マンジャロ（有効成分：チルゼパチド）は、2型糖尿病の治療薬として承認されている薬剤です。
高い血糖降下作用に加え、体重減少効果も期待できることから注目を集めていますが、他の薬剤と同様に、使用にあたっては危険性や副作用について十分に理解しておくことが重要です。
この記事では、マンジャロの使用を検討している方が知っておくべきリスクについて、詳しく解説します。
マンジャロの危険性とは、主にその作用によって引き起こされる可能性のある「副作用」や、特定の状態にある人が使用した場合に生じる「リスク」を指します。
どんな薬にも副作用のリスクは存在しますが、マンジャロは比較的新しいタイプの注射薬であり、その効果の強さゆえに注意が必要な点があります。
マンジャロは、GLP-1受容体作動薬とGIP受容体作動薬の両方の作用を併せ持つ薬剤です。
これにより、血糖値を下げるだけでなく、食欲を抑えたり胃の内容物の排出を遅らせたりする効果が期待できます。この作用が、特定の副作用やリスクにつながることがあります。
マンジャロの使用を検討する際は、期待される効果だけでなく、これらの危険性もしっかりと理解し、必ず医師と十分に話し合うことが不可欠です。
自己判断での使用は絶対に避けるべきです。
マンジャロの主な副作用と発生頻度
マンジャロで比較的高い頻度でみられる副作用は、主に消化器系に関するものです。
これらの副作用は、薬の作用メカニズムに関連しており、多くの場合は一時的なものです。
消化器系の副作用（吐き気、嘔吐、下痢、便秘など）
マンジャロの最も一般的な副作用は、吐き気、嘔吐、下痢、便秘などの消化器症状です。
これは、マンジャロが胃の動きを遅くする作用を持つことに起因します。この作用によって食後の血糖値の上昇を抑える効果が得られますが、同時に胃の内容物が長く胃にとどまることで、これらの症状を引き起こす可能性があります。
- 吐き気（悪心）: 最も多く報告される副作用の一つです。特に投与開始初期や、用量を増やした際に起こりやすい傾向があります。多くの場合、時間経過とともに軽減しますが、症状が強い場合は医師に相談が必要です。
- 嘔吐: 吐き気に伴って起こることがあります。脱水症状につながる可能性もあるため、頻繁に起こる場合は注意が必要です。
- 下痢: 腸の動きや内容物の通過速度に影響することで起こる場合があります。
- 便秘: 胃の動きが遅くなることなどが影響し、便秘になることもあります。
- 腹痛: 胃や腸の不快感として感じられることがあります。
これらの消化器症状の発生頻度は、用量によって異なりますが、臨床試験では比較的高頻度（例えば、吐き気が20%以上、下痢が10-20%程度など）に報告されています。
ただし、その多くは軽度から中等度であり、治療の継続によって改善することが多いとされています。
もしこれらの症状が続く場合や、日常生活に支障をきたすほど重い場合は、我慢せずに必ず主治医に相談しましょう。
必要に応じて、症状を和らげる薬が処方されたり、マンジャロの用量調整が行われたりすることがあります。
低血糖のリスク
マンジャロ単独での使用の場合、重篤な低血糖を起こすリスクは低いとされています。
しかし、他の糖尿病治療薬（特にSU薬やインスリン製剤）と併用する場合には、低血糖のリスクが高まる可能性があります。
低血糖とは、血糖値が正常範囲（一般的に70mg/dL未満）を下回る状態を指します。
症状としては、空腹感、冷や汗、手の震え、動悸、めまい、脱力感などが挙げられます。重症化すると、意識障害やけいれんを起こし、非常に危険な状態になることもあります。
- なぜ低血糖が起こるのか？: マンジャロは血糖値が高い場合にインスリン分泌を促進する作用がありますが、血糖値が低い場合にはインスリン分泌を刺激しにくいという特徴があります。そのため、マンジャロ単独であれば低血糖は起こりにくいのですが、血糖値を下げる作用が強い他の薬剤と併用することで、血糖値が必要以上に下がってしまうリスクが生じます。
- 特に注意が必要なケース:
- SU薬やインスリン製剤を使用している場合
- 食事を十分に摂れない場合や食事を抜いた場合
- 激しい運動をした場合
- 体調が悪い場合（例：発熱、下痢、嘔吐など）
- 高齢者や腎機能障害がある方
SU薬やインスリン製剤を併用している場合は、低血糖を防ぐためにこれらの薬剤の用量を調整する必要があるか、必ず医師に確認しましょう。
また、万が一の低血糖に備えて、ブドウ糖や砂糖を含む飴などを常に携帯しておくことが推奨されます。低血糖の症状を感じたら、すぐにこれらを摂取し、症状が改善しない場合や意識が朦朧とする場合は、速やかに医療機関を受診するか救急車を呼ぶ必要があります。
注射部位の反応
マンジャロは自己注射薬であるため、注射した部位に反応が起こることがあります。
これは、皮膚への刺激や薬剤そのものに対する反応として起こるものです。
注射部位の反応としては、以下のような症状が報告されています。
- 疼痛（痛み）
- 紅斑（赤み）
- そう痒感（かゆみ）
- 腫脹（腫れ）
これらの症状は、ほとんどの場合軽度であり、数日以内に自然に改善することが多いです。
注射する場所を毎回変える（回転させる）ことで、反応のリスクを減らすことができます。もし、注射部位の反応がひどい場合、範囲が広がる場合、または症状が続く場合は、感染なども考えられるため、医師に相談するようにしましょう。
マンジャロで起こりうる重大な副作用のリスク
マンジャロは、比較的まれではありますが、注意が必要な重大な副作用が報告されています。
これらの副作用は、発生頻度は低いものの、適切な対応が遅れると重篤な結果を招く可能性があるため、症状を知っておき、異常を感じたらすぐに医療機関を受診することが重要です。
急性膵炎のリスク
マンジャロを含むGLP-1受容体作動薬のクラスでは、急性膵炎の発症リスクが報告されています。
膵炎は、膵臓が炎症を起こす病気で、重度の腹痛や嘔吐などを引き起こします。
- 急性膵炎の症状:
- みぞおちや上腹部の強い痛み（背中や肩に広がることもあります）
- 吐き気、嘔吐
- 発熱
- お腹の張り
これらの症状は、突然現れることが多いです。
マンジャロの使用中にこれらの症状が現れた場合は、急性膵炎の可能性を疑い、速やかにマンジャロの投与を中止し、直ちに医療機関を受診する必要があります。
なぜ膵炎のリスクがあるのか？
マンジャロの作用メカニズムの一つとして、膵臓のインスリン分泌細胞に作用することが知られています。この作用が、一部の患者さんで膵臓に炎症を引き起こす可能性があると考えられています。ただし、全てのマンジャロ使用者で膵炎が起こるわけではなく、特定の遺伝的要因や他の病気（例：胆石、高トリグリセリド血症、過度の飲酒など）がリスクを高める可能性も指摘されています。
過去に膵炎になったことがある方や、膵炎のリスクを高める要因がある方は、マンジャロを使用する前に必ず医師にその旨を伝えましょう。
医師が慎重に判断し、リスクとベネフィットを考慮して処方を行うか判断します。
胆嚢炎、胆石症のリスク
マンジャロを含むGLP-1受容体作動薬の使用は、胆嚢炎や胆石症のリスクを高める可能性が報告されています。
胆嚢は肝臓の下にある小さな臓器で、胆汁を貯蔵・濃縮する役割があります。胆石は胆汁の成分が固まってできるもので、胆嚢や胆管に詰まると炎症（胆嚢炎）や強い痛み（胆石疝痛）を引き起こします。
- 胆嚢炎・胆石症の症状:
- 右上腹部またはみぞおちの痛み（食後に悪化することが多い）
- 右肩や背中への放散痛
- 吐き気、嘔吐
- 発熱（胆嚢炎の場合）
- 黄疸（皮膚や目が黄色くなる、胆管が詰まった場合）
これらの症状が現れた場合も、速やかに医療機関を受診する必要があります。
なぜ胆嚢炎・胆石症のリスクがあるのか？
正確なメカニズムは完全には解明されていませんが、マンジャロによる急激な体重減少が胆石形成のリスクを高める可能性があると考えられています。また、胃の動きが遅くなることなどが胆汁の流れに影響を与える可能性も指摘されています。
過去に胆嚢や胆石に関する病気にかかったことがある方、あるいは胆石のリスクが高い方（肥満、急激な体重減少の経験がある方、特定の病気がある方など）は、必ず医師にその旨を伝えましょう。
重度の胃腸障害（胃不全麻痺など）
マンジャロの作用の一つである胃の動きを遅くする効果が強く出すぎた場合、重度の胃腸障害を引き起こす可能性があります。
特に、胃不全麻痺と呼ばれる状態では、胃の内容物が正常に排出されず、重度の吐き気、嘔吐、腹部膨満感、早期満腹感などが持続します。
近年、マンジャロを含むGLP-1受容体作動薬の使用と、まれなケースではありますが、このような重度の胃不全麻痺との関連性が指摘されています。
- 重度の胃腸障害の症状:
- 持続する強い吐き気や嘔吐
- 食後の重度の腹部膨満感
- 少量食べただけですぐにお腹がいっぱいになる（早期満腹感）
- 食欲不振
これらの症状が継続したり悪化したりする場合は、軽度の消化器症状とは異なり、速やかに医師に相談する必要があります。
胃の動きを遅くする効果が強く出ている可能性があるため、マンジャロの投与継続が適切かどうかを医師が判断します。
特に、すでに胃の動きに問題がある方（例：糖尿病性胃不全麻痺がある方）は、マンジャロの使用により症状が悪化するリスクがあるため、慎重な検討が必要です。
その他の稀な副作用
上記以外にも、マンジャロの使用によって稀に起こりうる重大な副作用や注意すべき点が報告されています。
- 腎機能障害の悪化: 稀に、脱水などに関連して腎機能が悪化する可能性が指摘されています。特に、すでに腎臓に病気がある方は注意が必要です。下痢や嘔吐などで脱水しやすい状態が続く場合は、腎機能への影響がないか注意深く経過を観察する必要があります。
- 重度のアレルギー反応: マンジャロの成分に対して、アナフィラキシーなどの重度のアレルギー反応を起こす可能性は非常に稀ですがゼロではありません。発疹、かゆみ、じんましん、呼吸困難、まぶたや唇・舌の腫れ、めまいなどの症状が現れた場合は、直ちにマンジャロの使用を中止し、救急医療を要請する必要があります。
- 胆石に関連しない胆嚢炎: 胆石がないにも関わらず、胆嚢炎を発症したケースも一部で報告されています。
- 網膜症の悪化: 糖尿病網膜症がある方で、マンジャロの使用開始後に一時的に網膜症が悪化する可能性が指摘されています。これは、急激な血糖コントロールの改善が影響している可能性があり、インスリン療法を開始した際にも同様のリスクが知られています。眼科的な診察を受けている方は、マンジャロを開始する際に主治医や眼科医と相談することが重要です。
これらの重大な副作用は非常に稀ではありますが、起こりうることを認識しておくことが、安全な治療を受ける上で大切です。
体調に異変を感じたら、「いつものことだろう」と自己判断せず、必ず医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
マンジャロが適応とならないケース・使用を避けるべき人
以下のような方は、マンジャロの使用が禁忌または慎重な投与が必要となる場合があります。
- マンジャロの成分に対して過敏症（アレルギー）の既往歴がある方: 重度のアレルギー反応を起こすリスクがあるため、使用できません。
- 膵炎の既往歴がある方: 急性膵炎を再発するリスクが高まる可能性があるため、原則として使用できません。やむを得ず使用する場合は、非常に慎重な判断と厳重な経過観察が必要です。
- 重度の胃不全麻痺などの重度の胃腸障害がある方: 胃の動きを遅くするマンジャロの作用により、症状が悪化するリスクが高いため、使用は推奨されません。
- 甲状腺髄様癌または多発性内分泌腫瘍症2型（MEN2）の既往歴または家族歴がある方: 動物実験で甲状腺腫瘍との関連が示唆されています。人での関連性は確立されていませんが、リスクを考慮し、これらの病気がある方や家族歴がある方には通常推奨されません。
- 妊娠中または授乳中の女性: 妊娠中の使用に関する安全性は確立していません。胎児への影響が懸念されるため、妊娠が判明した場合や妊娠を希望する場合は使用を中止する必要があります。授乳中の使用についても安全性が確認されていないため、使用中は授乳を避けるべきとされています。
- 小児: 小児に対する安全性と有効性は確立していません。
- 重度の腎機能障害、透析を受けている方: 腎機能に応じた用量調節など、慎重な検討が必要となる場合があります。
- 高齢者: 一般的に生理機能が低下していることが多いため、副作用の発現に注意し、慎重に投与する必要があります。
これらは主なケースであり、個々の患者さんの病状や併用薬などによって、マンジャロが適さないと判断される場合があります。
必ず医師の診察を受け、ご自身の既往歴や現在の状態を正確に伝えることが非常に重要です。
マンジャロダイエットにおける潜在的な危険性
マンジャロは2型糖尿病の治療薬として承認されており、保険適用も2型糖尿病患者さんに限定されています。
しかし、その体重減少効果に注目が集まり、2型糖尿病ではない方が「ダイエット目的」で使用するケースが見られます。これは承認外使用にあたり、様々な潜在的な危険性が伴います。
- 安全性に関するデータの不足: 2型糖尿病ではない肥満の方に対するマンジャロの安全性に関する長期的なデータは、2型糖尿病患者さんに比べて限られています（肥満症治療薬としての治験は進行中ですが、日本国内ではまだ承認されていません）。健康な人が漫然と使用した場合の予期せぬ副作用やリスクが明らかになっていない可能性があります。
- 副作用のリスク増大: 上記で述べた消化器症状、低血糖、膵炎、胆嚢炎などのリスクは、糖尿病患者さんでなくても起こりえます。特に、低血糖については、糖尿病ではない方でも、食事や運動の状況によっては発生する可能性があり、危険を伴います。
- 自己判断による不適切な使用: 医師の管理下でなく自己判断で使用する場合、適切な用量や投与方法が守られず、過量投与による副作用のリスクを高めたり、逆に効果が不十分であったりする可能性があります。また、注射薬であるため、正しい方法で投与しないと感染や組織の損傷などのリスクも生じます。
- 偽造品の危険性: 医師の処方を受けずに個人輸入などで入手した場合、それが本物のマンジャロである保証はありません。偽造品には有効成分が含まれていなかったり、不純物が混入していたりする可能性があり、健康被害を引き起こす非常に高いリスクがあります。
- 栄養不足のリスク: 食欲抑制効果が強く出すぎた場合、必要な栄養素を十分に摂取できなくなり、栄養失調や健康問題を引き起こす可能性があります。特に、医師や管理栄養士の指導なく食事制限を行うと危険です。
- リバウンドのリスク: 薬の使用中止後に、食欲が戻り、体重がリバウンドする可能性があります。根本的な生活習慣の改善を伴わない薬物療法は、持続的な体重管理にはつながりにくいです。
承認外使用としてのマンジャロダイエットは、安全性や有効性が確立されていない上に、健康保険も適用されないため高額になります。
ダイエット目的でマンジャロの使用を検討している方は、これらの危険性を十分に理解し、必ず専門医（内科医、肥満症専門医など）に相談し、医学的な管理の下で適切な治療法（生活習慣改善、他の承認された薬剤など）を選択することが極めて重要です。安易な承認外使用は、ご自身の健康を危険にさらす行為であることを認識すべきです。
マンジャロをやめた後の注意点
マンジャロを中止する際には、いくつかの注意点があります。
医師の指示なしに自己判断で急に中止することは避けるべきです。
- 血糖コントロールの変動: 2型糖尿病の患者さんの場合、マンジャロによって改善されていた血糖コントロールが、中止によって悪化する可能性があります。血糖値が上昇し、高血糖に関連する症状が現れたり、糖尿病合併症のリスクが高まったりする可能性があります。中止後の血糖値の変動に注意し、必要に応じて他の糖尿病治療薬による治療法を医師と相談する必要があります。
- 体重の変化: マンジャロの使用中に体重が減少していた場合、中止後に体重が戻る（リバウンドする）可能性があります。マンジャロの食欲抑制効果や代謝への影響がなくなるため、食事量が増えたり、エネルギー消費が変化したりすることが原因です。マンジャロ中止後も体重を維持するためには、継続的な食事管理や運動療法が非常に重要になります。
- 消化器症状の変化: マンジャロの使用中に経験していた消化器症状（吐き気、便秘など）は、中止後には改善することが期待できます。しかし、人によっては症状が完全に消失するまでに時間がかかる場合もあります。
- 中止のタイミングと方法: マンジャロを中止する必要があるかどうか（例：目標血糖値の達成、副作用のため、など）は、個々の患者さんの状態や治療目標によって異なります。中止する場合も、医師の指示に従い、用量を段階的に減らすなど、適切な方法で行うことが推奨されます。
マンジャロの中止を検討している場合や、やむを得ず中止することになった場合は、必ず主治医と今後の治療方針や注意点について十分に話し合いましょう。
安全にマンジャロを使用するための注意点
マンジャロを安全かつ効果的に使用するためには、いくつかの重要な注意点があります。
これらを遵守することが、副作用のリスクを最小限に抑え、治療効果を最大限に引き出すことにつながります。
必ず医師の診察・処方を受ける
マンジャロは処方箋医薬品であり、必ず医師の診察を受け、医師の指示に基づいて処方されなければなりません。
インターネットでの個人輸入など、正規のルート以外で入手した薬剤は、品質や安全性が保証されず、偽造品の可能性も非常に高いです。偽造品の使用は、効果がないだけでなく、予期せぬ健康被害を引き起こす極めて危険な行為です。
医師は、患者さんの病状、既往歴、現在服用している他の薬剤、アレルギーの有無などを詳しく確認した上で、マンジャロが適した治療薬であるかを判断します。
また、投与量や投与方法についても、患者さん一人ひとりに合わせて適切に決定します。
医師の指示に従い正しく投与する
マンジャロは週に1回皮下注射する薬剤です。
医師から指示された用量、投与頻度、投与日を必ず守りましょう。自己判断で用量を増やしたり減らしたり、投与間隔を変更したりすることは、効果や安全性に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、注射器の正しい使い方、注射する部位（腹部、大腿部、上腕部などがあり、毎回場所を変えることが推奨されます）、保管方法などについても、医師や看護師、薬剤師から十分な説明を受け、理解した上で投与を行いましょう。
不明な点があれば、必ず質問して解消しておくことが大切です。
体調の変化や異常を感じたらすぐに医師へ連絡する
マンジャロの使用中に、いつもと違う体調の変化や気になる症状が現れた場合は、軽度なものであっても自己判断せず、速やかに主治医に連絡しましょう。
特に、以下のような症状が現れた場合は、前述した重大な副作用の可能性もあるため、迅速な対応が必要です。
- みぞおちや上腹部の強い痛み（膵炎の可能性）
- 右上腹部の痛み（胆嚢炎・胆石症の可能性）
- 持続する強い吐き気や嘔吐、腹部膨満感（重度の胃腸障害の可能性）
- 冷や汗、手の震え、強い空腹感などの低血糖症状（特にSU薬やインスリン併用時）
- 発疹、かゆみ、呼吸困難、顔や舌の腫れなどのアレルギー症状
- 体のむくみ、尿量の変化など（腎機能障害の可能性）
早期に医師に相談することで、適切な診断と処置を受けることができ、重症化を防ぐことにつながります。
また、軽度な副作用であっても、症状によっては医師が用量の調整や他の治療法への変更を検討してくれる場合があります。
| 安全な使用のための注意点 | 具体的な行動 |
|---|---|
| 医師の診察・処方 | 必ず医療機関を受診し、医師の診断に基づいて処方を受ける。個人輸入など正規ルート以外での入手は避ける。 |
| 正しい投与 | 医師から指示された用量、頻度、投与日を守る。注射器の正しい使い方、注射部位、保管方法を確認する。自己判断で変更しない。 |
| 体調の変化の報告 | 吐き気、腹痛、発熱、アレルギー症状など、気になる体調の変化があればすぐに医師に連絡する。特に重大な症状に注意する。 |
| 併用薬の情報提供 | 現在服用している全ての薬（処方薬、市販薬、サプリメントなど）を医師に伝える。 |
| 既往歴・アレルギーの情報提供 | 過去にかかった病気（特に膵炎、胆石、胃腸の病気、甲状腺疾患など）、アレルギーについて正確に医師に伝える。 |
| 定期的な受診 | 医師の指示に従い、定期的に受診して効果や副作用を評価してもらう。 |
まとめ｜マンジャロのリスクを理解し、医師と相談しながら適切に使用しましょう
マンジャロは2型糖尿病の治療において、血糖コントロールの改善や体重減少に効果が期待できる非常に有用な薬剤です。
しかし、その効果の強さゆえに、消化器系の副作用、低血糖のリスク、そして稀ではあるものの膵炎や胆嚢炎、重度の胃腸障害といった重大な副作用のリスクも存在します。
特に、承認外使用である「マンジャロダイエット」には、安全性データが不十分であること、自己判断による不適切な使用、偽造品の危険性など、多くの潜在的なリスクが伴います。
マンジャロを安全かつ効果的に使用するためには、これらの危険性を十分に理解し、以下の点を遵守することが最も重要です。
- 必ず医師の診察を受け、処方されたものを使用する。
- 医師から指示された用量と方法で正しく投与する。
- 体調の変化や気になる症状があれば、速やかに医師に相談する。
- ご自身の既往歴、現在服用している薬、アレルギーについて、医師に正確に伝える。
マンジャロによる治療は、医師と患者さんが協力して進めていくべきものです。
不安な点や疑問点があれば、遠慮なく医師や薬剤師に質問し、納得した上で治療に取り組みましょう。マンジャロのリスクを正しく理解し、医療専門家の指導の下で適切に使用することで、安全に治療を進めることが可能になります。
免責事項: 本記事はマンジャロに関する一般的な情報提供を目的としており、医学的なアドバイスや診断、治療を代替するものではありません。個人の健康状態や治療に関しては、必ず医療機関を受診し、医師の判断を仰いでください。本記事の情報に基づいて生じたいかなる結果についても、筆者および本サイトは一切の責任を負いません。
