院長コラム
骨切りのダウンタイム経過|術後直後から完成までの腫れと生活制限
「エラが張っていて顔が大きく見える」「横顔のラインが気になる」。そう悩んで骨切りを考え始めた方が、次に必ずぶつかる壁がダウンタイムです。結論からお伝えすると、腫れのピークは術後4〜5日。2週間で約7割、1ヶ月で約9割が引き、残りの微細なむくみは3〜6ヶ月かけてゆっくり落ち着いていきます。一方で、切った骨がしっかりとくっつくスピード(骨癒合)はこれとはまったく別のペースで、こちらは3〜6ヶ月単位かかります。この「見た目の腫れ」と「骨の治り」という2つの異なるペースを混同すると、術後の計画が大きくズレてしまい、不安の原因になってしまいます。東銀座で日々手術をしている立場から、週単位・月単位の現実的な経過をお話しします。
目次
この記事でわかること
- 骨切りのダウンタイム経過を「腫れ(軟部組織)」と「骨癒合」に分けた時系列
- 術後直後から6ヶ月までの、週ごと・月ごとの具体的な変化
- 食事がいつ普通に戻るか、仕事にいつ復帰できるかの現実的な目安
- 当院がフェイスバンドによる圧迫固定を行わない理由と、代わりに行うケア
骨切りのダウンタイム経過とは
骨切りのダウンタイムには、進み方がまったく違う2つの回復プロセスが同時に存在します。ひとつは「骨がくっついていく過程」、もうひとつは「皮膚・脂肪・筋肉・粘膜といった、骨以外の組織が腫れや内出血から回復していく過程」です。この2つのスピードはまったく異なります。ここを分けて理解できているかどうかで、術後の不安の大きさがまったく変わってきます。 皮膚や筋肉などの組織は血流が豊富なので、比較的早く回復します。手術で生じた浮腫(むくみ)は術後4〜5日で最大になり、そこから一気に引きはじめます。一方、骨はゆっくりです。骨切り後はチタンプレートとスクリューで固定しますが、この固定はあくまで仮の支え。実際に骨同士が仮骨でつながり始めるのが術後4〜6週、硬い骨として安定してくるのが3〜6ヶ月というのが一般的な治癒のスピードです。
私は院長の宮﨑 邦夫(日本外科学会認定 外科専門医)と申します。外科医として20年以上、骨や軟部組織の治り方を見てきて感じるのは、患者さんの不安の大半が「腫れの時計」で動いているのに、医師側の注意事項は「骨の時計」で出されている、というズレです。たとえば術後2週間で「顔はもうほぼ普通に見えるのに、硬いものを噛んではいけない」と言われる。これは矛盾ではなく、見た目の回復と骨の強度の回復が別物だからです。
エラ削りに関する海外の医学論文でも、骨をどう削るかというデザインや手術方法の違いによって、術後の腫れ方や骨が完全に安定していくまでの過程に差が出ると報告されています。つまり、「ダウンタイムが何日で終わるか」という一律の答えはありません。どこをどのように切ったかによって経過は大きく変わります。だからこそカウンセリングでは、ご自身が受ける手術方法に合わせて、具体的な経過をしっかり確認してほしいのです。
骨切り後の腫れはいつ引く?

結論を言います。腫れのピークは術後4〜5日。そこから2週間で約7割、1ヶ月で約9割が引きます。残りの1割は3〜6ヶ月かけてゆっくり消えていく、というのが当院で手術を受けられた方に一貫してお伝えしている経過です。
ここで多くの方が誤解しているのが、「術後翌日が一番腫れる」という思い込みです。実際は違います。手術当日は意外と腫れておらず、「思ったより平気です」とおっしゃる方が多い。ところが2日目、3日目とむくみが増え、4〜5日目に鏡を見て一番落ち込む。この谷を知らずに迎えると、「失敗したのではないか」と本気で不安になります。私は術前カウンセリングで必ずこの話をします。「4〜5日目が底です。そこからは毎日よくなります」と先に言っておくだけで、術後の精神的な負担がまるで違うからです。
内出血についても触れておきます。下顎角部や頬骨の骨切りでは、重力に従って内出血が顎の下や首筋に降りてきます。これは出血が悪化しているのではなく、吸収の過程。色は赤紫→青→黄緑→黄色と変化し、2〜3週間で消えるのが一般的です。首まで降りてきた時点で「広がっている」と驚かれますが、むしろ吸収が順調な証拠だとお伝えしています。
当院がフェイスバンドで圧迫固定をしない理由
一般的にはフェイスバンドを使用するクリニックもありますが、当院では血腫の早期発見と気道確保、開口訓練を優先するためフェイスバンドによる圧迫固定は行いません。頭を高くして過ごし、しっかり食事を取っていただくことを推奨しています。
理由をもう少し具体的に説明します。第一に、フェイスバンドで強く圧迫してしまうと、万が一内部で内出血の塊(血腫)が起きたときに発見が遅れてしまうこと。輪郭の手術で最も警戒すべきトラブルの一つが術後出血なので、早く見つけてすぐに対処できる体制を最優先にしています。第二に、顎の下を強く締め付けることで呼吸の通り道(気道)が狭くなるリスクを避けたいこと。そして第三に、できるだけ早い段階から口を開ける練習(開口訓練)を始めたいからです。口を動かさない期間が長引くほど、口が開きにくくなる後遺症が残りやすくなります。
では代わりに何をするか。頭を高くして過ごすこと(就寝時も枕を高めに)、しっかりご飯を食べること、そして早い段階から口を開ける練習をすること。この三つです。地味に聞こえるかもしれませんが、むくみは重力と血流で引くものです。横になりっぱなしで食事も取らずに過ごすより、頭を上げて栄養を入れて口を動かすほうが、結果的に腫れは早く引くと私は考えています。
週単位でみる骨切りの経過表
骨切り後の経過を、実際の診療でお話ししている時系列で並べます。エラ(下顎角)、頬骨、顎先(オトガイ)の骨切りを想定した一般的な目安です。
STEP 1|術後0〜3日:腫れが増えていく時期
痛みは鎮痛剤でコントロールできる範囲の方がほとんどです。口の中の創部がひきつれ、口が大きく開きません。開口量は普段の3分の1程度まで落ちることもあります。この時期は無理せず、頭を高くして過ごしてください。
STEP 2|術後4〜7日:ピークから下り坂へ
4〜5日目が腫れの底。顔が丸く見え、頬が張ります。ここを越えると、朝起きるたびに「昨日より引いた」と実感できるようになります。抜糸が必要な場合はこの前後です。
STEP 3|術後2週間:7割が引く
マスクをしていれば日常生活で違和感を持たれないレベルまで来る方が多い時期。開口も半分以上戻ります。内出血の色も薄くなります。
STEP 4|術後1ヶ月:9割が引く
顔の輪郭の変化が自分でもはっきり分かるようになります。ただし、まだ「むくみの最後の1割」が残っているので、完成形ではありません。
STEP 5|術後3〜6ヶ月:完成へ
軟部組織が骨の新しい形に沿って落ち着き、骨癒合も進みます。輪郭手術の最終評価はこの時期です。写真を並べて比較すると、1ヶ月目と6ヶ月目でフェイスラインのシャープさが違うことに驚かれる方が多い。
骨の強度については、固定したプレートに頼っている期間が術後およそ6週間。この間は転倒や顔面への衝撃、硬い食べ物を強く噛む動作を避けていただきます。コンタクトスポーツの再開は3ヶ月以降を目安にしています。
骨切りダウンタイム中の食事と生活
食事制限は、術後2〜3日が流動食、1週間で軟らかい食事、2〜4週で通常食に近づき、硬いものを安心して噛めるのは1〜2ヶ月後。これが大まかな流れです。
具体的に言うと、最初の数日はゼリー飲料、スープ、おかゆ、ヨーグルト、栄養補助飲料など。噛まずに飲み込めるものを選びます。1週間を過ぎると、豆腐や煮込んだうどん、卵料理、やわらかい煮魚といったものが食べられるようになります。2週間ほどで多くの方が「普通に近い食事」に戻りますが、せんべい、ナッツ、フランスパン、硬い肉といった強い咬合力がかかるものは1〜2ヶ月は控えてください。骨の固定部に繰り返し力がかかるのを避けるためです。
ここは正直に話しますが、術後に一番多い失敗は「食べなさすぎ」です。口が開かない、噛むのが億劫、見た目も変わって気持ちが沈む。それで食事量が落ちる方がいます。しかし手術後の体は組織を修復するためにタンパク質とカロリーを求めています。栄養が足りなければ腫れの引きは遅くなり、傷の治りも鈍る。だから私は術後診察で、痛み止めの話より先に「ちゃんと食べていますか」と聞きます。食べられないなら、飲めるタンパク質を使ってでも入れてください。これは本当に回復速度に効きます。
生活面では、入浴は術後数日はシャワーのみ、湯船は腫れが落ち着く1〜2週後から。飲酒と喫煙は血流と創傷治癒に直接影響するので、最低2週間、できれば1ヶ月は控えていただきたい。運動は、軽い散歩は翌日から問題ありませんが、心拍が上がる運動は2〜3週以降、本格的な筋トレは1ヶ月以降が目安です。
口の中を清潔に保つことも忘れないでください。輪郭手術の多くは口腔内からのアプローチなので、処方されたうがい薬で丁寧に洗い、食後は必ず口をすすぐ。感染は経過を一気に後戻りさせる要因です。
骨切り後の仕事復帰と通院の経過
仕事復帰は、早い方で術後数日。マスクをしていればデスクワークは可能という方が多数です。人前に出る仕事や接客業であれば2週間、完全に自然に見せたいなら1ヶ月をみておくと安心でしょう。

実際、東銀座という土地柄もあって、当院には会社員の方が多くいらっしゃいます。金曜に手術をして翌週水曜からリモート勤務に戻った方、連休を使って手術をして出社日に合わせた方。皆さんかなり現実的にスケジュールを組んでいます。私からお伝えしているのは、「腫れを気にしなければ、生活リズムはどんどん戻してよい」ということ。動かないことに医学的なメリットはほとんどありません。むしろ座って活動し、食べて、口を動かしているほうがむくみは早く引きます。
ただし、術後1週間は「予備日」として空けておくことをおすすめします。腫れのピークである4〜5日目に大事な会議が入っていると、精神的にかなりきつい。予定は腫れの谷を避けて組んでください。
通院のスケジュールは、一般的に術後1〜3日(必要に応じて)、1週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月という流れです。術後1週間の検診では開口の確認と創部のチェック、1ヶ月で腫れの引き具合と左右差の評価、3〜6ヶ月で最終的な輪郭の評価を行います。遠方の方の場合はオンラインでの確認も組み合わせますが、術後早期だけは直接見せていただきたいというのが本音です。
費用についてもよく聞かれます。術式や範囲によって変わるため、参考価格はHPの料金ページでご確認ください。確定金額はカウンセリングでご案内しています。
回復を早めるために科学的に分かっていること
手術後の回復促進(ERAS)に関する近年の系統的レビューでは、顎顔面の骨切り手術においても、術後の疼痛管理や吐き気対策、早期の経口摂取再開といった要素を組み合わせることで、入院期間や合併症が減る方向に働くと報告されています。また、低出力レーザー照射が術後の痛みの軽減に有効だったとする報告もあり、腫れに対しても一部の研究で良好な結果が示されています。
私が臨床で重視しているのは、結局このレビューと同じ結論です。痛みをきちんと抑える、吐き気を出さない、早く食べ始める、早く動かす。特別な機器や強い固定よりも、この基本の積み重ねがダウンタイムの長さを決めると考えています。
骨切りダウンタイムのよくある質問
Q. エラ削りの腫れって何日目が一番ひどいですか?
A. 術後4〜5日目がピークです。手術当日や翌日はむしろ軽く感じる方が多く、2日目以降にむくみが増えていきます。この谷を越えれば毎日改善していき、2週間で約7割、1ヶ月で約9割の腫れが引くのが一般的な経過です。
Q. 術後にフェイスバンドは必要ですか?
A. 当院ではフェイスバンドによる圧迫固定は行いません。圧迫すると血腫の発見が遅れること、気道が狭くなるリスク、開口訓練を優先したいことが理由です。代わりに頭を高くして過ごし、しっかり食事を取り、早期から口を開ける練習をしていただいています。
Q. 顎が長くて面長なのが悩みですが、術後に顔のしびれは残りますか?
A. 術後しばらく唇や顎先にしびれが出ることはありますが、多くは数週間から数ヶ月で回復していきます。骨切りの際に下歯槽神経が牽引されることによる一時的なものが大半です。長引く場合もあるため、カウンセリングで術式ごとのリスクを必ず説明しています。
Q. 3ヶ月後に結婚式があるのですが骨切りは間に合いますか?
A. 腫れは1ヶ月で9割引くため、3ヶ月あればメイクで問題ないレベルの方が大半です。ただし完成形は6ヶ月前後なので、最終的な輪郭を見せたい場合は半年前の手術をおすすめします。写真撮影の予定も含めて逆算してご相談ください。
Q. いつから普通のご飯が食べられますか?
A. 術後2〜4週で通常食に近い食事に戻る方が多いです。最初の2〜3日は流動食、1週間で軟らかい食事へ移行します。せんべいやナッツなど強く噛むものは1〜2ヶ月控えてください。食べないほうが回復は遅れるので、噛めない時期も栄養はしっかり入れましょう。
骨切りダウンタイム経過のまとめ
- 骨切りのダウンタイム経過は、腫れ(軟部組織)と骨癒合という進み方の違う二つの時計で考える
- 腫れのピークは術後4〜5日、2週間で約7割、1ヶ月で約9割が引き、完成は3〜6ヶ月
- 骨の固定は術後6週ほどプレートに依存するため、硬いものや衝撃は1〜2ヶ月避ける
- 仕事復帰は早い方で術後数日、マスク着用でデスクワーク可能な方が多い
- 当院は圧迫固定を行わず、頭を高く保つ・しっかり食べる・開口訓練の三点を重視している
なお、回復のスピードや腫れの程度には個人差があります。自分の骨格と希望する変化に対して、どの術式が適していて、どれくらいのダウンタイムが必要なのか。それは実際に診察し、レントゲンやCTで骨の形を確認しなければお答えできません。予定を組む前に、まず相談にいらしてください。
骨切り相談は東銀座の当院へ
リノクリニック東銀座は、東京都中央区銀座3丁目11-13 松本銀座ビル9階(東銀座駅から徒歩3分)にあります。院長は宮﨑 邦夫(日本外科学会認定 外科専門医、外科経験20年以上)。エラ削り・頬骨形成・顎先の骨切りといった輪郭形成、人中短縮、婦人科形成、保険診療の腋臭症手術などを行っています。
「顔が大きい」「ベース顔が気になる」「横顔のEラインが整わない」といったお悩みは、骨格を診ないと適切な提案ができません。銀座エリアで骨切りをご検討の方は、カウンセリングでご自身の経過イメージを具体的に確認してください。
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参考文献
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- Barbosa LM, de Luna Gomes JM, Laureano Filho JR, et al. Does the use of low-level light therapy postoperatively reduce pain, oedema, and neurosensory disorders following orthognathic surgery? A systematic review. Int J Oral Maxillofac Surg. 2022;51(3):355-365. PubMed / DOI
監修者情報

宮﨑 邦夫
リノクリニック東銀座 院長【資格・所属学会】
日本外科学会専門医 / 日本外科学会会員 / 日本形成外科学会会員 / 日本頭蓋顎顔面外科学会会員 / 日本美容外科学会会員
消化器外科・心臓血管外科・呼吸器外科・小児外科など外科研修ののち、外科専門医を取得。その後、形成外科で6年、美容外科で7年実績を積み、リノクリニック東銀座を開業、院長を務める。美容外科の技術は韓国や台湾、アメリカなどへ出向き、良質な技術を取り入れて日々の診療に生かしている。 2014年から在籍していた湘南美容クリニックでは指導医として若手美容外科医の教育にも尽力し、同院で行われた美容外科コンテストで2年連続ではグランプリを獲得。次の東京美容外科では骨切りメニューの立ち上げを行い、スタッフ教育にも尽力した。
監修日:2026.10.20



