マンジャロは、2型糖尿病の治療に用いられる注射薬です。有効成分チルゼパチドを含み、GLP-1受容体とGIP受容体の両方に作用することで、血糖値を下げる効果が期待できます。週に1回自己注射で使用するため、注射の手間が少なく、患者さんの負担を軽減できるというメリットがあります。
しかし、どのような薬剤にも副作用のリスクは存在します。マンジャロも例外ではなく、使用中に様々な副作用が起こる可能性があります。特に初めて使用される方や、これから使用を検討している方は、どのような副作用があるのか、どのくらいの頻度で起こるのか、もし副作用が出たらどうすれば良いのかなど、不安を感じることもあるでしょう。
この記事では、マンジャロの副作用について、添付文書情報や臨床試験データに基づき、詳しく解説します。よく見られる軽度なものから、注意すべき重大なものまで、種類や症状、発生頻度、そして対処法について分かりやすくご説明します。マンジャロの使用に関する不安を解消し、安全に治療を進めるための一助となれば幸いです。
マンジャロの副作用:全体像と発生頻度
マンジャロを含むGLP-1受容体作動薬やGIP受容体作動薬は、血糖コントロールを改善する一方で、特定の副作用が比較的起こりやすいことが知られています。マンジャロも同様で、特に消化器系の副作用が多く報告されています。
副作用の発生頻度は、投与量や個人の体質、併用薬の有無などによって異なります。一般的に、投与を開始したばかりの時期や、投与量を増やした際に副作用が出やすい傾向があります。
添付文書に記載されたマンジャロの副作用一覧
マンジャロの添付文書には、臨床試験で報告された副作用が頻度別に記載されています。主な副作用として以下のようなものが挙げられます。
副作用の種類 | 頻度 |
---|---|
悪心(吐き気) | 5%以上 |
下痢 | 5%以上 |
嘔吐 | 5%以上 |
便秘 | 5%以上 |
腹部不快感 | 5%以上 |
腹部膨満 | 5%以上 |
食欲減退 | 5%以上 |
消化不良 | 5%以上 |
腹痛 | 1%~5%未満 |
頭痛 | 1%~5%未満 |
疲労 | 1%~5%未満 |
低血糖 | 5%以上(※) |
注射部位反応(疼痛、紅斑、そう痒感) | 1%~5%未満 |
心拍数増加 | 1%~5%未満 |
胆嚢炎、胆石症 | 頻度不明 |
急性膵炎 | 頻度不明 |
腸閉塞 | 頻度不明 |
重篤な過敏症(アナフィラキシー等) | 頻度不明 |
(※)低血糖は、インスリン製剤またはスルホニルウレア剤(SU剤)との併用時に高頻度で報告されています。マンジャロ単独で使用した場合の低血糖の頻度は比較的低いとされています。
この表は主要な副作用の一部を抜粋したものです。ここに記載されていない副作用も起こる可能性はあります。気になる症状が現れた場合は、必ず医師や薬剤師に相談してください。
マンジャロでよく報告される副作用
マンジャロの副作用の中で、特に多くの方に報告されているのは消化器系の症状です。これらは「GLP-1受容体作動薬」や「GIP受容体作動薬」という薬の種類の特性として知られています。
#### 吐き気、嘔吐、下痢、便秘などの胃腸症状
マンジャロの有効成分であるチルゼパチドは、消化管の動きをゆっくりにする作用があります。これにより、胃から腸への食べ物の移動が遅くなるため、満腹感が持続しやすくなります。これが食欲を抑え、血糖値の急激な上昇を抑える効果につながるのですが、一方で消化器系の副作用を引き起こす原因にもなります。
最も頻繁に報告されるのは、吐き気(悪心)、嘔吐、下痢、便秘、腹部不快感、腹部膨満感といった症状です。これらの症状は、特にマンジャロの投与を開始した最初の数週間や、投与量を増やした直後によく見られます。多くの場合は軽度から中等度で、体が慣れてくるにつれて徐々に改善していくことが多いです。
- 吐き気(悪心): 胃がムカムカする不快感。食事中や食後に感じやすいことがあります。
- 嘔吐: 実際に吐いてしまう症状。吐き気が強い場合や、胃の内容物が排出されないことによる不快感が原因で起こることがあります。
- 下痢: 便がゆるくなり、排便回数が増える症状。腸の動きが影響を受けることで起こりえます。
- 便秘: 排便回数が減り、便が硬くなる症状。これも消化管の動きが遅くなることに関連します。
- 腹部不快感・腹部膨満感: お腹が張る、ゴロゴロするといった不快な感覚。胃腸に内容物が留まりやすくなることで生じます。
これらの胃腸症状は、多くの場合、一時的なものです。しかし、症状が重い場合や、長期間続く場合は、脱水症状を引き起こしたり、栄養摂取に影響が出たりする可能性があるため、医療機関に相談が必要です。
#### 食欲不振
マンジャロは食欲を抑える作用を持つため、治療効果として食欲が減退することがあります。しかし、中には治療効果の範囲を超えて、食事を摂るのがつらくなるほどの食欲不振を感じる方もいらっしゃいます。これも胃腸症状と関連して起こることがあります。食欲不振が続く場合、必要な栄養が十分に摂れなくなる可能性があるため、注意が必要です。
#### 腹部膨満感、腹痛
前述の通り、消化管の動きが遅くなることで、お腹の張り(腹部膨満感)やそれに伴う腹痛を感じることがあります。これらの症状も投与初期に多く見られます。
#### 頭痛
マンジャロの使用によって頭痛が報告されることもあります。明確な原因は分かっていませんが、血糖変動や血管への作用などが関与している可能性が考えられます。
#### 注射部位の痛み、腫れ、かゆみ
マンジャロは自己注射で使用する薬剤です。注射した部位(通常はお腹、太もも、二の腕など)に、痛み、赤み(紅斑)、腫れ、かゆみなどの反応が出ることがあります。これらは注射に伴う局所的な反応であり、通常は数日で改善します。ただし、症状が強い場合や、広範囲に広がる場合はアレルギー反応の可能性も考えられるため、医療機関に相談してください。
マンジャロの重大な副作用
まれではありますが、マンジャロの使用によって、生命に関わるような重大な副作用が起こる可能性もゼロではありません。以下の症状には特に注意が必要です。これらの兆候が見られた場合は、直ちにマンジャロの使用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。
低血糖症状(意識消失の可能性も)
マンジャロは血糖値を下げる薬ですが、血糖値が下がりすぎてしまう「低血糖」を引き起こす可能性があります。特に、インスリン製剤や、血糖を下げる効果が強いスルホニルウレア剤(SU剤)といった他の糖尿病治療薬と併用している場合に、低血糖のリスクが高まります。
低血糖の主な症状は以下の通りです。
- 冷や汗
- 手足のふるえ
- 動悸
- 強い空腹感
- めまい
- 脱力感
- 目の前がぼやける、かすむ
さらに血糖値が下がると、
- 集中力の低下
- ぼーっとする
- 頭痛
- ろれつが回らない
- 異常な行動(怒りっぽくなるなど)
- 意識がもうろうとする
- 意識の消失(昏睡)
といった重篤な症状に進展する可能性があります。
低血糖の初期症状が現れたら、速やかに糖分(ブドウ糖や砂糖を含むジュース、飴など)を摂取することが重要です。常にブドウ糖や糖分を含む食品を携帯しておくことをお勧めします。意識を失っている場合は、無理に口の中に物を入れようとせず、すぐに救急車を呼んでください。
マンジャロ単独で使用する場合、重篤な低血糖は比較的まれとされていますが、食事を抜いたり、過度な運動をしたりした場合にもリスクは高まります。低血糖の症状や対処法については、事前に医師や薬剤師から十分に説明を受け、理解しておくことが非常に大切です。
急性膵炎の初期症状と注意点(膵臓への負担)
GLP-1受容体作動薬(マンジャロはGLP-1とGIPの両方に作用)の類縁薬において、急性膵炎の発症が報告されています。マンジャロでも、頻度不明ながら急性膵炎が重大な副作用として記載されています。
膵臓は、血糖値を調整するホルモン(インスリンやグルカゴン)や、食べ物を消化する酵素を作る重要な臓器です。急性膵炎は、膵臓が炎症を起こす病気で、放置すると重篤化する可能性があります。
急性膵炎の初期症状には、以下のようなものがあります。
- 持続する、みぞおちや上腹部の激しい痛み: 食事の後や横になったときに痛みが強くなることがあります。背中まで痛みが広がることもあります。
- 吐き気、嘔吐: 痛みに伴って起こることが多いです。
- 発熱
- お腹の張り
これらの症状は、マンジャロを投与している間に突然現れることがあります。特に、いつもと違う強い腹痛が続く場合は、自己判断せず、すぐにマンジャロの使用を中止し、医療機関を受診して医師に相談してください。「いつもの胃腸の不調かな?」と軽く考えず、慎重に対応することが非常に重要です。
胆嚢炎、胆石症
マンジャロを含むGLP-1受容体作動薬の使用と、胆嚢関連疾患(胆嚢炎、胆石症など)のリスク上昇の関連性が報告されています。これは、これらの薬剤が胆嚢の収縮を抑制し、胆汁の流れを滞らせる可能性があるためと考えられています。
胆嚢炎や胆石症の主な症状は以下の通りです。
- 右のあばら骨の下あたり(右上腹部)の痛み
- 発熱
- 吐き気、嘔吐
- 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
これらの症状が現れた場合は、医療機関を受診してください。特に右上腹部の強い痛みは、胆嚢関連疾患の可能性を示唆する重要なサインです。
腸閉塞
まれではありますが、マンジャロの使用によって腸閉塞が報告されています。これは、消化管の動きが抑制されすぎることなどが原因で、腸の内容物が先に進めなくなる状態です。
腸閉塞の主な症状は以下の通りです。
- 持続する、我慢できないほどの激しい腹痛
- 吐き気、嘔吐(特に、吐いたものが便のような臭いがすることがあります)
- お腹の張り(腹部膨満)
- 排便やおならが出なくなる
これらの症状が現れた場合は、非常に危険な状態である可能性があるため、直ちにマンジャロの使用を中止し、救急車を呼ぶか、すぐに医療機関を受診してください。
重篤な過敏症(アナフィラキシー等)
マンジャロの成分に対してアレルギー反応を起こすことがあります。軽いアレルギー反応としては、注射部位のかゆみや赤みがありますが、まれに生命に関わるような重篤な過敏症(アナフィラキシーショックなど)を引き起こす可能性があります。
アナフィラキシーの主な症状は以下の通りです。
- 全身にじんましんや皮膚のかゆみ、赤みが広がる
- 唇、まぶた、舌、喉などが腫れる(血管性浮腫)
- 息苦しい、呼吸がゼーゼーする(気管支けいれん)
- 声が枯れる、喉が締め付けられるような感じがする
- 動悸、脈が速くなる
- 血圧が低下し、めまいや意識の消失が起こる
これらの症状は、マンジャロを注射して比較的短い時間のうちに現れることが多いですが、数時間経ってから出ることもあります。アナフィラキシーは緊急性の高い状態です。これらの症状が現れた場合は、直ちにマンジャロの使用を中止し、すぐに救急車を呼ぶか、最寄りの救急病院を受診してください。
初めてマンジャロを使用する際は、万が一アレルギー反応が起きた場合に備え、医師や薬剤師から緊急時の対応について説明を受けておくことが大切です。
マンジャロの副作用が出やすい時期・投与量
マンジャロの副作用は、投与開始初期や投与量の増加時に比較的多く見られる傾向があります。特に、吐き気、嘔吐、下痢、便秘といった消化器系の症状は、体が薬剤に慣れていない最初の数週間で最も頻繁に報告されます。多くの場合、投与を継続するうちに症状は軽減していきます。
マンジャロは、通常、少量(2.5mg)から開始し、効果や副作用を確認しながら徐々に増量していくステップアップ方式で投与量が調整されます。これは、副作用、特に胃腸症状の発現を抑えるためです。用量を増やすと、それまで軽度だった副作用が一時的に強くなったり、新たな副作用が現れたりすることがあります。しかし、これも多くの場合、体が新しい用量に慣れるにつれて落ち着いていきます。
投与量が高くなるにつれて、副作用の発生頻度も高まる傾向があるという報告もあります。特に消化器症状は、高用量でより起こりやすい可能性があります。医師は、患者さんの血糖コントロールの状態や、副作用の出方を見ながら、最適な投与量を判断します。
投与から時間が経ってから新たな副作用が現れたり、症状が強くなったりする場合もあります。投与量に関わらず、体調の変化には常に注意し、気になる症状があれば自己判断せず、医師や薬剤師に相談することが重要です。
マンジャロの副作用への対処法と予防策
マンジャロの副作用は、多くの場合、適切な対処や予防策によって軽減することができます。自己判断で薬を中止したり、対処したりするのではなく、必ず医師や薬剤師と相談しながら進めることが大切です。
自分でできる日常生活での対策
吐き気や下痢、便秘といった胃腸症状は、日常生活での工夫によって軽減できることがあります。
- 食事の工夫:
- 一度にたくさん食べず、少量頻回に分けて食事を摂る。
- 消化の良いものを中心に食べる(例: お粥、うどん、白身魚、鶏むね肉など)。
- 脂っこいもの、香辛料の多いもの、カフェイン、アルコールなど、胃腸に負担をかけるものを控える。
- ゆっくりとよく噛んで食べる。
- 食後すぐに横にならない。
- 水分補給: 下痢や嘔吐がある場合は、脱水症状を防ぐためにこまめに水分を摂ることが重要です。スポーツドリンクや経口補水液なども有効です。
- 適度な運動: 軽い運動は胃腸の動きを整えるのに役立つことがあります。ただし、体調が優れないときは無理せず休息しましょう。
- 注射のタイミング: 食事の直前ではなく、食間や空腹時に注射することで、胃腸症状が軽減されるかどうか試してみる価値はあるかもしれません。ただし、医師の指示に従ってください。
- 便秘対策: 十分な水分と食物繊維を摂る、適度な運動をする、規則正しい排便習慣をつけるなどが有効です。症状がひどい場合は、医師に相談して緩下剤などを処方してもらうことも検討できます。
- 吐き気対策: 吐き気が強い時は、無理に食事を摂らず、水分補給を優先しましょう。冷たいものやさっぱりしたもの(ゼリー、アイスクリームなど)が摂りやすい場合があります。
これらの対策を試しても症状が改善しない場合や、むしろ悪化する場合は、必ず医療機関に相談してください。
医療機関に相談すべき症状・タイミング
以下のような症状や状況が見られた場合は、自己判断せずに速やかに医療機関に連絡し、医師の指示を仰いでください。
- 重大な副作用の兆候:
- 持続する激しい腹痛、特にみぞおちや上腹部の痛み(急性膵炎、腸閉塞の可能性)
- 右上腹部の痛み、発熱、黄疸(胆嚢炎、胆石症の可能性)
- 全身のじんましん、息苦しさ、唇や舌の腫れなど、重いアレルギー症状
- 意識がもうろうとする、意識を失う(重度の低血糖の可能性)
- 一般的な副作用でも、以下のような場合:
- 吐き気、嘔吐、下痢などがひどく、食事や水分が十分に摂れない
- 症状が長期間(例えば数週間以上)続く、または悪化する
- 痛みが強く、我慢できない
- 日常生活に支障が出ている
- その他:
- 何かいつもと違う体調の変化を感じた場合
- マンジャロについて不安なことがある場合
- 他の病気にかかったり、新しい薬を飲み始めたりした場合
症状が出た際は、いつから、どのような症状が、どのくらいの強さで出ているのかを具体的に医師や薬剤師に伝えられるようにメモしておくと、スムーズな対応につながります。
副作用によるマンジャロの減量・中止
マンジャロの副作用が強く現れ、日常生活に支障が出たり、改善が見られなかったりする場合、医師の判断によってマンジャロの投与量を減らしたり、一時的に投与を中止したり、他の薬剤に変更したりすることがあります。
副作用の程度や種類に応じて、医師は適切な対応を判断します。例えば、胃腸症状が強い場合は、投与量を一つ下の段階に戻して様子を見ることがあります。重大な副作用が疑われる場合は、直ちに投与を中止し、必要な検査や治療が行われます。
重要なのは、自己判断でマンジャロの注射をやめないことです。自己判断で中止すると、血糖コントロールが悪化したり、他の健康問題を引き起こしたりする可能性があります。必ず医師の指示に従い、相談の上で投与量の変更や中止を行ってください。
マンジャロ使用上の注意点
マンジャロを安全かつ効果的に使用するためには、いくつかの注意点があります。特に他の薬剤との飲み合わせや、投与できない方については十分に理解しておく必要があります。
併用禁忌・注意が必要な薬剤(インスリン、SU剤など)
マンジャロは、他の糖尿病治療薬と併用されることがあります。しかし、一部の薬剤との併用には特に注意が必要です。
- インスリン製剤およびスルホニルウレア剤(SU剤): これらの薬剤はマンジャロと同様に血糖を下げる作用があります。マンジャロとこれらの薬剤を併用すると、低血糖を起こすリスクが高まります。併用する場合は、インスリンやSU剤の用量を減量するなど、低血糖を予防するための調整が必要になることがあります。必ず医師の指示に従い、低血糖の症状とその対処法について理解しておいてください。
- 血糖値を上昇させる可能性のある薬剤: 副腎皮質ステロイド、甲状腺ホルモン剤など、血糖値を上昇させる作用を持つ薬剤と併用する場合、マンジャロの効果が弱まる可能性があります。これらの薬剤を使用している場合は、必ず医師に伝えてください。
- 特定の飲み薬: マンジャロは消化管の動きをゆっくりにする作用があるため、一緒に飲んだ薬剤の吸収が遅れる可能性があります。特に、吸収に速効性が求められる薬剤(例: 血糖降下薬の一部)を使用している場合は注意が必要です。現在使用している全ての薬剤(処方薬、市販薬、サプリメントなどを含む)を医師や薬剤師に伝えてください。
マンジャロを投与できない方
以下に該当する方は、原則としてマンジャロを投与できません。
- マンジャロの成分(チルゼパチド)に対し、過去に過敏症(アレルギー症状)を起こしたことがある方
- 1型糖尿病の患者さん
- 糖尿病性ケトアシドーシスの方
- 重症感染症、手術前後、重篤な外傷がある方(インスリンによる血糖管理が必要となる場合があります)
- 妊婦または妊娠している可能性のある女性、授乳婦
- 重度の腎機能障害または透析中の末期腎不全の患者さん
- 重度の肝機能障害のある患者さん
- 胃排出時間の遅延を伴う消化器疾患(胃不全麻痺など)のある方
- 膵炎の既往歴のある方(急性膵炎の発症リスクが高い可能性が否定できないため、慎重に検討されます)
- 胆嚢関連疾患(胆嚢炎、胆石症など)の既往歴のある方(症状悪化のリスクが考えられます)
- 甲状腺髄様癌の既往歴がある、または家族歴のある方、あるいは多発性内分泌腫瘍症2型の方(海外の類縁薬において、げっ歯類で甲状腺腫瘍の発生が報告されているため、関連性は不明ですがリスクを考慮し避けることとされています)
上記以外にも、患者さんの状態によってはマンジャロが適さない場合があります。持病やアレルギー、現在服用中の薬など、ご自身の健康状態に関する情報は全て医師に正確に伝えてください。
まとめ:マンジャロの副作用について医師とよく相談しましょう
マンジャロは、2型糖尿病の血糖コントロールにおいて非常に有効な治療薬です。週1回の注射で済むなど、利便性も高い薬剤ですが、他の薬と同様に副作用のリスクは伴います。
特に多く報告されるのは、吐き気や下痢、便秘といった消化器系の症状です。これらは投与開始初期や増量時に起こりやすく、多くの場合、体が慣れるにつれて軽減していきます。これらの症状に対しては、食事の工夫や水分補給など、ご自身でできる対策もありますが、症状が強い場合や長期間続く場合は、必ず医師に相談してください。
まれではありますが、急性膵炎、胆嚢炎、腸閉塞、重篤なアレルギー反応、重度の低血糖といった重大な副作用が起こる可能性もゼロではありません。これらの兆候を早期に発見し、適切に対応するためには、症状について事前に理解しておくこと、そして何よりも異常を感じたらすぐに医療機関に連絡することが重要です。
マンジャロによる治療を開始する前、あるいは治療中に不安な点や疑問点があれば、どんな些細なことでも構いませんので、遠慮なく医師や薬剤師に相談してください。患者さん一人ひとりの状態に合わせて、副作用への対応や、より安全で効果的な治療法についてのアドバイスを受けることができます。
マンジャロを正しく理解し、医師や薬剤師と密に連携を取りながら治療を進めることが、良好な血糖コントロールと安全な治療継続につながります。
免責事項:
本記事は、マンジャロの副作用に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の治療を推奨したり、医師の診断や助言に代わるものではありません。個々の症状や治療に関しては、必ず担当の医師にご相談ください。記事の内容は正確性を期しておりますが、情報の完全性や最新性を保証するものではありません。また、医療情報は日々更新されるため、最新の添付文書やガイドラインをご参照ください。本記事の情報に基づいて行われたいかなる行為についても、当方は一切の責任を負いかねます。