MENU

リベルサスで痩せすぎは起こる?危険性・副作用と安全な使い方

リベルサスは、GLP-1受容体作動薬という種類の薬剤で、主に2型糖尿病の治療に用いられていますが、食欲を抑える効果や血糖値をコントロールする効果から、ダイエット目的で処方されることもあります。
非常に効果的な薬剤であるため、「痩せすぎてしまうのではないか」と不安に感じている方もいるかもしれません。
この記事では、リベルサスによる適正な体重減少の目安や、「痩せすぎ」のリスク、そして安全に目標体重を目指すための具体的な対策について、医師の視点から詳しく解説します。
リベルサスでのダイエットを検討している方、服用中の方にとって、正しい知識を得て安心して治療を進めるための一助となれば幸いです。

リベルサス 痩せすぎ?適正な体重減少とリスク・対策を医師が解説

目次

リベルサスとは?痩せる仕組みを解説

リベルサスは、セマグルチドという成分を主成分とする経口(飲み薬)のGLP-1受容体作動薬です。
本来は2型糖尿病の血糖コントロール改善薬として開発・承認されましたが、その作用機序から体重減少効果も期待できるため、自由診療においては肥満症治療薬として用いられることがあります。

GLP-1受容体作動薬の効果

GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)は、食事を摂ると小腸から分泌されるホルモンです。
GLP-1受容体作動薬は、このGLP-1と同じような働きをすることで、体内で様々な効果を発揮します。
主な効果は以下の通りです。

  • インスリン分泌促進: 血糖値が高いときに膵臓からのインスリン分泌を促し、血糖値を下げる。
  • グルカゴン分泌抑制: 血糖値を上げるホルモンであるグルカゴンの分泌を抑える。
  • 胃排出遅延: 胃から食べ物が排出される速度を遅くする。
  • 食欲抑制: 脳の食欲中枢に作用し、食欲を抑える。

リベルサスは、これらのGLP-1の働きを長時間にわたって持続させることで、血糖コントロールを改善し、体重減少を促します。

食欲抑制効果

リベルサスの体重減少効果において特に重要なのが、食欲抑制効果です。
胃の動きをゆっくりにする作用により満腹感が持続しやすくなることに加え、脳の食欲中枢への直接的な作用によって、食欲そのものを低下させます。
その結果、食事量が自然と減り、カロリー摂取量が減少することで体重が減少します。

血糖値コントロール効果

血糖値の急激な上昇は、体脂肪の蓄積を促す要因の一つです。
リベルサスは血糖値の変動を穏やかにすることで、体脂肪がつきにくい体内環境を整える助けにもなります。
特に食後の高血糖を抑えることで、糖が脂肪として蓄積されるのを防ぐ効果が期待できます。
これは2型糖尿病の方だけでなく、血糖値がやや高めの方や、健康診断でHbA1cが高めを指摘された方にもメリットとなり得る作用です。

リベルサスで痩せすぎることがある?その可能性と原因

リベルサスは体重減少効果が期待できる薬剤ですが、「痩せすぎ」てしまう可能性はあるのでしょうか。
結論から言うと、不適切な使い方をしたり、体質によっては予想以上に体重が減少したりする可能性はゼロではありません。
しかし、適切に医師の管理下で使用すれば、「痩せすぎ」を予防し、安全なペースで減量を進めることが可能です。

急激な体重減少のリスク

急激な体重減少は、体にとって様々なリスクを伴います。
美容面だけでなく、健康面でも悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
主なリスクとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 筋肉量の低下: 脂肪だけでなく筋肉も一緒に落ちてしまい、基礎代謝が低下したり、体がたるんだりする原因になります。リバウンドしやすい体質になるリスクも高まります。
  • 栄養不足: 食事量が極端に減ることで、必要なビタミンやミネラルなどの栄養素が不足し、体調不良や貧血、肌荒れなどを引き起こす可能性があります。
  • ホルモンバランスの乱れ: 急激な体重減少はホルモンバランスを崩しやすく、女性の場合は生理不順などを引き起こすことがあります。
  • 胆石のリスク増加: 急速なダイエットは胆汁の成分バランスを崩し、胆石ができやすくなることが知られています。
  • 精神的な不安定さ: 体重が急激に変化することによるストレスや、食事制限によるフラストレーションが、精神的な不安定さを招くことがあります。

安全なダイエットの目安は、一般的に1ヶ月あたり現在の体重の5%以内と言われています。
例えば、体重60kgの方であれば、1ヶ月に3kg程度の減量を目指すのが望ましいペースです。

痩せすぎを引き起こす要因(用量、体質、食事量など)

リベルサス服用中に「痩せすぎ」が進んでしまう、あるいは急激に体重が減少してしまう要因としては、以下のようなものが考えられます。

  • 不適切な高用量の服用: 本来必要とされる量を超えて服用することで、食欲抑制効果が過剰に働き、食事量が極端に少なくなる可能性があります。リベルサスの用量は、医師が患者さんの体質や状態に合わせて慎重に調整すべきものです。
  • 個人差・体質: 薬の効果の出方には個人差があります。同じ量でも、他の人より強く効果が出てしまい、食欲が著しく低下する体質の方もいます。
  • 過度な食事制限の併用: リベルサスによる食欲抑制効果に加えて、自分でさらに過度な食事制限を行うと、必要なカロリーや栄養素が摂取できず、急激な体重減少につながる可能性があります。
  • 運動量の増加: リベルサスの服用開始と同時に、急激に運動量を増やすことも、カロリー消費が増加しすぎてしまい、意図しないペースでの体重減少を招くことがあります。
  • 他の疾患の影響: 胃腸の病気など、リベルサス以外の要因で食欲不振や体重減少が起こっている可能性も考えられます。

これらの要因が複合的に影響し、「痩せすぎ」の状態になる可能性があります。

適正な目標体重の設定

リベルサスによるダイエットを始める前に、医師と十分に話し合い、適正な目標体重を設定することが非常に重要です。
目標体重は、単に「○kgになりたい」という Wunsch だけでなく、身長に見合った健康的な体重(BMIを参考にするなど)や、体調、生活習慣などを総合的に考慮して決定すべきです。

例えば、BMI(Body Mass Index)が25以上を肥満と定義する場合、まずはBMI 25未満を目指すことを目標にするなど、医学的な基準も参考にすると良いでしょう。
BMIは「体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)」で計算できます。

BMI 判定
18.5 未満 低体重(やせ型)
18.5~25 未満 普通体重
25~30 未満 肥満(1度)
30~35 未満 肥満(2度)
35~40 未満 肥満(3度)
40 以上 肥満(4度)

目標体重を設定することで、闇雲な減量を避け、「痩せすぎ」るリスクを減らすことができます。
また、目標達成後には、その体重を維持するための計画を立てることも大切です。

リベルサス服用で「痩せすぎ」を防ぐための対策

リベルサスによるダイエットを安全に進め、「痩せすぎ」を防ぐためには、適切な対策を講じることが不可欠です。
最も重要なのは、医療機関で医師の指導のもと行うことです。

医師との定期的なコミュニケーションの重要性

リベルサスは医師の処方が必要な薬剤であり、自己判断での服用は危険です。
ダイエット目的で使用する場合でも、必ず専門の医師に相談し、処方してもらう必要があります。

服用を開始したら、定期的に医師の診察を受け、体重の変化や体調、副作用の有無などを報告しましょう。
医師はこれらの情報を基に、リベルサスの用量や、食事・運動に関するアドバイスを適切に行います。

  • 体重の確認: 急激に体重が減りすぎていないか、定期的に医師がチェックします。
  • 体調の変化: 食欲不振がひどくないか、吐き気などの副作用が強く出ていないかなどを相談します。
  • 食事内容の相談: 摂取カロリーや栄養バランスについて医師や管理栄養士から指導を受けることも有効です。
  • 目標体重の見直し: 目標体重に近づいてきたら、その後の計画について相談します。

医師との緊密な連携が、「痩せすぎ」を防ぎ、健康的に目標体重を達成するための鍵となります。

用量の適切な調整

リベルサスには通常、3mg、7mg、14mgの3つの用量があります。
一般的には少量(3mg)から開始し、体調を見ながら徐々に用量を増量していきます。
これは、副作用(特に吐き気や胃の不快感)を軽減し、体が薬に慣れるようにするためです。

体重の減り方が予想以上に早い場合や、食欲が極端に低下している場合は、医師がリベルサスの用量を減量したり、一時的に休薬したりすることを検討します。
自己判断で用量を増やしたり減らしたりすることは絶対に避けてください。
医師の指示通りに服用することが、安全性を保つ上で最も重要です。

バランスの取れた食事指導

リベルサスを服用すると食欲が抑制されるため、自然と食事量が減ります。
しかし、ただ量を減らすだけでなく、バランスの取れた食事を心がけることが大切です。

  • 必要な栄養素の確保: タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などを十分に摂取できるよう、野菜、果物、肉、魚、豆類などをバランス良く食べましょう。
  • タンパク質の重要性: 筋肉量の維持・増加のためには、意識的にタンパク質を摂取することが重要です。肉、魚、卵、大豆製品などを毎食取り入れましょう。
  • 極端な偏食を避ける: 特定の食品だけを摂取したり、特定の食品を完全に抜いたりするような極端な食事制限は避けましょう。
  • 水分摂取: 便秘などの副作用対策や、代謝促進のためにも、十分な水分を摂ることが大切です。
  • 食事記録: 何をどれくらい食べたかを記録することで、自分の食事内容を客観的に把握し、改善点を見つけやすくなります。

リベルサスはあくまで体重減少をサポートする薬であり、魔法の薬ではありません。
薬の効果を最大限に引き出しつつ、健康的なダイエットを成功させるためには、適切な食事と適度な運動を組み合わせることが不可欠です。
医療機関によっては、医師だけでなく管理栄養士による食事指導を受けられる場合もあります。

リベルサスでどのくらい痩せる?効果の目安と期間

リベルサスの体重減少効果は個人差が大きいですが、臨床試験のデータから一定の目安を知ることができます。

臨床試験データに基づく体重減少率

2型糖尿病患者を対象とした臨床試験では、リベルサス14mgを26週間服用したグループで、プラセボ(偽薬)を服用したグループと比較して、統計的に有意な体重減少が認められました。

肥満症患者を対象とした別の臨床試験(注射剤セマグルチドに関するものですが、経口薬リベルサスにも類似の効果が期待されます)では、セマグルチドを68週間(約1年3ヶ月)投与した群で、平均して体重の約15%が減少したという結果が報告されています。
これは非常に大きな減量効果と言えます。

これらのデータはあくまで臨床試験における平均値であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。
開始時の体重、年齢、性別、体質、生活習慣(食事や運動)、併存疾患など、様々な要因によって効果の程度は異なります。

1ヶ月あたりの体重減少の目安

前述の通り、安全な減量ペースは1ヶ月あたり体重の5%以内が目安とされています。
リベルサスによる減量も、このペースを大きく超えないように管理することが望ましいです。

服用開始初期は、食欲抑制効果が強く出て、比較的体重が減りやすい傾向があります。
しかし、体が薬に慣れてくるにつれて、減量のペースは緩やかになるのが一般的です。
最初の1ヶ月で2~3kg程度減少し、その後は1ヶ月に1~2kg程度のペースで緩やかに減量していく、というような経過をたどることが多い印象です。

もし、1ヶ月に体重の5%を超えるような急激なペースで体重が減少している場合は、「痩せすぎ」や体の不調につながるリスクがあるため、必ず医師に相談してください。

効果が出るまでの期間

リベルサスの効果が出始めるまでの期間にも個人差があります。
食欲抑制効果は比較的早く、服用を開始して数日~1週間程度で感じ始める方が多いです。

体重減少効果については、明確な変化を感じるまでに数週間~1ヶ月程度かかることが一般的です。
すぐに効果が出ないからといって自己判断で用量を増やしたりせず、医師の指示通りに服用を続けることが大切です。
臨床試験データにあるように、体重減少のピークは数ヶ月~1年以上にわたって現れることが示唆されています。
焦らず、じっくりと取り組む姿勢が重要です。

リベルサスで「痩せない」人もいる?原因と対処法

リベルサスを服用しても、期待していたほど体重が減らない、あるいは全く減らないというケースも存在します。
その原因は様々です。

痩せない主な原因(運動不足、食生活など)

リベルサスを服用しても「痩せない」原因として、以下のようなものが考えられます。

  • 食事内容や量の問題: 食欲は抑制されても、高カロリーなものを少量だけ食べ続けたり、間食が多かったりすると、摂取カロリーが必要以上に減らず、体重が減りにくいことがあります。特に液体のカロリー(ジュースや甘い飲み物)は見落としがちです。
  • 運動不足: リベルサスは食欲を抑えますが、カロリー消費を劇的に増やすわけではありません。適度な運動を取り入れないと、摂取カロリーが減っても消費カロリーとのバランスが取れず、体重減少が進まないことがあります。
  • 服用方法の間違い: リベルサスは非常に吸収されにくい性質を持つ薬剤です。服用方法(空腹時、少量の水で、他の薬との同時服用を避けるなど)を間違えると、有効成分が十分に吸収されず、効果が期待通りに出ない可能性があります。
  • 体質: GLP-1受容体作動薬の効果が出にくい体質の方も稀にいます。
  • ストレスや睡眠不足: ストレスが多い状態や睡眠不足は、食欲を増進させるホルモン(コルチゾールなど)の分泌を促し、体重減少を妨げることがあります。
  • 他の疾患や薬剤の影響: 甲状腺機能低下症など、代謝に影響を与える疾患があったり、体重増加を招く可能性のある他の薬剤を服用していたりする場合、リベルサスの効果が相殺されてしまうことがあります。

薬が合わない可能性と用量検討

上記の生活習慣などが原因でない場合、単純にリベルサスの用量が合っていないか、あるいは薬自体が体質に合わない可能性も考えられます。

  • 用量の再検討: 現在服用している用量では食欲抑制効果が十分に得られていない可能性があります。医師と相談し、慎重に用量を増やしてみることで効果が現れることがあります。ただし、副作用のリスクも考慮しながら、段階的に行う必要があります。
  • 他のGLP-1製剤や治療法: リベルサスが体質に合わない、あるいは効果が不十分な場合は、他の種類のGLP-1受容体作動薬(注射剤など)や、他のメカニズムを持つ肥満治療薬、あるいは薬物療法以外の治療法を検討することも可能です。

いずれの場合も、自己判断で解決しようとせず、必ず医師に相談することが重要です。
医師は患者さんの状況を詳しく把握し、最適な対処法を提案してくれます。

リベルサスの主な副作用と注意点

リベルサスには体重減少効果が期待できる一方で、いくつかの副作用が知られています。
事前に主な副作用や注意点を知っておくことで、安心して服用できます。

吐き気、便秘、下痢などの消化器症状

リベルサスで最も多く報告されている副作用は、吐き気、便秘、下痢、腹部膨満感などの消化器症状です。
これらは、リベルサスが胃の動きをゆっくりにする作用や、腸の働きに影響を与えることによって起こると考えられています。

  • 吐き気: 服用開始初期に起こりやすいですが、体が慣れるにつれて軽減することが多いです。症状が強い場合は、医師に相談することで吐き気止めの薬が処方されることもあります。
  • 便秘/下痢: 腸の動きが変わることで、便秘になる方もいれば、下痢になる方もいます。水分や食物繊維の摂取量を調整したり、必要に応じて整腸剤を使用したりすることで対処できる場合があります。症状が続く場合は医師に相談しましょう。

これらの消化器症状は、少量から開始して徐々に用量を増量することで、発生頻度や程度を抑えることができます。
もし症状が強く、日常生活に支障が出る場合は、我慢せずに必ず医師に相談してください。
用量調整や他の薬剤への変更が検討されます。

低血糖のリスクと対策(二度寝など)

リベルサスは血糖値を下げる効果がありますが、他の糖尿病治療薬(特にSU薬やインスリン製剤)と併用しない限り、単独での重度の低血糖(血糖値が下がりすぎて意識障害などを起こす状態)のリスクは低いとされています。

しかし、空腹時間が長すぎたり、食事量が極端に少なかったり、いつもより激しい運動をしたりした場合などには、血糖値が下がりすぎる可能性はゼロではありません。
軽い低血糖の症状としては、冷や汗、手の震え、動悸、強い空腹感、めまいなどがあります。

低血糖が疑われる場合は、すぐに糖分を摂取することが重要です。
ブドウ糖を含む食品(ブドウ糖タブレット、ジュース、砂糖など)を摂りましょう。

また、起床時の二度寝によって、空腹時間が長くなり、低血糖のリスクが高まる可能性が指摘されることがあります。
リベルサスは起床後に服用することが推奨されていますが、服用後すぐに活動せず二度寝をすることで、薬の効果が出始める時間帯と空腹の状態が重なり、軽い低血糖のような症状を感じることがあるかもしれません。
リベルサスを服用する際は、起床後すぐに(コップ1杯程度の水で)服用し、その後少なくとも30分間は飲食や他の薬剤の服用を避ける、という正しい服用方法を守ることが大切です。
低血糖の症状が頻繁に起こる場合は、必ず医師に相談しましょう。

その他重大な副作用

頻度は稀ですが、リベルサスには以下のような重大な副作用が報告されています。

  • 急性膵炎: みぞおちや背中の激しい痛み、吐き気、嘔吐などの症状が現れることがあります。このような症状が出た場合は、直ちに服用を中止し、医療機関を受診してください。
  • 胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞: お腹の右上あたりの痛み、発熱、黄疸などの症状が現れることがあります。胆石がある方や、急速な体重減少がある場合にリスクが高まる可能性があります。
  • 腸閉塞: ひどい便秘、お腹の張り、腹痛、吐き気、嘔吐などの症状が現れることがあります。
  • アナフィラキシー反応: 発疹、かゆみ、呼吸困難、血圧低下などの重度のアレルギー症状です。
  • 重度の腎機能障害: 腎臓の機能が悪化することがあります。
  • 視覚障害の悪化: 糖尿病網膜症がある場合、病状が悪化することが稀にあります。

これらの重大な副作用の発生率は非常に低いですが、万が一このような症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。

服用時の注意点(飲み方、時間など)

リベルサスは、その吸収を高めるために特殊な製剤技術が用いられています。
効果を最大限に引き出し、副作用を最小限に抑えるためには、正しい服用方法を守ることが非常に重要です。

  • 服用タイミング: 1日のうちで最初の飲食または他の薬剤の服用前に、空腹の状態で服用します。通常は起床時が推奨されます。
  • 水の量: コップ1杯(約120ml)以下の少量の水で服用してください。多すぎる水で服用すると、薬の吸収が悪くなる可能性があります。
  • 他の飲み物: 水以外の飲み物(お茶、コーヒー、ジュースなど)で服用すると、吸収が悪くなるため避けてください。
  • 錠剤の形状: 錠剤はコーティングされており、胃の中で素早く溶けて吸収を助ける成分が含まれています。割ったり、砕いたり、噛み砕いたりせず、そのまま服用してください。
  • 服用後の飲食・服薬: 服用後、少なくとも30分間は、飲食および他の薬剤の服用を避けてください。30分より短いと、薬の吸収が不十分になる可能性があります。
  • 飲み忘れた場合: 飲み忘れたことに気づいたのが同じ日のうちであれば、気づいた時に服用し、その後30分間は飲食や他の服薬を避けます。もし次の日の服用時間が近い場合は、飲み忘れた分はスキップし、次の服用時間に1回分だけ服用してください。絶対に2回分をまとめて服用しないでください。
  • 保管方法: 高温多湿を避け、子供の手の届かない場所に保管してください。

これらの服用方法を厳守することで、リベルサスの効果を安定させ、副作用のリスクを減らすことができます。

リベルサスの保険適用について

リベルサスは、もともと2型糖尿病治療薬として開発された薬剤です。
ダイエット目的で使用する場合、保険適用になるかどうかは、その方の状態によって異なります。

2型糖尿病の場合の保険適用

リベルサスは、2型糖尿病と診断された方の血糖コントロール改善を目的とする場合に、医師の処方によって保険が適用されます。
この場合、診察料や薬代に健康保険が適用されるため、医療費の自己負担が軽減されます。

肥満治療の場合のBMI基準と保険適用

肥満症の治療薬として保険適用される薬剤も存在しますが、リベルサス(セマグルチド経口薬)は、現時点(2024年現在)では、単純な肥満症に対しては保険適用されていません

ただし、以下の条件を満たす「肥満症」に対しては、一部のGLP-1受容体作動薬(注射剤セマグルチドなど)が2022年から保険適用となりました。

  • 高血圧、脂質異常症、または2型糖尿病のいずれかがあり、かつ
  • BMIが27 kg/m²以上で、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する場合、あるいは
  • BMIが35 kg/m²以上の場合

リベルサス(経口セマグルチド)自体は上記の条件を満たしても保険適用外ですが、注射剤のセマグルチド(ウゴービ®など)は保険適用となる場合があります。

リベルサスをダイエット目的で処方される場合は、多くの場合、上記のような保険適用の基準を満たさない「自由診療」となります。
自由診療の場合、診察料から薬代まですべて自己負担となるため、費用が高額になる傾向があります。

保険適用になるかどうかは、患者さんの診断名や体の状態、医師の判断によって異なります。
ご自身のケースでリベルサスが保険適用になるかどうかを知りたい場合は、必ず医師に直接確認してください。

リベルサスによるダイエットは医療機関で相談を

リベルサスは、適切に使用すれば体重減少に有効な薬剤ですが、安全に、そして効果的にダイエットを進めるためには、必ず専門の医療機関で医師の指導のもと行うべきです。

専門クリニックで相談すべき理由

医療機関でリベルサスによるダイエットを相談・実施すべき理由は多数あります。

  • 医師による適切な診断と判断: 肥満の原因を特定し、リベルサスが適応となるか、他の疾患が隠れていないかなどを医師が判断します。
  • 患者の状態に合わせた用量設定と管理: 患者さんの体質、目標、体調、併存疾患などを考慮して、最適なリベルサスの用量を決定し、副作用の有無を確認しながら増量や減量の調整を行います。「痩せすぎ」や副作用のリスクを最小限に抑えるためには、医師による管理が不可欠です。
  • 安全な服用方法の指導: 吸収率を高めるための正しい服用方法や、飲み忘れ時の対応、他の薬剤との相互作用について、医師や薬剤師から正確な情報が得られます。
  • 副作用への適切な対応: 副作用が現れた場合に、その症状を和らげるための処置(吐き気止めなど)や、用量調整、休薬、他の治療法への変更などを迅速かつ適切に行うことができます。
  • 食事・運動指導: リベルサス単独でなく、効果的なダイエットには生活習慣の改善が必須です。医師や管理栄養士から、個々のライフスタイルに合わせた具体的な食事や運動のアドバイスを受けることができます。
  • 目標達成後のサポート: 目標体重を達成した後も、その体重を維持するためのリバウンド予防策や、薬をいつまで続けるかなどについて相談できます。
  • 他の選択肢の検討: リベルサスが合わない場合や効果が不十分な場合に、他の肥満治療薬、注射剤のGLP-1受容体作動薬、あるいは外科手術を含めた他の治療法など、患者さんに合った最適な選択肢を提案してもらえます。

自己流や個人輸入などでリベルサスを使用することは、偽造薬のリスクや、副作用、効果不十分などのトラブルにつながる可能性が非常に高く、健康被害を招く危険性があるため絶対に避けてください。

クリニック選びのポイント

リベルサスによるダイエットを検討する場合、どのようなクリニックを選べば良いのでしょうか。
いくつかポイントを挙げます。

  • 肥満治療やダイエットに詳しい医師がいるか: GLP-1受容体作動薬による治療経験が豊富で、肥満に関する専門知識を持った医師がいるクリニックを選びましょう。日本肥満学会の認定医などがいるかどうかも参考になります。
  • カウンセリング体制: 患者さんの悩みや目標を丁寧に聞き取り、リベルサスのメリット・デメリット、副作用、費用などについて、十分な説明をしてくれるクリニックが良いでしょう。
  • 料金体系の明確さ: 自由診療となる場合の診察料、薬代、その他の費用(検査費用など)について、事前に明確な説明があり、納得できる料金体系であるか確認しましょう。
  • オンライン診療の可否: 忙しい方や、近くにクリニックがない場合は、オンライン診療に対応しているかどうかも重要なポイントです。診察だけでなく、薬の配送まで対応しているか確認しましょう。
  • サポート体制: 定期的な診察だけでなく、食事指導や運動指導など、総合的なサポート体制があるかどうかも効果的なダイエットには重要です。
  • 口コミや評判: 実際にクリニックを利用した人の口コミや評判も参考にすると良いでしょう。ただし、個人の感想にはばらつきがあるため、あくまで参考程度に留め、最終的にはご自身の目で判断してください。

いくつかのクリニックでカウンセリングを受けて比較検討し、ご自身が信頼できると感じるクリニックを選ぶことをお勧めします。

【まとめ】リベルサスによるダイエットは医師の管理のもと安全に進めましょう

リベルサスは、GLP-1受容体作動薬として血糖コントロール改善だけでなく、食欲抑制効果による体重減少も期待できる薬剤です。
正しく使用すれば、効果的なダイエットの助けとなります。

しかし、強力な薬剤であるため、「痩せすぎ」や、吐き気などの副作用が起こる可能性もあります。
「痩せすぎ」を防ぎ、安全かつ健康的に目標体重を目指すためには、必ず医療機関で医師の指導のもと服用することが不可欠です。

医師は、患者さんの状態を詳しく診察し、最適な用量を設定し、副作用がないか確認しながら治療を進めます。
急激な体重減少のリスクや、栄養不足にならないよう、適切な食事や運動に関するアドバイスも得られます。

リベルサスによるダイエットを検討されている方は、まずはお近くの、あるいはオンライン診療に対応している肥満治療やダイエット専門のクリニックに相談してみましょう。
自己判断や個人輸入は危険です。
専門家のサポートを受けることで、安心して、目標達成に向けた道のりを進めることができます。

(免責事項)
本記事は、リベルサスに関する一般的な情報提供を目的としており、特定の薬剤の推奨や医療行為を保証するものではありません。
リベルサスの使用にあたっては、必ず医師の診察を受け、医師の指示に従ってください。
本記事の情報に基づいて発生したいかなる結果につきましても、当方は一切の責任を負いかねます。
個別の症状や治療については、必ず医療機関でご相談ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次