖学的な境界を意識したデザインが重要になります。

デザイン段階で注意すべきなのは「厚みのコントロール」です。副皮は皮膚の下に脂肪層が存在するため、単に切除するだけでは段差やよれが残ることがあります。そのため、内部をくり抜くように厚みを調整しながら縫合します。

縫い方によって仕上がりは変わるのか

リノクリニック東銀座では、内部を吸収糸で丁寧に縫合し、表面は医療用ボンドで閉創します。これにより抜糸の必要がなく、痛みや出血リスクを最小限に抑えることができます。

表面を糸で縫うクリニックもありますが、抜糸時の痛みや感染リスクを考慮すると、ボンドによる閉創は非常に安全で快適な方法です。縫合ラインは個人の形態に合わせて左右非対称に設計することもあり、あくまで「自然なラインと機能性」を最優先にします。

また、術後の腫れや左右差は一時的なものが多く、時間の経過とともに落ち着きます。大切なのは、初回から過度に切除しすぎないこと。仮に再手術が再切除が可能な設計を意識することで、安全かつ自然な仕上がりが得られます。

小陰唇縮小・副皮切除の適応とカウンセリング

手術の適応となるのは、単なる見た目の悩みだけではありません。
以下のような症状がある方に手術を検討する価値があります。

  • 自転車や下着の擦れで痛み・かゆみが出る

  • 長時間座ると違和感がある

  • 尿が飛び散りやすい

  • 性交時に巻き込まれて痛む

  • 清潔に保ちづらい、蒸れやすい

これらは単なる美容目的ではなく、日常生活の快適さを改善する機能的な婦人科形成の領域です。

カウンセリングでは、まず写真撮影を行い、医師が小陰唇と副皮の位置・形状を丁寧に説明します。どの範囲を切除するか、左右差の有無、陰核包皮のかぶり具合などを視覚的に確認し、個々の形に合わせたデザインを提案します。

安全な小陰唇縮小術とは

婦人科形成は、解剖学的な理解と経験が結果を大きく左右します。皮膚の厚み・粘膜の移行部・陰核包皮との位置関係などを考慮しなければ、自然な形状や機能の維持は難しくなります。

外科的視点から「切除するよりも、残す部分を見極める」ことを重視しています。過剰な切除は後戻りが難しく、感覚異常や乾燥などのトラブルを生じる可能性があります。そのため、リノクリニック東銀座では安全性と機能性を両立したデザインを行い、必要に応じて追加修正も可能なプランを採用しています。

婦人科形成は、デリケートな悩みを扱うからこそ、専門的知見と美的感性の両立が求められます。形だけでなく、「日常生活の快適さ」を取り戻すことが目的です。

よくある質問(Q&A)

Q1. 手術後の痛みや腫れはどのくらい続きますか?
痛みは個人差がありますが、術後2〜3日は軽度の腫れと違和感がみられます。痛み止めの服用でコントロール可能で、1週間前後で日常生活に支障なく過ごせます。

Q2. 性生活への影響はありますか?
適切にデザインされた手術では、感覚機能を損なうことはありません。むしろ陰核が覆われすぎていた場合には感度が改善することもあります。再開は1か月程度を目安にしています。

Q3. どのようなクリニックを選べば良いですか?
婦人科形成は、解剖構造を熟知した形成外科・美容外科医が在籍するクリニックを選ぶことが重要です。カウンセリングでデザイン説明が丁寧であるか、手術方法や縫合法を具体的に提示してくれるかが判断基準になります。


副皮除去と小陰唇縮小の解説動画(YouTubeへ移動)

▶︎ 動画の視聴はこちらから

監修者情報

宮﨑 邦夫

リノクリニック東銀座 院長

【資格・所属学会】
日本外科学会専門医 / 日本外科学会会員 / 日本形成外科学会会員 / 日本頭蓋顎顔面外科学会会員 / 日本美容外科学会会員

消化器外科・心臓血管外科・呼吸器外科・小児外科など外科研修ののち、外科専門医を取得。その後、形成外科で6年、美容外科で7年実績を積み、リノクリニック東銀座を開業、院長を務める。美容外科の技術は韓国や台湾、アメリカなどへ出向き、良質な技術を取り入れて日々の診療に生かしている。 2014年から在籍していた湘南美容クリニックでは指導医として若手美容外科医の教育にも尽力し、同院で行われた美容外科コンテストで2年連続ではグランプリを獲得。次の東京美容外科では骨切りメニューの立ち上げを行い、スタッフ教育にも尽力した。

監修日:2025.11.12

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