院長コラム

輪郭3点手術後に起こるたるみの原因と効果的な解消法

「輪郭3点の手術をしたら、たるみは出ますか?」

この質問、本当によくいただきます。

僕自身、形成外科医として骨切り手術を長く担当してきましたが、たるみのリスクはゼロではありません。ただ、術式や術後ケア次第で大きく変わるのも事実です。

今日は、輪郭3点手術でなぜたるみが出やすいのか、どう防ぐのか、そして僕の実際の臨床経験も交えながら解説します。

輪郭3点手術の特徴と適応条件

輪郭3点手術は、エラ・頬骨・オトガイ(顎)の3つの骨を同時に切り、フェイスラインを整える施術です。一度で大きな変化が得られるため、近年では韓国医療、SNSの影響により希望する方が当院でも増えています。

ただ、骨を動かすと皮膚や筋肉の支えが減るため、その人の骨格やお顔のバランスを見て治療計画をたてないと、術後に皮膚の余りがたるみに繋がり目立つこともあります。

骨切り後にたるみが出るのはなぜ?

昔の話ですが、エラを大きく切り上げていた時代は、フェイスラインがかなり細くなる代わりに、頬の真ん中あたりにふくらみが出ることが多かったんです。理由は簡単で、エラの骨って、実は皮膚を支える大黒柱みたいなもの。その支えがなくなると、組織が前に落ちてきてしまうんです。

今はそこまで切り上げる術式は取らず、まっすぐ後方に切り抜く方法が一般的です。この工夫で昔ほどのたるみが目立ちにくくなりました。たるみがとても目立つ場合は、切りすぎてしまったパターンの可能性もあります。

オトガイ形成などで顎を極端に短くすると、顎下に余りが出やすいです。オトガイ形成では、Vラインの傾斜や顎の細さの調整によって仕上がりや印象が変わります。つまり、バランスが大切なんです。

 

輪郭3点とVライン・両顎の違い

「輪郭3点」と「Vライン手術」や「両顎手術」では、たるみの出方が少し違います。

  • 輪郭3点:エラ・頬骨・顎を同時に動かすので、皮膚の余りが出る場合がある
  • Vライン形成:顎下に集中したたるみが出やすい
  • 両顎手術:顎を回転させる場合、口角の斜め下(マリオネットライン外側)に変化が出やすい

特に、顎前突(しゃくれ)を改善するために顎を回し込むケースは、口角下の組織が下がるので注意が必要です。

【年齢別】たるみのリスク

僕の経験上、年齢によってたるみのリスクは変わると思っています。

  • 20代:皮膚の弾力がしっかりあるので、たるみが目立ちにくい
  • 30代:軽度のたるみリスクがあり、僕は予防的にHIFUや糸を組み合わせる提案をよくします。
  • 40代以降:皮膚のハリが落ちているため、術後にリフト施術やHIFUを組み合わせるケースが多い

術後のたるみ治療の選び方

「骨切りしたらフェイスリフトは必須ですか?」と聞かれることもありますが、僕の答えは「必ずしも必要ではない」です。手術をしなくても、機械や糸で十分対応できる方は多いです。

【HIFU・高周波治療】

ダウンタイムを取りたくない方にはHIFUやRF系治療(デンシティなど)が有効。SMAS層を引き締め、たるみ予防が期待できます。

【糸リフト】

「糸はすぐ戻りますよね?」とよく聞かれますが、実は糸が分解されるときにコラーゲンが増えるので、完全にゼロには戻らないんです。定期的に糸で支えてあげると、将来的なたるみ予防にもなります。

【フェイスリフト手術】

「一度で大きく改善したい」「たるみや皮膚の余りをしっかり取りたい」という方は、フェイスリフトという選択肢があります。この手術では耳の前で切開を行うため、傷が生じますが、正面から見て目立つことは少ないです。ただ、どんな手術でも傷がゼロになるわけではありませんので、十分な説明を受けて選択することが大切です。

僕自身は、切る手術はあくまで「選択肢のひとつ」と考えています。必ずしも必要ではなく、糸や機械を組み合わせるだけで満足される方も多いです。

骨切り医師の見解!コツコツが一番大切

僕が患者さんに必ずお伝えするのは、「一度で完璧にしようとしないこと」。骨切りしても、骨切りをしていなくても、年齢による変化は必ずおこります。だから、HIFUや糸リフトを定期的に取り入れて、コツコツケアしていく。この積み重ねが、自然なフェイスラインを長く保つ秘訣です。当院では骨切り後のたるみ治療まで一緒にプランを考えていきます。手術後にたるまないか気になっている方は、お気軽にご相談くださいね。

よくある質問Q&A

Q1. 輪郭3点手術後に必ずたるみますか?

A. 個人差はありますが、骨の支えが減るため一定のリスクはあります。ただ、現在一般的に行われている術式では、過去と比べてたるみの出方は軽減されています。

Q2. フェイスリフトと骨切り手術はセットでやるべきですか?

A. 必須ではありません。たるみが気になる場合は、HIFUや糸リフトで十分対応できるケースも多いです。術後にどこがたるむのかも、カウンセリングでお話させていただきます。

Q3. ダウンタイムはどれくらい?

A.強い腫れや内出血は2〜3週間程度で落ち着きますが、見た目が自然になるまでには1.5〜3カ月ほどかかります。骨の安定や感覚の回復は半年程度を目安にしてください。

監修者情報

宮﨑 邦夫

リノクリニック東銀座 院長

【資格・所属学会】
日本外科学会専門医 / 日本外科学会会員 / 日本形成外科学会会員 / 日本頭蓋顎顔面外科学会会員 / 日本美容外科学会会員

消化器外科・心臓血管外科・呼吸器外科・小児外科など外科研修ののち、外科専門医を取得。その後、形成外科で6年、美容外科で7年実績を積み、リノクリニック東銀座を開業、院長を務める。美容外科の技術は韓国や台湾、アメリカなどへ出向き、良質な技術を取り入れて日々の診療に生かしている。 2014年から在籍していた湘南美容クリニックでは指導医として若手美容外科医の教育にも尽力し、同院で行われた美容外科コンテストで2年連続ではグランプリを獲得。次の東京美容外科では骨切りメニューの立ち上げを行い、スタッフ教育にも尽力した。

監修日:2025.07.24

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