院長コラム

オトガイ形成(顎の骨切り手術)とは?保険適用・3Dシミュレーション・Vライン設計まで徹底解説

オトガイ形成と顎の骨切り手術とは

オトガイ形成とは、顎先(下顎の最前部)を骨切りし、位置や角度、長さを調整して顔全体のバランスを整える手術です。


顎を前に出す・短くする・幅を寄せるなどの操作により、フェイスラインや横顔(Eライン)を理想的な形へ導きます。

当院での見解としては、上下顎を動かした後に、オトガイ形成を行わないプランはほとんどありません。

顎先は輪郭デザインの最終調整であり、Vラインの印象を決める重要な要素だと考えています。

つまり、オトガイ形成は単なる“顎の整形”ではなく、輪郭全体のバランスを設計する仕上げの工程
顔の印象を大きく左右する、骨格デザインの中核を担う手術なのです。

オトガイ形成をしない顎治療の問題点

顎先は、顔全体の中で最も下部に位置する“終点”です。


上顎・下顎・歯列の動きと密接に連動しており、たとえ咬合(噛み合わせ)を整えても、顎先を調整しなければ全体のバランスが崩れることがあります。

たとえば、「ゴボ口(口元が前に出て見える状態)」を改善するために上下顎を後退させた症例では、顎先の位置が相対的に後退して見えることがあります。


このままでは、Vラインがぼやけてフェイスラインが丸く見えることがあるのです。

そのため、上下顎手術とオトガイ形成を組み合わせ、正面・側面の両方から見て整ったラインを作ることが理想的です。


このように骨格全体を連動させて設計するアプローチが、いわゆる「輪郭3点併用手術」と呼ばれる理由でもあります。

オトガイ形成の3Dシミュレーション設計

従来のセファロ(側貌レントゲン)だけでは不十分と感じます。セファロでは前後方向の情報は得られても、「顎先の幅」「角度」「立体的な形状」までは把握できないのです。

そのため当院では、3Dシミュレーションシステム「クリサリクス(Crisalix)」を導入しています。
クリサリクスでは、術前に患者さまの顔を3D化します。

  • 正面から見たVライン

  • 横顔から見たEライン

  • 顎の角度・長さ・幅
    をリアルタイムで確認しながら、医師と患者が理想の仕上がりをすり合わせることができます。

このプロセスにより、「どのくらい顎を動かせばどんな印象になるか」を事前に可視化でき、“思っていたよりも短かった/長かった”といった認識のズレを防ぐことが可能になります。


オトガイ形成におけるクリサリクスの導入は、満足度を飛躍的に高める要素です。

オトガイ形成の症例とVライン改善例

両顎手術とオトガイ形成

実際に、ゴボ口(口元の突出)を主訴に来院された患者さまの症例では、
上下顎の骨を正しい位置へ移動させた後、顎先の幅と角度をミリ単位で調整しました。

当院では、3Dシミュレーションを用いて正面と横顔の両方を比較し、

  • 顎の後退角度

  • 幅寄せ量

  • 長さのバランス
    を精密に検討。

結果として、正面ではよりシャープなVラインが生まれ、横顔ではEラインが自然に整う仕上がりとなりました。


このようにオトガイ形成は、単独ではなく上下顎手術との連動設計が美的調和の鍵となります。

オトガイ形成の骨切りと顎デザイン法

オトガイ形成にはいくつかのバリエーションがあります。

前方移動(アドバンスメント)

後退した顎を前に出すことで、Eラインと口元の調和を整えます。

短縮(ショートニング)

面長な印象を和らげたい場合に、下方向の骨を短くします。

幅寄せ(タッピング)

顎先が広い場合に中央へ寄せ、シャープで女性的なラインにします。

下方移動(ダウンセッティング)

顎が短く、引っ込んだ印象を補正する際に有効です。

下顎神経を避けながら骨を切り、プレートで固定する精密な操作が求められ、顎先の1mmの違いが、横顔と表情の印象を変えると考えています。

オトガイ形成と保険適用の条件

オトガイ形成は多くの場合、美容目的の審美形成に分類されるため、保険適用外の自由診療となります。


保険が適用されるのは、顎変形症として機能的な咬合改善を目的とした場合に限られ、その際もオトガイ形成まで実施されない施設が多いのが現状です。

結果として、噛み合わせは改善しても「輪郭に満足できない」というケースが生じます。当院では、骨格・表情・バランスを含めた“美と機能の両立”を目指し、自由診療領域での高度なデザインを行っています。

オトガイ形成のメリットと顎の注意点

メリット

  • 横顔・正面のバランスが整う

  • ゴボ口・面長の印象改善

  • フェイスラインがシャープに

  • 咬合治療後の仕上げ補正が可能

デメリット・リスク

  • 腫れ・内出血(約1〜2週間)

  • 一時的なしびれ(3〜6ヶ月で回復)

  • 出血・感染・骨癒合不全

  • プレート除去が必要な場合あり

手術リスクを最小限に抑えるためには、解剖構造と審美設計の両方に精通した外科医の技術が不可欠です。

オトガイ形成後の顎ダウンタイム経過

手術後2〜3日は腫れのピークで、冷却を中心にケアします。1週間後に抜糸、2週間程度でむくみが落ち着き、1ヶ月で見た目上の腫れはほとんど引きます。


神経の違和感は徐々に改善し、完全な骨癒合までは約3〜6ヶ月です。


日常生活への復帰は比較的早く、1〜2週間で軽作業が可能になります。

まとめ:顎ラインを整えるオトガイ形成

オトガイ形成は、顎先の形を変えるだけでなく、噛み合わせ・輪郭・バランスを統合的に整える設計手術です。


上下顎手術との連動、3Dシミュレーション、医師の美的感覚が揃ってこそ、自然で整ったVラインが生まれます。

当院ではクリサリクスによる3Dシミュレーションを活用し、患者さまの理想の顔立ちを再現。
術前から術後の変化を見える化し、安心して手術に臨んでいただける環境を整えています。


美しさと機能性の両立を目指すオトガイ形成をご検討の方は、ぜひご相談ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. オトガイ形成は痛いですか?
A. 手術は麻酔下で行うため痛みはありません。術後の痛みも鎮痛薬でコントロールしていきます。痛みが不安な方はカウンセリングでご相談ください。

Q2. ダウンタイムはどのくらい?
A. 腫れは1〜2週間で落ち着き、完全な回復は3〜6ヶ月が目安です。

Q3. 保険でオトガイ形成はできますか?
A. 顎変形症の診断がある場合のみ一部保険適用ですが、美容目的では自由診療となります。

Q4. 仕上がりのシミュレーションは可能ですか?
A. 当院ではクリサリクスを使用し、手術前に3Dで仕上がりをイメージできます。

監修者情報

宮﨑 邦夫

リノクリニック東銀座 院長

【資格・所属学会】
日本外科学会専門医 / 日本外科学会会員 / 日本形成外科学会会員 / 日本頭蓋顎顔面外科学会会員 / 日本美容外科学会会員

消化器外科・心臓血管外科・呼吸器外科・小児外科など外科研修ののち、外科専門医を取得。その後、形成外科で6年、美容外科で7年実績を積み、リノクリニック東銀座を開業、院長を務める。美容外科の技術は韓国や台湾、アメリカなどへ出向き、良質な技術を取り入れて日々の診療に生かしている。 2014年から在籍していた湘南美容クリニックでは指導医として若手美容外科医の教育にも尽力し、同院で行われた美容外科コンテストで2年連続ではグランプリを獲得。次の東京美容外科では骨切りメニューの立ち上げを行い、スタッフ教育にも尽力した。

監修日:2025.10.19

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