院長コラム
輪郭3点・Vライン形成とは
Vライン形成や輪郭3点手術は、顎先(オトガイ)・下顎角(エラ)・頬骨の3カ所を整えることで、顔全体を小さく、シャープに見せる美容外科手術です。
「顎が大きい」「顔が長い」「エラが張っている」といった輪郭の悩みを改善するため、多くの方が希望されます。
これらの手術は骨を切除・移動するため、変化量が大きく、顔の印象が劇的に変わることも少なくありません。
しかし一方で、もともとの骨格や噛み合わせの状態を十分に考慮しないまま施術を行うと、受け口感や顔のフラットさが残ることがあるのも事実です。
修正希望が多い輪郭の特徴
実際にクリニックを訪れる患者さんの中には、
「過去にVライン形成や輪郭3点をしたが、満足できなかった」という相談が少なくありません。
その多くが、受け口気味(下顎前突)タイプの輪郭です。
このタイプでは顎先が前方に出ているため、正面・横顔ともに「顎が長い」「しゃくれて見える」と感じやすい傾向があります。
こうした方がVライン形成のみを行うと、顎の長さは短縮できても、中顔面(鼻下〜口元)の凹みやフラット感が残るケースが多く見られます。
そのため「顎は短くなったけれど顔全体が平面的」「横から見るとしゃくれた印象が残る」と感じてしまうのです。
なぜVラインだけでは改善しにくいのか
Vライン形成や輪郭3点は「下顔面の形」を整える手術ですが、受け口タイプの骨格は上下顎の位置関係(噛み合わせ)が根本的な原因となっている場合があります。
そのため、顎先やエラだけを整えても、
・中顔面がフラットな印象のまま
・口元の位置が後ろに下がって見える
・横顔でEライン(鼻先〜顎先のライン)が崩れる
といった問題が残るのです。
特に中顔面の立体感を出すには、単なるオトガイ形成ではなく、両顎手術(上顎+下顎の骨切り)による前後バランスの調整が必要になることがあります。
両顎手術で改善できるポイント
両顎手術は、上顎をLe Fort I型、下顎をBSSO(またはSSRO)で骨切りし、上下の位置関係を最適化する治療です。
Vライン形成や輪郭3点と異なり、噛み合わせと輪郭の両方を根本的に整えることができます。
この際、オトガイ形成(顎先カット)も同時に行うため、
・顎の長さ調整
・Vラインの角度微調整
・口元の前後位置修正
がすべて1回の手術で可能です。
医師の見解としても、Vライン形成を行う前に両顎手術を検討することで、修正リスクを大幅に減らせるケースが多いです。
当院での修正相談が多いケースと実例
実際に当院へ来院された患者さまの中には、輪郭3点手術後にもかかわらず「横顔がフラット」「顎がまだ長く見える」と悩まれていた方がいました。
CTで骨格を確認すると、下顎前突(Class III)タイプで、噛み合わせが受け口気味になっていました。
この方には両顎手術を提案し、オトガイ骨を再度カット・回転。前方移動を加えながら長さを短縮し、Eラインを整えました。
結果として、顔の立体感が改善し、小顔効果とナチュラルなフェイスラインを両立することができました。
骨切り手術を選ぶ前に確認したいこと
手術前に必ず確認しておきたいのは、「自分の輪郭がどのタイプに分類されるか」
という点です。
受け口タイプか、単にエラや顎の張りが強いタイプかで、
選ぶべき手術法は大きく異なります。
Vライン形成や輪郭3点で十分整う方もいれば、両顎手術が必要なケースもあるため、術前のCT解析・噛み合わせ評価を行う医師に相談することが大切です。
宮﨑医師が考える失敗を防ぐコツ
-
手術の順序を誤らないこと
先にVラインや輪郭3点を行うと、後の骨格矯正が難しくなるケースがあります。
噛み合わせの問題が疑われる場合は、両顎手術を優先的に検討しましょう。 -
「長さ」だけでなく「位置関係」を見ること
顎を短くするだけでは受け口感は解消されません。
上顎・下顎・オトガイの位置をトータルで評価することが重要です。 -
修正前提ではなく“一度で完成を目指す”
両顎手術でVライン形成を同時に行えば、
二重のダウンタイムを避けつつ、顔全体の調和を得られます。
まとめ:自分の輪郭タイプを正しく理解する
Vライン形成や輪郭3点手術は魅力的な選択肢ですが、
骨格タイプによっては「受け口感が残る」「平面的に見える」といった限界もあります。
顎が長い・太い・しゃくれて見えると感じる場合は、
単なる顎削りではなく、両顎手術によるバランス修正を検討することで、より自然で立体的な仕上がりを得られます。
よくある質問(Q&A)
Q1. 輪郭3点と両顎手術の違いは?
A. 輪郭3点は顔の外形(骨の形)を整える施術、両顎手術は上下顎の位置関係を改善する手術です。目的が異なります。
Q2. Vライン形成後に両顎手術はできますか?
A. 可能ですが、骨の状態によっては再切開が必要になります。先にVラインを行うと修正計画が複雑化するため注意が必要です。
Q3. ダウンタイムはどれくらい?
A. 両顎手術は2〜3週間の腫れ、Vライン形成は約1〜2週間が目安ですが、個人差があります。
Q4. どの手術が自分に合っているかわからない
A. CT分析と噛み合わせの評価を行い、受け口や骨格タイプに応じて最適な手術法を選ぶのが安全です。
監修者情報

宮﨑 邦夫
リノクリニック東銀座 院長【資格・所属学会】
日本外科学会専門医 / 日本外科学会会員 / 日本形成外科学会会員 / 日本頭蓋顎顔面外科学会会員 / 日本美容外科学会会員
消化器外科・心臓血管外科・呼吸器外科・小児外科など外科研修ののち、外科専門医を取得。その後、形成外科で6年、美容外科で7年実績を積み、リノクリニック東銀座を開業、院長を務める。美容外科の技術は韓国や台湾、アメリカなどへ出向き、良質な技術を取り入れて日々の診療に生かしている。 2014年から在籍していた湘南美容クリニックでは指導医として若手美容外科医の教育にも尽力し、同院で行われた美容外科コンテストで2年連続ではグランプリを獲得。次の東京美容外科では骨切りメニューの立ち上げを行い、スタッフ教育にも尽力した。
監修日:2025.10.13