院長コラム

【症例解説】受け口・出っ歯感を同時に改善|ルフォーI+前方分節骨切り(2ピース)症例紹介

今回は、受け口や出っ歯感を同時に解消した「ルフォーI+前方分節骨切り(2ピース)」の症例を通じて、顎矯正手術の可能性とポイントについてご紹介します。

顔のバランスを整えることで、見た目はもちろん、噛み合わせや機能面でも大きな改善が期待できます。ぜひ最後までご覧ください。

ルフォーI型骨切りとは

上顎骨を骨切りして位置を移動させる方法で、受け口や出っ歯感といった咬合の問題と顔貌バランスの乱れを同時に補正できます。前方分節骨切り(2ピース)を組み合わせることで、上顎の前歯部分を別ブロックとして正確に移動させることが可能になります。例えば、ガミースマイルの改善や口元の突出感の軽減にも寄与するため、美容的な効果と機能的な改善を同時に得られるのが特長です。

両顎骨切りの適応と術前状態

今回ご紹介する患者様は受け口顔貌でかつ上顎前歯が前に強く傾斜した症例で、施術後1年が経過した症例になります。

<施術内容>
両顎手術(顎矯正手術)+上顎前方分節骨切り術(ASO、セットバック)
(オトガイ形成も含む)

術前は受け口感が強い輪郭でした。具体的には横から見ると頬はフラットで、鼻翼基部は後方にあり陥凹した見た目でした。人中の傾斜があり、前歯の傾斜も強く、見た目出っ歯感もありました。それに伴い口角も下がるため、口を閉じているだけで不機嫌そうに見えてしまう口元でした。下顎は前方に位置していて、そのために面長感もありました。咬合に関してはアングルの分類でクラス3に分類される受け口の咬合でした。実際に受け口や出っ歯感があると、口元の突出だけでなく横顔のバランスも崩れやすくなります。

上顎骨と下顎骨の前後バランスが乱れていると、正面から見たときの輪郭だけでなく、横顔のEライン(鼻先と顎先を結んだ線)からのはみ出しが気になります。噛み合わせだけでなく、笑ったときに歯茎が過剰に見えるガミースマイルやオトガイの後退などの複合的な問題が起こりやすいのも特徴です。こういった骨格性の問題は矯正治療だけでは改善しきれない場合が多く、骨切り手術が有効な手段になります。

骨切りシミュレーションの流れ

まず咬合はクラス1となるようなプランが矯正歯科医より届きましたので、その位置情報をシミュレーションソフトに組み込んで、骨切りプランを組み立てました。
選択した術式は両顎手術と呼ばれる顎矯正手術です。上顎骨をルフォー1骨切り術、下顎を矢状分割骨切り術(BSSO)、オトガイ形成で骨切りを行うのが通常ですが、今回は上顎を2ピースで動かしています。

2ピースとは、ルフォー1骨切り+前方分節骨切り術を同時に行う方法です。これは上顎前歯の唇側傾斜が強い、つまり出っ歯感が強い場合に選択することがある骨切りプランです。
この咬合のパターンの場合、実は選択肢が2通りあります。まず一つは通常通りルフォー1骨切りで上顎を動かして、術後矯正で4番抜歯で矯正をして、前歯の傾斜を整える方法です。もう一つは2ピースで動かす方法です。同時に手術を行う場合は術中に4番抜歯を行います。
どちらの方法も利点欠点があるため、どちらがより良いという方法ではないのですが、治療経過も若干異なるため患者様とも相談しながら選択します。今回は手術で2ピースで動かし、術後矯正の期間を短縮させるという方針で治療を進めました。

両顎骨切りと3Dシミュレーション

骨切り手術では、事前のシミュレーションによる正確な術式の計画が非常に重要です。

近年は3Dの画像解析ソフトを用いた骨格モデルを活用して、上顎骨の回転や前後移動、歯列位置のシミュレーションを行います。患者さん一人ひとりの骨格構造や咬合関係を把握し、どの程度移動させればベストな横顔・正面像になるのかを細かく検討していきます。こうした精密な分析を通じて、必要な切開のラインや固定の方法を立案し、最適な治療プランを導き出すのです。

当院では、日本でも数少ない導入例である「クリサリクス」という3Dシミュレーションを活用し、360度から見たお顔全体や各パーツのバランスを確認しながら、最適な治療プランをご提案いたします。

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ルフォー骨切り術前・術後の比較写真

正面では顎先の若干の左シフトがあります。鼻翼基部の陥凹がわずかにわかります。口角はやや下がった状態でした。右の術後1年を見ますと、こうかくがしっかりあがり、上唇の立体感が自然になっているのがわかります。

両顎手術とセットバックを同時に行う2ピースプラン。受け口を改善させました。

左:術前 右:術後1年

術前と術後を比較することで、どのように輪郭や口元の印象が変わるかを確認できます。

手術前は頬の位置や上唇の突出が気になっていた状態でも、骨切り後は中顔面の立体感が向上し、顔全体のバランスが整います。横顔から見るとEラインに沿って口元が引き締まり、自然なフェイスラインが出現するのが大きな利点です。正面から見ても歯茎の露出がおさえられ、笑顔の印象が大幅に改善されるため、見た目の変化が顕著に表れます。

回転移動で高める小顔効果

斜めから見るとより口角の下がりがわかりやすくなります。上下顎共に回転をかけて下顎を後方に移動しているため、中顔面の立体感がでて小顔感もでます。下顎を下げたい場合は並行移動で後方に下げることもできるのですが、それだと頬の緩やかなカーブや鼻翼基部の陥凹の改善が少なくなるため、しっかり回転をかける必要があります。

両顎手術とセットバックを同時に行う2ピースプラン。受け口を改善させました。

左:術前 右:術後1年

両顎手術とセットバックを同時に行う2ピースプラン。受け口を改善させました。

左:術前 右:術後1年

単なる前後移動だけでなく、上顎骨を回転させるアプローチが中顔面の美しさに大きく影響します。

回転移動を組み合わせることで、頬骨の位置関係や上唇・鼻下のバランスを同時に調整できます。これにより平面的な顔立ちが解消され、立体感のある横顔と小顔効果が引き出されるのがポイントです。このような多角的なアプローチは、輪郭だけでなく噛み合わせにも良い影響を与え、中顔面全体のプロポーションをより自然に整えます。

横顔で見る両顎骨切り後の変化

横から見ると頬のフラットさ、鼻翼基部の陥凹、人中の前方傾斜、口角の下がり、下唇の位置関係、顎先の大きさなどがわかりやすくなります。

両顎手術とセットバックを同時に行う2ピースプラン。受け口を改善させました。

左:術前 右:術後1年

横顔のEラインや頬の高さは、術前と術後で大きく改善される要素です。

輪郭のバランスは、特に頬の盛り上がり位置と口元の突出度で変わります。受け口や出っ歯感のある状態では、横から見た際のラインが崩れやすいため、上顎と下顎の両方を正しい位置に導くことが必要です。適切な骨切り施術を行うことで、顔全体の高さや奥行きを調整し、より自然な横顔シルエットを実現できます。

オトガイ形成と両顎骨切り効果

笑った時の人中の動きや前歯の見え方、口角の動きが改善します。オトガイ形成で縦の長さも調整しているため、より小顔感を作ることができます。

両顎手術とセットバックを同時に行う2ピースプラン。受け口を改善させました。

左:術前 右:術後1年

下顎骨(オトガイ)へのアプローチも、笑顔やフェイスライン全体のバランス調整に有効です。

オトガイ形成は、上下顎の骨切りだけでは調整しきれない微細な高さや前後位置を微調整するのに役立ちます。顎先を少し前に出したり、角度を修正するだけで、口元と頬の位置がうまく調和し、小顔に見せる効果を高めることができます。口元のラインが整うだけでなく、笑ったときに頬が自然に持ち上がるような、ソフトな印象へと変わるのも魅力です。

2ピース骨切り成功の鍵

2ピースで動かす場合、プランニングはより複雑になり、術中の骨移動や調整はかなり煩雑になります。ただ、術後抜歯してからの矯正で歯を1本分動かすのは歯根への負担も増えますので、2ピースで動かすメリットはかなり大きくなります。この方法で行う場合は、3Dシミュレーションソフトは必須になりますし、2ステント法で行わなければ、術中の調整は困難を極めます。

精密な操作を要する2ピース骨切りでは、高度なシミュレーション技術とステントが重要な役割を果たします。

3Dシミュレーションでは、上顎の前歯部分と奥歯部分を別々に分割した上で、どの程度移動すれば最適なかみ合わせと顔貌を得られるかを綿密に計算します。さらに、2ステント法を用いることで、手術中の骨移動を段階的に誘導し、誤差を最小限に抑えられます。こうしたプロセスを組み合わせることで、患者さん一人ひとりに合わせた理想的な仕上がりを追求することが可能になります。

今回は上顎前歯の傾斜が強い受け口輪郭の患者様に、両顎手術+上顎前方分節骨切り術で立体感のある小顔に変えた1年後の経過をご紹介しました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

顎矯正手術費用とモニター募集

顎矯正手術は高い精度と複雑な工程を要するため、治療に伴う費用やモニター制度に注目する方が多いです。

一般的にルフォーI型骨切り術や下顎骨の骨切り術を含む顎矯正手術は、複数の手技を組み合わせて行うため費用は幅があります。症例によって必要な骨切りの範囲や入院日数、検査内容が異なるので、クリニックでのカウンセリング時に詳細な見積もりを確認しておくことが大切です。モニター募集に応募することで手術費用が軽減される場合もあり、希望者は早めに情報収集しておくと良いでしょう。

🏥顎矯正手術治療代:2,750,000(税込)
目隠しモニター:2,420,000 (税込)
顔出しモニター:2,090,000(税込)
術前検査代、麻酔代、術後CT代は別途
📸モニター募集中

🩹リスク:疼痛、出血、血腫、感染、神経障害、咬合異常など

⚠️経過や結果には個人差があります。施術内容、経過など十分理解した上で施術をご検討ください。術後気になる症状があれば、受診してご相談ください。術後の経過を安全に見ていくために、定期的な受診が必要です。

骨切りでリノクリニックが選ばれる理由

リノクリニックでは、専門的な指導のもとで蓄積された技術と、最先端の設備を活用しているのが強みです。豊富な臨床経験を持ち、骨格や摘出量の異なるさまざまな症例に対応してきた実績があります。さらに、矯正歯科医や麻酔科の専門医とも連携を密にとることで、患者さんが安心して手術を受けられる体制を整えています。3Dシミュレーションや2ステント法といった技術を導入し、確かな根拠に基づいた手術計画を行うため、仕上がりの正確性と安全性を最大限に考慮いたします。

1.2014年から美容外科で積み上げた豊富な骨切りの経験があります。
2.クリサリクスを用いてミリ単位でシミュレーションを行います。
3.院内CTで術前、術後スムーズに検査ができます。
4.アフターフォローもしっかりします。
5.連携施設は東大口腔外科、矯正歯科3院(東京2院、大阪1院)があります。
6.輪郭の治療として、脂肪吸引、バッカル、糸リフト、ハイフなどのご提案をすることも可能です。
7.完全予約制なので診療がスムーズです。

🏥リノクリニック東銀座
104−0061東京都中央区銀座3丁目11−13松本銀座ビル9
☎️03-5550-5557
🌏web予約受付中

監修者情報

宮﨑 邦夫

リノクリニック東銀座 院長

【資格・所属学会】
日本外科学会専門医 / 日本外科学会会員 / 日本形成外科学会会員 / 日本頭蓋顎顔面外科学会会員 / 日本美容外科学会会員

消化器外科・心臓血管外科・呼吸器外科・小児外科など外科研修ののち、外科専門医を取得。その後、形成外科で6年、美容外科で7年実績を積み、リノクリニック東銀座を開業、院長を務める。美容外科の技術は韓国や台湾、アメリカなどへ出向き、良質な技術を取り入れて日々の診療に生かしている。 2014年から在籍していた湘南美容クリニックでは指導医として若手美容外科医の教育にも尽力し、同院で行われた美容外科コンテストで2年連続ではグランプリを獲得。次の東京美容外科では骨切りメニューの立ち上げを行い、スタッフ教育にも尽力した。

監修日:2023.01.19

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