院長コラム

両顎手術に欠かせないステントの種類と特徴|リノ式ダブルステントとは

両顎手術とステントの重要性

両顎手術(上下顎移動術)は、上下の顎骨を正しい位置に動かすことで噛み合わせや顔貌を改善する高度な外科手術です。顎の左右差や咬合の不調和を整えることは、単なる美容的な変化にとどまらず、呼吸や発音、咀嚼機能の改善にもつながります。患者様にとっては見た目と機能の両面で生活の質を高める大きな手術です。

この手術において欠かせないのが「ステント」と呼ばれる器具です。ステントは手術中に上下の顎の位置を正確に決定し、シミュレーション通りの仕上がりを実現するための“ガイド”として機能します。骨を動かすだけでは自然に正しい噛み合わせになるわけではなく、術前に矯正医が決めた顎位を手術に反映させる必要があります。その際に、ステントが大きな役割を果たすのです。

シングルステントの特徴

シングルステントは、矯正医が作製する1枚のステントを用いて上下顎の位置を一度に決定する方法です。準備がシンプルで外注や工程も少なく済むため、比較的導入しやすい方法といえます。

ただし、術中の固定作業では術者の感覚に依存する部分が大きく、わずかなズレが生じる可能性があります。例えば、数ミリの誤差でも口元のバランスやフェイスラインに大きく影響するため、結果として修正や再手術が必要になるリスクも否定できません。

メリット

  • 準備が簡単でスピーディー

  • 矯正医のプランをそのまま反映できる

デメリット

  • 固定が難しく、術者の経験に依存

  • 誤差が出た場合、修正が大掛かりになる

ツーステントの特徴

ツーステントは、2枚のステントを用いて段階的に顎を移動させる方法です。シングルステントよりは安定性が高く、ズレのリスクは減少します。しかし最終的に誤差が残ることもあり、術後の仕上がりに影響する可能性があります。

ツーステントは形成外科や口腔外科の一部で採用されていますが、設計や準備に手間がかかり、確実に精度が担保されるわけではありません。

メリット

  • シングルよりも安定性が高い

  • 段階的に骨を移動できる

デメリット

  • 精度には限界があり、誤差が残ることがある

  • 手術工程が複雑化しやすい

リノ式ダブルステントの特徴

リノクリニック東銀座が採用するリノ式ダブルステントは、従来の方法を超えた高精度な方式です。これは単にステントを2枚使うという意味ではなく、術前シミュレーションから術中操作までを一貫して精密に管理するためのシステムです。

特徴

  • 三次元シミュレーションを忠実に再現

  • 術中のズレを極限まで低減

  • 修正や後戻りのリスクを最小限に抑制

  • 顎骨移動を段階的に確認しながら安全に固定可能

この方式では、術前に決定した顎位を正確に再現できるため、見た目のバランスだけでなく噛み合わせの安定性も向上します。患者様にとっては「一度の手術で満足できる結果が得られる」という安心感が最大のメリットです。

手術ステント方式の比較(シングル/ツー/リノ式ダブル)
項目 シングルステント ツーステント リノ式ダブルステント
精度・再現性

術者依存が大きく、

誤差が出やすい

段階移動で精度は中〜高

三次元再現性が高く

誤差を極小化

術中の安定性 固定時のブレが起きやすい

サポートは増える

補助輪的に強力にサポート

準備・工程

簡便

準備負荷は小

設計・確認が増える

設計〜検証を綿密に実施

プラン変更への対応 術前変更は比較的容易 2枚分の調整が必要 院内3D出力なら即時

再設計・再出力可

再手術・後戻りリスク 相対的に高め

初回満足度を高めやすい

向いているケース 軽度移動、簡便性重視 中等度移動、

段階確認したい場合

高精度要求、大きめ移動、

左右差是正

デメリット 誤差が出やすい/

術者負荷が大

工程増・時間増/

精度限界あり

院内での準備負荷
院内3Dプリンター相性

あると便利

(必須ではない)

あると調整がスムーズ 必須級

即応・高精度の鍵

準備期間の目安 短い(外注なし前提) 中程度

最短1日

(院内設計・出力体制)

使用ステント枚数 1枚 2枚 2枚(設計思想・運用を強化)
*準備期間はデータの揃い方・外注有無・院内設備により変動します。

リノクリニック東銀座での取り組み

リノクリニック東銀座では、国内でも稀少なリノ式ダブルステントを標準導入しています。さらに、外注に頼らず3Dプリンターを院内に導入し、ステントを自院で設計・製作する体制を構築しています。

この体制によって、

  • 手術直前のプラン変更にも即応可能

  • 外注による時間的なロスを解消

  • 個々の患者様に合わせたオーダーメイド手術をスピーディーに準備

が可能になっています。矯正医から歯列データが届けば、噛み合わせ模型からステント作製まで最短1日で準備が整います。従来であれば数日〜1週間以上かかるプロセスが大幅に短縮され、患者様の希望に迅速に対応できるのは大きな強みです。

3Dプリンターによるステント作製の流れ

  1. 設計
    矯正医から受け取った歯列データをソフトに取り込み、リノ式ダブルステントをデザイン。

  2. 造形
    STLデータを3Dプリンターに送信。光重合レジンで積層造形し、1〜3時間半程度で完成。

  3. 後処理
    洗浄・光硬化で仕上げ、歯科治療でも用いられる安全性の高いレジンで完全硬化。

  4. 最終確認
    歯と歯の噛み合わせに隙間なくフィットし、術中の固定をサポート。

このプロセスにより、外注では難しい柔軟な修正対応も可能になります。

他院で導入が少ない理由

リノ式ダブルステントは非常に優れた方法ですが、導入している医院は国内でも限られています。

  • 高度な知識と経験が必須

  • 高額な機材投資が必要

  • 設計から造形までに多工程が必要

これらの課題が導入の大きなハードルとなっているためです。

リノ式ダブルステントの強み

リノクリニック東銀座では、こうしたハードルを乗り越え、リノ式ダブルステントを日常的に採用しています。

  • 精度:シングルやツーステントを超える三次元的再現性

  • 再現性:術中のズレを極限まで抑制

  • 信頼性:初回手術で高い満足度を実現

さらに、修正手術や再手術のリスクを抑え、患者様に安心を提供することを第一に考えています。初回で高精度な手術を行うことは、将来的なダウンタイムや心理的負担を減らすことにもつながります。

両顎手術における精度と安全性の追求

両顎手術は顔全体の印象を大きく変えるため、わずかな誤差でも結果に直結します。例えば、たった2〜3mmの誤差でも横顔のバランスや口元の位置に大きな違いを生みます。リノ式ダブルステントと3Dプリンターを組み合わせることで、シミュレーション通りの顎位を再現し、誤差を最小限に抑えることが可能です。

また、海外で骨切り手術を受けた後に感染や修正目的で来院される患者様も少なくありません。初回から高精度な治療を提供することは、患者様の将来の負担を減らすうえで極めて重要です。

より安全な両顎手術へ向けた展望

3Dプリンター技術は今後さらに進化し、AIと組み合わせた自動設計やより短時間での造形が可能になると考えられます。その未来を見据えて、リノクリニック東銀座では常に新しい技術を取り入れ、患者様により安全で確実な医療を提供する姿勢を貫いています。

リノ式ダブルステントは単なる器具ではなく、患者様の人生に大きな影響を与える治療の質を支える基盤です。当院ではこの体制を維持・発展させ、国内トップレベルの両顎手術を提供し続けます。

まとめ

両顎手術の成功は、ステントの精度に大きく依存します。シングルやツーステントでは限界がある中で、リノクリニック東銀座では国内でも稀少なリノ式ダブルステントを標準導入し、さらに3Dプリンターを活用することで柔軟かつ迅速に精度の高い手術を提供しています。

「一度の手術で満足していただくこと」を目標に、設備と技術に投資を惜しまない姿勢こそがリノクリニックの強みです。両顎手術をご検討の方は、ぜひ一度カウンセリングにお越しください。

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050-3526-1492

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