院長コラム

鼻整形失敗を防ぐ方法|術後に曲がる・高すぎて不自然になる原因とは

2025.09.04

鼻整形失敗で多い曲がりの原因とは

鼻整形の相談の中で最も多いトラブルが「曲がってしまった」というものです。手術直後は真っ直ぐに見えても、数か月後に徐々に左右にずれていくことがあります。

鼻は皮膚・軟骨・骨から成り立つ立体的な臓器で、皮膚そのものが曲がることはありません。歪みの原因は内部構造にあります。

軟骨や肋軟骨の歪み

・耳介軟骨は柔らかく、柱として利用すると経時的に歪むリスクがある
・そもそも耳の軟骨は曲線を描いているため、真っ直ぐに矯正しても戻ろうとする力が働く
・肋軟骨も加工の仕方によっては反り返ったりねじれたりすることがある

特に「鼻中隔延長」や「鼻先の支持柱」を作るときに用いられる移植軟骨は、材料の質や加工方法で安定性が左右されます。

皮膚テンションによる戻り

鼻の皮膚は顔の中でも特に余裕が少なく、伸ばしすぎると元に戻ろうとします。術後数か月かけて皮膚が縮むことで、軟骨や骨の支えを押し戻し、形が変化してしまうことがあります。

このため「材料の歪み」と「皮膚の戻ろうとする力」が合わさると、曲がりやすさが増してしまうのです。

鼻整形が高すぎる鼻になる理由

「もっと高くしたい」という希望は多いですが、過度な高さを追求すると失敗のリスクが高まります。SNSで見かける「ピノキオ鼻」や「アップノーズ」は一見華やかでも、実生活では違和感を持たれることも少なくありません。

高すぎる鼻で起こるリスク

・皮膚の余裕がなくなり、細すぎる「ピンチノーズ」になる
・鼻先に自然な切り返し(ブレイクポイント)が作れない
・横顔のEラインは整っても、正面から見ると不自然に細長い印象になる
・皮膚のテンションが限界を超え、時間とともに変形する

医師の基本的な考え方は「鼻の皮膚面積は変わらない」ということです。どこかを高くしたいなら、別の部分を低くするなどバランスを取る必要があります。

鼻整形失敗を防ぐ皮膚テンション

術後の安定性を考える上で欠かせないのが皮膚テンションです。皮膚は常に縮もうとするため、無理に引き伸ばされると形を保てなくなります。

医師が意識すべき点

・患者の皮膚の厚さや弾力を見極める
・必要以上に高くしないデザインを選ぶ
・皮膚の収縮力を想定して余裕を残す

例えば、皮膚が厚い方に無理に細い鼻を作ると、半年後に戻りが起きて理想から外れるケースもあります。逆に皮膚が薄い方は軟骨の形が透けやすく、不自然な段差や尖りが出やすいため、適度な厚みを残す工夫が必要です。

鼻整形で患者要望が失敗を招く

「もっと高く」「もっと細く」と希望する気持ちは自然ですが、骨格や皮膚に合わないデザインは失敗を招きます。

医師が実際に経験するケース

・皮膚が分厚い患者が「欧米人のような細い鼻」を希望する
・元々低い鼻でEラインに並ばないため「過度に高い鼻」を求める
・SNSで見た流行の鼻をそのままリクエストする

医師は要望を聞きつつ「その人の皮膚や骨格で実現可能か」を冷静に判断し、時に「それは難しい」と伝える必要があります。無理な希望を通すほど、術後の不満や修正手術につながりやすくなります。

鼻整形と顔全体バランスの重要性

鼻だけを見てデザインすると、顔全体の調和を崩すリスクがあります。

例えば、ごぼ口の方が「鼻を高くしてEラインを整えたい」と希望しても、鼻を高くするだけではバランスは改善しません。むしろ顔が大きく見え、アンバランスさが増すこともあります。

顔全体の評価が必要

・口元や顎を下げる骨切り手術の方が効果的な場合もある
・頬骨や額の形状が鼻の印象に影響を与えることも多い
・鼻だけを整えると他の部位との不調和が目立つ可能性がある

鼻整形は「鼻だけの問題」ではなく、顔全体の骨格や輪郭を含めてデザインする必要があるのです。

鼻整形失敗と再手術の難しさ

鼻整形は「再手術が難しい領域」として知られています。

再手術が難しい理由

・初回に大鼻翼軟骨を切断されていると修正の自由度が減る
・3D法などで複雑に組み替えられていると再構築が困難
・初回手術の記録がなければ内部状態が不明で、開けるまで分からない

特に3D法で軟骨を大きく切断している場合、再手術では新たに肋軟骨などを使って再建する必要があり、ダウンタイムやリスクが増します。

再手術は「初回より格段に難しい」ため、最初に信頼できる医師を選ぶことがもっとも重要です。

鼻整形成功に必要な医師の見極め

鼻整形を成功させるために医師が見極めるべき要素は次の通りです。

・横顔での鼻筋から鼻先までの自然な流れ
・前から見たときの太さと幅のバランス
・皮膚の厚さ・弾力に合わせた無理のない高さ設定
・頬や口元、顎とのバランスを考慮した全体デザイン

医師は単に「高く・細く」するのではなく、その人の素材を活かしつつ自然で長持ちする鼻を作る必要があります。

私が修正相談をうけていて感じるのは、実際に再手術を希望される患者の多くは「無理な高さ」や「極端な細さ」を求めて失敗したケースです。最終的に修正で目指すのは「その人本来の素材を活かした自然な形に戻すこと」。結果的にシンプルなバランスに落ち着くことが多いのです。

よくある質問(FAQ)

Q1. 鼻整形で失敗しやすいのはどんなケースですか?
A. 無理な高さや細さを希望した場合、皮膚の余裕がなくなり曲がりや変形が起こりやすいです。

Q2. 鼻整形の再手術は可能ですか?
A. 可能ですが初回より難しく、肋軟骨など大掛かりな材料が必要になることもあります。

Q3. どのような医師を選ぶべきですか?
A. 鼻だけでなく顔全体のバランスを評価し、皮膚や骨格に合った無理のないデザインを提案できる医師が理想です。

Q4. 術後に軽くぶつけたら曲がりますか?
A. 軽度の衝突で曲がることはほとんどありません。ただし強い外力が加われば鼻骨と同じく損傷する可能性はあります。


鼻整形失敗を防ぐ方法|術後に曲がる・高すぎて不自然になる原因を医師が解説
鼻整形失敗を防ぐ方法―曲がり・高すぎの原因を医師が解説
監修者情報

宮﨑 邦夫

リノクリニック東銀座 院長

【資格・所属学会】
日本外科学会専門医 / 日本外科学会会員 / 日本形成外科学会会員 / 日本頭蓋顎顔面外科学会会員 / 日本美容外科学会会員

消化器外科・心臓血管外科・呼吸器外科・小児外科など外科研修ののち、外科専門医を取得。その後、形成外科で6年、美容外科で7年実績を積み、リノクリニック東銀座を開業、院長を務める。美容外科の技術は韓国や台湾、アメリカなどへ出向き、良質な技術を取り入れて日々の診療に生かしている。 2014年から在籍していた湘南美容クリニックでは指導医として若手美容外科医の教育にも尽力し、同院で行われた美容外科コンテストで2年連続ではグランプリを獲得。次の東京美容外科では骨切りメニューの立ち上げを行い、スタッフ教育にも尽力した。

監修日:2025.09.04

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