院長コラム
頬のしぼみや化粧のりの悪さ、ほうれい線の深さにお悩みの方は少なくありません。当院でもこうしたご相談は年々増えていますが、肌のハリを目的とした再生医療は、効果の実感までおおむね1〜3ヶ月、持続期間は1〜2年が目安となります。ヒアルロン酸のように注入直後に変化が現れる治療とは異なり、ご自身のコラーゲンが生成されるまでの時間を要するのが特徴です。そのため、事前に効果の現れ方や持続期間を把握しておくことで、ご自身に適した治療法選びにつながります。この記事では、治療ごとの効果や期間の目安、回数、そして私が診察時に見極めているポイントを分かりやすく解説します。
【この記事でわかること】
・肌の再生医療で効果が出るまでの期間と、持続期間の目安
・PRP・PN・線維芽細胞など治療別の効果と必要回数の違い
・効果を長持ちさせるために私が患者さんにお願いしていること
・カウンセリングでよく聞かれる疑問への答え
目次
肌のハリと再生医療の基礎知識
肌の再生医療とは、自分の血液や細胞、あるいは細胞の働きを促す物質を皮膚に注入して、コラーゲンをつくる細胞(線維芽細胞)そのものを活性化させる治療のことです。足りないものを外から足すヒアルロン酸とは、発想が根本的に違います。
まず、なぜハリが失われるのか。皮膚は表皮・真皮・皮下組織の三層構造で、ハリや弾力を担っているのは真皮のコラーゲンとエラスチンです。この線維は20代後半から少しずつ減り始め、紫外線を浴び続けた部位ほど変性が進みます(いわゆる光老化)。加えて、真皮でコラーゲンを産生している線維芽細胞自体の働きが鈍くなる。結果として、皮膚が薄く、しぼんで、重力に負ける。「たるみ毛穴が縦に伸びてきた」「フェイスラインがぼやけてきた」という訴えは、この土台の変化が表に出たサインだと私は捉えています。
改めまして、リノクリニック東銀座院長の宮﨑邦夫(外科専門医)です。外科医として20年以上、組織の治療に携わってきた立場からお伝えすると、再生医療のメカニズムは美容外科というよりもむしろ「創傷治癒(傷の治る過程)」の考え方に非常に近いです。組織が修復される際には、炎症期から増殖期、そして成熟期という決まったプロセスがあり、新しいコラーゲンが安定するまでに数ヶ月を要します。再生医療の効果発現に一定の時間がかかるのは、まさにこの体の自然な生理的プロセスに由来しているためです。
もう一点、知っておいていただきたいことがあります。PRP(多血小板血漿)や幹細胞を用いる治療は、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づき、厚生労働省への提供計画の届出が必要な医療行為です。届出をしているかどうかは、クリニック選びの最低条件だと考えてください。
肌の再生医療は効果がいつ出る?
答えを先に言います。多くの治療で、変化を自覚し始めるのは2〜4週間後、はっきり「ハリが戻った」と感じるのは1〜3ヶ月後です。線維芽細胞を培養して移植するタイプでは、3〜6ヶ月かけてじわじわ変わります。

なぜこれだけの時間が必要なのか。注入された成長因子やポリヌクレオチドは、線維芽細胞に「もっとコラーゲンをつくれ」という信号を出します。しかし細胞が新しい線維を合成し、それが架橋して真皮の厚みとして形になるまでには、どうしても数週間から数ヶ月かかる。注入した翌日に肌がふっくらして見えることがありますが、正直に言うと、あれはほとんどが水分と軽い腫れです。本当の効果ではありません。ここを誤解したまま「1週間で戻った、効かなかった」と判断してしまう方が、実はいちばんもったいない。
海外の系統的レビューでも、PRPを1〜3回行うことで小じわ、キメ、弾力、色ムラといった指標の改善が報告されている一方、評価方法や結果にはばらつきがあることが指摘されています。ポリヌクレオチド製剤についても、皮膚の再生促進という点で有望だが、研究ごとに条件が異なるという慎重な結論です。つまり「誰にでも劇的に効く魔法」ではない。ここは正直にお伝えしておきたいところです。
日々の診療で実感するのは、効果を実感しやすい方には一定の共通点があるということです。具体的には、喫煙習慣がなく、十分な睡眠と適切な紫外線対策を心がけておられ、極端な痩せ型ではない方が挙げられます。特に30代後半から50代前半で、たるみそのものというよりも「皮膚の薄さやしぼみ、ツヤの低下」にお悩みの方において満足度が高くなる傾向があります。一方で、皮膚や脂肪のたるみが重力によりすでに強く生じている段階の場合、再生医療単独ではご希望の効果を得ることが難しいケースもあります。
ハリの効果が続く期間と回数
持続期間の目安は、PRPで約1〜2年、ポリヌクレオチド(PN)で約6〜12ヶ月、培養線維芽細胞の移植で約2〜3年です。幹細胞培養上清液やエクソソームを用いる方法は、ツヤや乾燥感の改善が中心で、持続は数ヶ月単位と考えておくほうが現実的でしょう。
回数についても整理します。PRPは3〜4週間隔で2〜3回を1クールとするのが一般的。PNは2〜4週間隔で3〜5回を初回クールとし、その後は半年ごとのメンテナンスに移行します。培養線維芽細胞は2回法が多く、採取から培養完了まで4〜6週間かかるため、治療全体では2〜3ヶ月のスケジュールを見ておく必要があります。「来月の結婚式までに」というご相談には、再生医療単独ではまず間に合いません。
ここで一つ、カウンセリングでいつも使っている説明を。肌のコラーゲンは貯金のようなもので、年齢とともに毎年少しずつ減っていきます。再生医療は、減った貯金を一度補充し、取り崩すスピードを緩める治療です。だから「永久に保つ」ことはありえないし、逆に「切れたら急に老け込む」こともありません。効果が薄れたというのは、加齢の速度に追いつかれたという意味に近い。
私が1回で劇的な変化を求める方にあまり積極的に勧めないのは、この構造があるからです。むしろ、半年〜1年ごとに積み重ねて、5年後の自分の肌質を守るという発想で受けていただきたい。美容医療の学会でも、近年は一時的な見た目の改善より長期的な皮膚の質の維持にテーマが移ってきています。日本美容外科学会(JSAPS/JSAS)の学術集会でも、再生医療系の演題は明らかに増えました。
治療別に見る効果と期間の違い
代表的な治療の特徴を、効果の出方と期間という軸で並べてみます。
PRP(多血小板血漿)。自分の血液を遠心分離して血小板を濃縮し、注入する方法です。血小板から放出されるVEGFやPDGF、TGF-βといった成長因子が血管新生とコラーゲン合成を促します。自己血由来なのでアレルギーリスクが低いのが利点。実感まで1〜3ヶ月、持続1〜2年が目安。目の下や口周りの細かいちりめんジワに向いています。
PN(ポリヌクレオチド)。サケ由来のDNA断片を用い、線維芽細胞の働きと保水性を高める注入治療です。効果の立ち上がりは比較的早く、2〜4週で肌のしっとり感が変わってくる方が多い。ただし国内未承認の医薬品を用いる場合があり、その際は入手経路や国内承認薬の有無、重大な副作用について医師から説明を受けたうえで判断してください。
培養線維芽細胞移植。耳の後ろなどから皮膚を少量採取し、自分の線維芽細胞を培養して増やしてから真皮に戻します。効果発現は3〜6ヶ月とゆっくりですが、持続は長め。手間も期間もかかる分、腰を据えて取り組む方向けです。
脂肪由来の細胞を用いる治療も研究が進んでおり、弾力やキメ、色ムラの改善が報告されていますが、評価指標が統一されていないのが現状です。
そして併用。ボツリヌストキシン、ヒアルロン酸、高周波やレーザーといったエネルギー機器とコラーゲン産生を促す製剤を組み合わせると、単独より良い結果が得られるという報告があります。私自身、シワの「動き」が原因ならボトックス、「へこみ」ならヒアルロン酸、「土台の薄さ」なら再生医療と、原因別に分けて組み立てています。
私が治療を決めるときに見ている4点
STEP 1|皮膚をつまんで、厚みと戻りの速さを確認する。ここでたるみ優位か質の劣化優位かを分けます。
STEP 2|顔の骨格とボリュームロスの位置を見る。こけているなら注入系の併用が要ります。
STEP 3|生活背景を聞く。喫煙、睡眠、紫外線、急激なダイエット歴。
STEP 4|ご本人の希望する期間と予算を確認し、無理なら「今は勧めません」と伝える。
費用はクリニックによって幅があります。当院の金額は料金ページに掲載していますので、こちらをご確認ください。確定金額はカウンセリングでご案内します。

肌の再生医療でよくある質問
Q. 肌のハリがなくなってきました。再生医療は何歳から受けられますか?
A. 明確な年齢制限はなく、30代前半から受けられる方もいます。ただし効果を実感しやすいのは、たるみよりも皮膚の薄さやツヤのなさが気になり始めた30代後半〜50代前半という印象です。20代で肌質改善目的なら、まず生活習慣と紫外線対策の見直しが先だと考えています。
Q. 1回打てば効果が出ますか?何回くらい必要でしょうか。
A. 1回でも変化を感じる方はいますが、安定した結果を狙うならPRPで2〜3回、PNで3〜5回が目安です。いずれも2〜4週間隔。コラーゲンがつくられるには時間がかかるため、1回で判断せず、初回クールを終えて3ヶ月後の肌で評価していただきたいです。
Q. 効果が切れたら、治療前より老けて見えることはありますか?
A. 治療前より悪化することは基本的にありません。再生医療は自分のコラーゲン産生を促す治療なので、効果が薄れたときは「加齢の進行に追いつかれた状態」に戻るだけです。急に落ち込むような変化ではなく、徐々に戻っていくと考えてください。
Q. ダウンタイムはどのくらいですか?仕事は休む必要がありますか。
A. 注入系であれば、赤みや軽い腫れが1〜3日、内出血が出た場合で5〜7日が目安です。多くの方はメイクで隠して翌日から出勤されています。施術当日の激しい運動、飲酒、長風呂は避けていただきます。
Q. ヒアルロン酸やレーザーとは、どちらを先にやるべきですか?
A. 悩みの原因によります。頬のこけなど形のへこみが主体ならヒアルロン酸が先、肌の薄さやハリの低下が主体なら再生医療が先です。私は同日に全部を詰め込まず、土台から順に整えて、3ヶ月ごとに評価する進め方をおすすめしています。
肌のハリと再生医療の期間まとめ
- 肌の再生医療とは、線維芽細胞を活性化して自分のコラーゲンをつくらせる治療
- 効果の実感は2〜4週から始まり、はっきり出るのは1〜3ヶ月後
- 持続期間の目安はPRPで1〜2年、PNで6〜12ヶ月、培養線維芽細胞で2〜3年
- 回数はPRP2〜3回、PN3〜5回が初回クール、以降は半年〜1年ごとのメンテナンス
- 結婚式など期日がある場合は、最低3ヶ月前からの計画が必要
- PRPや幹細胞を用いる治療は厚生労働省への届出が必要な医療行為
肌のハリ低下は、たるみやボリュームロス、そして皮膚の質の劣化という複数の要素が重なって生じます。根本的な原因を見極めないまま治療法を選択してしまうと、十分な結果が得られずご負担になってしまうことも少なくありません。効果や経過には個人差がございますので、まずはお気軽にカウンセリングへお越しいただき、診察にてお肌の状態を確認させてください。銀座・東銀座エリアで肌のハリや再生医療をご検討の際は、当院までご相談ください。
リノクリニック東銀座のご案内
リノクリニック東銀座/院長:宮﨑 邦夫(日本外科学会認定 外科専門医、外科経験20年以上)。所在地は東京都中央区銀座3丁目11-13 松本銀座ビル9階(東銀座駅から徒歩3分)です。当院では輪郭形成などの外科手術から、婦人科形成、保険診療の腋臭症手術、肌の悩みに対する治療まで幅広く対応しています。東京で肌のハリ・たるみ・老け見えのお悩みをお持ちの方に、外科医の視点から解剖学的な原因を踏まえてご提案します。初診のご予約はこちら(WEB予約24時間受付)。
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参考文献
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- Haykal D, Flament F, Shadev M, et al. Advances in Longevity: The Intersection of Regenerative Medicine and Cosmetic Dermatology. J Cosmet Dermatol. 2025;24(7):e70356. PubMed / DOI
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- Chon J, Randall SE, Schumann TA, et al. A Systematic Review of Adipose-Derived Cell Therapies on Skin Quality. Aesthet Surg J Open Forum. 2025;7:ojaf098. PubMed / DOI
- Phoebe LKW, Lee KWA, Chan LKW, et al. Use of platelet rich plasma for skin rejuvenation. Skin Res Technol. 2024;30(4):e13714. PubMed / DOI
監修者情報

宮﨑 邦夫
リノクリニック東銀座 院長【資格・所属学会】
日本外科学会専門医 / 日本外科学会会員 / 日本形成外科学会会員 / 日本頭蓋顎顔面外科学会会員 / 日本美容外科学会会員
消化器外科・心臓血管外科・呼吸器外科・小児外科など外科研修ののち、外科専門医を取得。その後、形成外科で6年、美容外科で7年実績を積み、リノクリニック東銀座を開業、院長を務める。美容外科の技術は韓国や台湾、アメリカなどへ出向き、良質な技術を取り入れて日々の診療に生かしている。 2014年から在籍していた湘南美容クリニックでは指導医として若手美容外科医の教育にも尽力し、同院で行われた美容外科コンテストで2年連続ではグランプリを獲得。次の東京美容外科では骨切りメニューの立ち上げを行い、スタッフ教育にも尽力した。
監修日:2026.10.30



