院長ブログ
両顎手術(骨切り術)を終えた患者様の多くが、「術後の矯正はどこで受ければよいのか?」と不安を抱えています。
現在通っている矯正歯科で継続したい、あるいは自宅近くで通院したいというご要望も多いのですが、術後矯正は“どこでもできる”わけではありません。
この記事では、骨切り専門医の立場から、術後矯正が必要な理由、矯正歯科の選び方、費用や通院頻度、そして遠方や海外からの通院ケースまで、具体的に解説します。
両顎手術後の矯正はなぜ必要?
両顎手術は、上下の顎の骨を動かすことで咬合や輪郭を整える治療法ですが、骨の移動だけでは正確な噛み合わせや歯列は得られません。
そのため、術後に矯正治療を行い、微細な咬合の調整や歯の並びを整える必要があります。
特にサージェリーファースト(手術を先行する矯正法)の場合は、術後矯正の役割が極めて重要です。歯列と骨格をバランスよく仕上げるために、術前プランから一貫した矯正プランが求められます。
術後は今の矯正歯科でも良い?
患者様からよくある質問が、「今通っている矯正歯科で、そのまま術後矯正を続けていいですか?」というものです。
外科矯正に慣れているかが判断ポイント
骨切りの術後矯正は、通常の歯列矯正とは異なり、外科手術に伴う骨格の変化に対応できる知識と経験が求められます。
例えば、以下のようなスキルが必要です。
・骨格移動を前提とした治療設計ができる
・顎運動や咬合の安定に精通している
・骨切り専門医と治療計画をすり合わせられる
もし現在の矯正医がこれらに不慣れな場合、かみ合わせが不安定になったり、治療計画がうまく進まないリスクがあります。
骨切り後の矯正歯科の選び方
骨切り術後の矯正歯科選びは、治療結果を大きく左右します。
ここでは、術後矯正を成功に導くために必要な矯正歯科選びの3つの視点をご紹介します。
① 外科矯正の経験・症例数
矯正医が「顎変形症」や「サージェリーファースト」の症例を多数扱っているかどうかは、信頼性を見極める大切な指標です。
過去の症例数や、骨切り手術と連携している外科医がいるかどうかを確認するのがポイントになります。
当院では現在、外科と連携して治療を行っている経験豊富な矯正歯科医と連携体制を構築しています。
すみれ矯正歯科本郷(本郷三丁目)
本郷三丁目駅徒歩1分。日本矯正歯科学会認定医による精密診断と多様な矯正装置で外科矯正にも対応しています。
銀座並木通りさゆみ矯正歯科(銀座)
矯正専門医が在籍し、難症例からマウスピース矯正・裏側矯正まで幅広く対応。丁寧なカウンセリングと綿密な治療計画が特長です。
イースマイル国際歯科矯正(大阪)
大阪・梅田エリア。インビザライン社ファカルティ認定医が在籍。豊富な経験と丁寧なカウンセリングで、多様な症例に対応しています。
烏丸ビューティーデンタルクリニック(京都)
矯正・審美・小児・妊産婦歯科などに幅広く対応。「美しい歯」を目指すトータルケアで、幅広い年代に支持されています。
ミライズ矯正歯科南青山(表参道)
顎変形症やサージェリーファーストに対応。手術併用の症例も多く、全国から患者が集まる実績豊富な矯正専門クリニックです。
アベニュー歯科・矯正歯科(有楽町)
一部の曜日で土日・夜21時まで診療。審美性と快適さを追求した、通いやすい都心型クリニックです。
紀尾井町プラザクリニック(紀尾井町)
医科歯科連携による総合診療を提供。再生医療や口内除菌で、虫歯・歯周病・口臭の根本治療をめざす予防重視の歯科です。
これらの矯正歯科は、サージェリーファーストや顎変形症の治療実績が豊富で、骨切り手術と一貫した治療計画を立てられる信頼できる提携先です。
また、上記以外にも、顎矯正手術の咬合プランニングの経験がある矯正歯科医とも柔軟に連携しております。
カウンセリング時にご希望や通院可能なエリアを伺い、最適な先生をご案内いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
② 外科医と矯正医の連携体制
術前プラン、骨の動き、術後のかみ合わせ――これらはすべて外科医と矯正医の密な連携の基で成立します。
オフライン・オンラインでの打ち合わせや症例共有ができる環境があると、遠隔地の患者様でもスムーズに治療が進みます。
③ 通いやすく、継続しやすい場所か?
サージェリーファーストで行う両顎手術は矯正が早く終わるとは言え、術後矯正はや1〜2年ほどになるため、「通いやすさ」は治療継続のカギとなります。
最初はモチベーションが高くても、遠方からの通院が負担になってしまい、途中で中断してしまう方も少なくありません。
月1〜2回の通院を無理なくこなせる立地であるかを事前に検討しておくことが大切です。
また、治療にかかるのは時間だけでなく交通費などの経済的コストも含まれます。
通院のたびに新幹線や高速バスを使う場合、交通費が月に数万円かかることもあり、総額でみると大きな出費になります。
そのため、費用面でも無理のない範囲で、「通える」「続けられる」矯正歯科を選ぶ視点が非常に重要です。
遠方・海外在住の方の術後矯正は?
症例連携で引き継ぎ可能なケースも
地方や海外にお住まいの方でも、次のような対応により術前〜術後矯正までスムーズな治療が可能です。
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術前・術後3ヶ月までは都内で治療
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咬合が安定してから地元の矯正医に引き継ぐ
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海外在住の方とは、Zoomやデータ共有による症例連携体制を構築
また、実際に当院には「骨切り手術を目的として海外から来日される患者様」もいらっしゃいます。
例えば、海外在住の日本人の方が一時帰国時に骨切りを受け、術後は現地の矯正歯科と当院が連携して治療を継続した実績もあります。
ただし、すべての症例でこのような遠隔対応が可能というわけではありません。
術前プランを立てた矯正医が一貫して治療に関わることが、最も安全かつ確実な選択肢です。
ご希望や生活状況に応じて柔軟なご提案も可能ですので、カウンセリング時にお気軽にご相談ください。
術後矯正の費用と通院頻度
費用相場は80〜150万円前後
術後矯正は自費診療となるケースが多く、装置の種類や地域によって費用は異なります。
目立たない装置(セラミック・透明):120〜150万円
メタル装置中心で費用を抑える場合:80〜100万円前後
いずれも、治療の質・通いやすさ・信頼性で選ぶことが重要です。
ご自身がどのくらい費用がかかるか知りたい方は、矯正歯科のカウンセリングでご相談ください。
通院頻度と治療期間
通院頻度は月1回、状況により2回となる場合もあります。途中からインビザラインなどのマウスピース矯正になると通院頻度が2ヶ月に1回などにする子もとできます。治療期間は術後1年から2年となります。術前の歯列の状況や咬合をどの程度移動させたかにもよるので、担当してくれる矯正歯科医としっかり相談して、術後の流れを確認しておくことをお勧めします。
骨切り後の矯正成功のカギ
骨切り後の矯正治療は、見た目と機能の両立を叶えるために欠かせないプロセスです。
「今通っているから」「家から近いから」だけで選ぶのではなく、外科矯正に強い矯正医と信頼できる治療チームを選ぶことが何より大切です。
監修者情報

宮﨑 邦夫
リノクリニック東銀座 院長【資格・所属学会】
日本外科学会専門医 / 日本外科学会会員 / 日本形成外科学会会員 / 日本頭蓋顎顔面外科学会会員 / 日本美容外科学会会員
消化器外科・心臓血管外科・呼吸器外科・小児外科など外科研修ののち、外科専門医を取得。その後、形成外科で6年、美容外科で7年実績を積み、リノクリニック東銀座を開業、院長を務める。美容外科の技術は韓国や台湾、アメリカなどへ出向き、良質な技術を取り入れて日々の診療に生かしている。 2014年から在籍していた湘南美容クリニックでは指導医として若手美容外科医の教育にも尽力し、同院で行われた美容外科コンテストで2年連続ではグランプリを獲得。次の東京美容外科では骨切りメニューの立ち上げを行い、スタッフ教育にも尽力した。
監修日:2025.07.17