院長コラム
骨切りのダウンタイムと仕事復帰|職種別の休業期間を外科専門医が解説
エラが張っている、顔の輪郭が気になる——そうして骨切り手術を検討し始めるとき、多くの方が最初に悩むのが「ダウンタイム中、いつから仕事に復帰できるのか」という問題です。
リノクリニック東銀座院長の宮﨑邦夫です。20年以上外科の現場で組織の治り方と向き合ってきた経験から、まずは現実的な目安をお伝えします。デスクワークであれば術後5〜7日(マスク着用なら3〜4日)、人前に立つお仕事や力仕事であれば2〜3週間を見ておくと安心です。
腫れのピークは術後3〜4日で、2週間で約7割、1ヶ月で約9割が引いていきます。本記事では、当院で実際に多くの患者さんの経過を診てきた立場から、職種別の具体的なスケジュールや、ダウンタイムを最小限にするためのコツを詳しく解説します。
この記事でわかること
- 骨切りのダウンタイムが、術後何日目にどう変化するかの具体的な推移
- デスクワーク、営業、接客、講師、医療介護、立ち仕事など職種別の復帰目安
- 食事・会話・通勤がいつから元に戻るか、職務動作に当てはめた判断基準
- 休業日数を最小限にするための、手術日の決め方と術後の過ごし方
目次
骨切りのダウンタイムの流れ
骨切りのダウンタイムとは、手術で生じた腫れ・内出血・口の開けにくさが落ち着き、見た目と機能が日常生活レベルに戻るまでの期間のことです。目安としては、社会復帰ラインが術後1〜2週間、見た目がほぼ気にならなくなるのが1ヶ月、骨と軟部組織が完全に落ち着いて最終的な輪郭になるのが3〜6ヶ月。この三段階で考えてください。
改めまして、リノクリニック東銀座の院長、宮﨑 邦夫(日本外科学会認定 外科専門医)です。外科医として20年以上、組織の治り方を見てきました。その経験から言うと、骨切りの回復は「腫れ」と「硬さ」を分けて考えたほうが正確です。
腫れの推移はこうです。術後1日目から膨らみ始め、ピークは術後3〜4日。鏡を見て一番ショックを受けるのがこのタイミングでしょう。そこから下り坂に入り、2週間で約7割、1ヶ月で約9割が引きます。残りの1割はじわじわと、半年かけて落ち着いていく。内出血は下顎や首筋に黄色〜紫色で出ることがありますが、多くは10日前後で目立たなくなります。
一方の「硬さ」。これは腫れが引いた後も残ります。頬やフェイスラインを触るとゴツゴツ、ムニムニした感触があり、笑いにくい、口が開きにくいという感覚が1〜2ヶ月続く方がいます。見た目は戻っているのに本人だけが違和感を抱えている時期で、ここを知らないと「失敗した?」と不安になってしまう。だから私はカウンセリングの段階で必ずこの話をします。
エラ(下顎角)の骨切りといっても、骨の削り方やアプローチ方法は一人ひとりの骨格に合わせて変える必要があります。切る量や範囲が異なれば、当然ダウンタイムの出方も変わるため、「骨切りだから一律で2週間休み」という単純な話ではありません。
骨切り後の仕事はいつから?

答えを先に言うと、デスクワークは術後5〜7日、早い方は3〜4日で戻っています。実際、当院で手術を受けた方のなかには、金曜に手術をして翌週水曜からリモート勤務に復帰した方もいました。腫れを気にしないのであれば、生活リズムはどんどん元に戻していただいて構いません。
ここは正直に話しますが、仕事復帰の判断を分けるのは「痛み」ではありません。骨切り後の痛みは、鎮痛薬でコントロールできる範囲に収まることがほとんどです。本当のハードルは次の4つ。
ひとつ目は顔貌、つまり見た目。腫れた顔を人に見られる仕事かどうか。ふたつ目は会話。口の中を切っているので唇や頬の動きが鈍り、発音が少しこもります。三つ目は食事。流動食〜軟らかい食事が続くため、外回りで食事時間が不規則だと体力が持ちません。四つ目は疲労。全身麻酔の手術を受けた後は、自覚している以上に疲れやすい。術後1週目はフルで働けたつもりでも、夕方に一気に電池が切れる方が多いんです。
私が復帰の可否を判断するとき見ているのは、この4つを職務動作に当てはめられるかどうかです。「あなたの仕事は1日何時間、誰と、どれくらいの距離で話しますか」「重い物を持ちますか」「ヘルメットやヘッドセットを着けますか」。カウンセリングでここまで聞くのは、同じ手術でも必要な休みが人によって倍近く変わるからです。
通勤についても一言。満員電車は、術後1週間は避けたいところ。痛み以上に、他人の肩や荷物が顔に当たるリスクが怖い。東銀座や銀座のオフィスに通われる方には、復帰後数日はピークを外した時差出勤をおすすめしています。
職種別|骨切り後の仕事復帰目安
職種ごとの目安を、現実的な数字で挙げます。いずれも「術後◯日目から通常業務」の目安であり、仕事内容や腫れ方によって前後します。
STEP 1|デスクワーク・IT・事務(目安5〜7日)
パソコン作業は顔を使いません。マスクを着けていれば、腫れはかなりカバーできます。リモート可の職場なら術後3〜4日から。ただし長時間の下向き姿勢は腫れを強めるので、1時間に1回は姿勢を変えてください。
STEP 2|営業・接客・販売(目安10〜14日)
人と至近距離で向き合う仕事は、腫れが7割引ける2週間を目標に。マスク着用が自然な環境なら1週間での復帰も可能ですが、名刺交換の角度で横顔を見られることを気にされる方は、無理をしないほうが精神衛生上いいでしょう。
STEP 3|教師・講師・コールセンターなど声を使う職種(目安2週間)
ここは特に注意が必要です。長時間しゃべり続けると口周りの筋肉が疲れ、腫れが引きにくくなります。発音のこもりは多くの方で10日〜2週間で気にならなくなりますが、滑舌が商売道具の仕事であれば3週間みておくと余裕があります。
STEP 4|看護師・介護職・保育士・物流など力仕事(目安2〜3週間)
体位変換、抱っこ、荷物の上げ下ろし。腹圧がかかる動作は顔の血流を一気に増やし、腫れや出血のリスクになります。軽作業から段階的に、が原則。夜勤復帰は3週間以降をおすすめしています。
STEP 5|美容師・アパレル・モデルなど見られる仕事(目安3〜4週間)
顔そのものが名刺の仕事です。9割の腫れが引く1ヶ月を目安にするのが現実的でしょう。撮影や大きなイベントがある方は、そこから逆算して手術日を決めてください。
STEP 6|飲食・調理(目安2週間)
熱と湯気の環境は、腫れている時期にはつらい。加えてご自身の食事制限が続くので、体力面でも余裕をもって。
骨切りの食事とダウンタイム管理
食事の推移から先にお伝えします。術後1〜3日は流動食、4〜7日は軟らかい食事、2週目以降は刻んだ普通食、3〜4週で通常の食事に近づく。硬いもの・大きく口を開ける食べ方は、1ヶ月以降が安心です。
具体的に挙げると、最初の数日はゼリー飲料、ポタージュ、プロテイン、ヨーグルト。4日目以降はおかゆ、豆腐、茶碗蒸し、よく煮た野菜、ひき肉。2週目からはうどんや軟らかく炊いた魚。この時期に多いのが「食べられないから痩せる」という現象です。体重が落ちると顔は小さく見えますが、傷の治りには逆効果。私は毎回「とにかく、しっかりカロリーとたんぱく質を入れてください」とお伝えしています。
ここで当院の方針をはっきり書いておきます。一般的にはフェイスバンドで圧迫するクリニックもありますが、リノクリニック東銀座では骨切り・輪郭形成・両顎手術の後に、フェイスバンドや包帯による圧迫固定を行いません。理由は3つ。圧迫すると血腫ができたときに発見が遅れること、気道が狭くなるリスクがあること、そして早い時期からの開口訓練を優先したいからです。
では代わりに何をするか。第一に、頭を高くして過ごすこと。就寝時も枕を高めにして、心臓より頭を上に保つだけで腫れの引き方が明らかに違います。第二に、しっかり食べること。第三に、医師の指示に沿って開口訓練を始めること。口を開ける動作を早くから繰り返したほうが、拘縮(こうしゅく)を防いで社会復帰が早まる。私はこの3つのほうが、バンドで締め付けるよりずっと理にかなっていると考えています。
もうひとつ、意外に見落とされがちなのが術後の吐き気です。顎の骨の手術後には吐き気や嘔吐が起きやすいことが海外の系統的レビューでも報告されており、ステロイドや制吐薬の適切な使用が有用とされています。当院でも麻酔科と連携してこの点に配慮しています。吐き気で食べられない時間が長引くと、結果としてダウンタイムが延びてしまいますから。
骨切りのダウンタイムを短くする工夫
ダウンタイムを短くする最大のコツは、術後のケアより「手術日の決め方」にあります。ここを外すと、どれだけ安静にしても仕事に支障が出ます。
まず、連休の初日に手術を入れること。木曜か金曜に手術をして土日をまたげば、腫れのピーク(術後3〜4日)を休日に収めやすくなります。当院に相談に来られる会社員の方には、年末年始やお盆、有給と組み合わせたスケジュールを一緒に組み立てています。
次に、大きな予定から逆算すること。結婚式、プレゼン、撮影、海外出張。こうしたイベントがあるなら、その3ヶ月前には手術を終えておきたい。「1ヶ月前でいけますか」と聞かれることもありますが、私は正直に「写真に残るイベントなら、もう少し余裕を持ったほうが後悔しません」とお答えしています。
術後にできることも挙げておきます。頭を高く保つ、最初の48時間は冷やし、4日目以降は温めて血流を促す、水分をしっかり摂る、禁煙する。喫煙は組織の血流を落とすので、傷の治りと腫れの引きに直結します。最低でも術前2週間から術後2週間は止めてください。アルコールと激しい運動は、腫れが落ち着く2〜3週間まで控えるのが無難です。
逆に、やりすぎないほうがいいこともあります。顔を強くマッサージすること。「早く腫れを散らしたい」という気持ちはよくわかりますが、固定した骨に外力をかけるのは得策ではありません。
オトガイ(顎先)の形成を同時に行う場合、ダウンタイムの出方がまた少し変わります。顎先は皮膚が薄く、腫れが目立ちやすい一方で、引くのは比較的早い印象です。面長が気になる方、Eラインが整わないとお悩みの方は、エラだけでなく顎先まで含めた設計が必要になることもあります。どの部位をどう組み合わせるかで休業日数が変わるので、相談のときは遠慮なく仕事の内容まで話してください。

骨切りと仕事のよくある質問
Q. 骨切りの後、会社は何日くらい休めばいいですか?
A. デスクワークなら5〜7日が目安です。マスクが着けられる職場で、リモート勤務も併用できるなら術後3〜4日から戻っている方もいます。ただし術後1週目は想像以上に疲れやすいので、初日からフル稼働ではなく半日勤務から戻すのが現実的でしょう。
Q. 術後にフェイスバンドは必要ですか?
A. 当院ではフェイスバンドによる圧迫固定は行いません。血腫の早期発見と気道の安全、そして早期からの開口訓練を優先するためです。代わりに、頭を高くして過ごすこと、しっかり食事を取ること、指示どおり開口訓練を続けることをおすすめしています。
Q. 腫れているのを周りに気づかれませんか?
A. マスクと髪型で、かなりカバーできます。口の中から切開するため顔の表面に傷は出ませんし、2週間で約7割の腫れが引きます。それでも1週目は輪郭の変化が出るので、気になる方は休暇を1週間確保しておくと心理的に楽です。
Q. 接客で一日中しゃべる仕事です。話しづらさはいつまで続きますか?
A. 発音のこもりは10日〜2週間で気にならなくなる方が多いです。口周りの筋肉が疲れやすいため、復帰直後は長時間の連続した会話を避け、休憩を挟んでください。滑舌が商売道具の職種なら、3週間の余裕を見ておくと安心できます。
Q. 有給が5日しかありません。それでも骨切りはできますか?
A. 可能です。木曜手術で金曜・土日・月火を休みに充てれば、腫れのピークを在宅で越えられます。復帰後1〜2週間はマスク着用と軽めの業務調整を前提に。詳しい日程は、お仕事の内容を伺ったうえで一緒に組み立てます。
骨切りダウンタイムと仕事のまとめ
- 腫れのピークは術後3〜4日。2週間で約7割、1ヶ月で約9割が引く
- デスクワークは5〜7日、営業・接客は10〜14日、力仕事や人前に立つ職種は2〜4週間が復帰の目安
- 食事は流動食→軟らかい食事→刻み食と進み、3〜4週で通常食に近づく
- 当院ではフェイスバンドによる圧迫固定を行わず、頭を高くする・しっかり食べる・開口訓練の3つを重視している
- 手術日は連休の初日に設定し、大きな予定の3ヶ月前までに済ませておくと安心
顔が大きい、エラが張っている、横顔のバランスが気になる。そうした悩みは、仕事を長く休めないという理由だけで諦めるものではないと思っています。経過には個人差がありますので、ご自身の職種と生活に合わせたスケジュールは診察時にご提案します。料金についても、目安をお示ししたうえで確定金額はカウンセリングでご案内しています。
骨切りのご相談は当院へ
リノクリニック東銀座では、骨切り・輪郭形成、両顎手術、人中短縮などの顔面骨格に関わる手術を行っています。院長は宮﨑 邦夫(日本外科学会認定 外科専門医、外科経験20年以上)。所在地は東京都中央区銀座3丁目11-13 松本銀座ビル9階(東銀座駅から徒歩3分)です。日本形成外科学会や日本美容外科学会で共有される知見と、外科医としての解剖の知識を踏まえ、お仕事や生活の予定を伺ったうえで手術日程と術後の過ごし方までご提案します。東京・銀座エリアで骨切りをご検討中の方は、どうぞご相談ください。初診のご予約はこちら(WEB予約24時間受付)。
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参考文献
- Xie Z, Bai X, Guo Z, et al. Mandibular angle osteotomy in Asian patients: A narrative review on techniques, emerging technologies, and personalized surgical strategies. JPRAS Open. 2026;51:230-247. PubMed / DOI
- Grillo R, Borba AM, Brozoski MA, et al. Postoperative nausea and vomiting in orthognathic surgery: systematic review and meta-analysis. Oral Maxillofac Surg. 2024;28(3):1019-1028. PubMed / DOI
- Han MD, Kwon TG. Zygoma and Mandibular Angle Reduction: Contouring Surgery to Correct the Square Face in Asians. Oral Maxillofac Surg Clin North Am. 2023;35(1):83-96. PubMed / DOI
- Ramanathan M, Panneerselvam E, Parameswaran A, et al. Genioplasty in Contemporary Orthognathic Surgery. Oral Maxillofac Surg Clin North Am. 2023;35(1):97-114. PubMed / DOI
監修者情報

宮﨑 邦夫
リノクリニック東銀座 院長【資格・所属学会】
日本外科学会専門医 / 日本外科学会会員 / 日本形成外科学会会員 / 日本頭蓋顎顔面外科学会会員 / 日本美容外科学会会員
消化器外科・心臓血管外科・呼吸器外科・小児外科など外科研修ののち、外科専門医を取得。その後、形成外科で6年、美容外科で7年実績を積み、リノクリニック東銀座を開業、院長を務める。美容外科の技術は韓国や台湾、アメリカなどへ出向き、良質な技術を取り入れて日々の診療に生かしている。 2014年から在籍していた湘南美容クリニックでは指導医として若手美容外科医の教育にも尽力し、同院で行われた美容外科コンテストで2年連続ではグランプリを獲得。次の東京美容外科では骨切りメニューの立ち上げを行い、スタッフ教育にも尽力した。
監修日:2026.11.02



