院長コラム

50代の切開フェイスリフト|ダウンタイムの経過を外科専門医が解説

鏡を見るたびに、ほうれい線が深くなった、フェイスラインがぼやけてきた、口角の横に影(マリオネットライン)ができた。そんな変化が気になって「フェイスリフトの切開手術ってダウンタイムはどれくらい?」「50代の自分が受けたら経過はどうなるの?」と検索された方が多いのではないでしょうか。私は東銀座でたるみ治療の手術を行っている外科医ですが、カウンセリングで一番多い質問は効果よりもダウンタイムです。仕事はいつから?腫れはいつ引く?人に会えるのはいつ?この記事では、私が実際の診療で見てきた経過を、日数ごとに包み隠さずお話しします。読み終わる頃には、手術の予定をカレンダーのどこに入れるべきかが見えてくるはずです。

この記事でわかること
・切開フェイスリフトのダウンタイムが、術後1日目から3ヶ月までどう変化するか
・50代の肌・皮下組織の特徴と、糸リフトでは足りなくなる分かれ目
・腫れや内出血を早く引かせるために、私が患者さんに必ずお伝えしていること
・仕事復帰や人前に出られるまでの現実的な日数、費用の目安

50代で切開リフトを選ぶ理由

40代までは、たるみの正体の多くが「皮膚のゆるみ+脂肪の下垂」です。ところが50代に入ると、その下にあるSMAS(スマス)という筋膜の層そのものが緩んできます。SMASは表情筋を包み、頬の脂肪を吊り上げているハンモックのような組織です。ここが伸びてしまうと、皮膚だけを引っ張っても数ヶ月で元に戻る。これが「糸リフトを何度もやったけれど、もう効きにくい」と感じる理由です。

正直に言うと、私は50代の方に糸リフトをお勧めしないわけではありません。ただ、カウンセリングで頬骨の下あたりを指で持ち上げてみて、「その位置で初めて満足できる」とおっしゃる方は、もう糸では届かない段階にいることが多い。私が判断で重視しているのは四点です。頬の脂肪が下がってきた距離、フェイスラインの皮膚の余り具合、首との境目のはっきり具合、そして頬骨まわりのボリューム減少。このうち二つ以上が当てはまれば、切開によるフェイスリフトのほうが結果的に満足度もコストパフォーマンスも高くなると考えています。

海外の系統的レビューでも、SMASを処理する従来法とディーププレーン法を比較した研究で、いずれも高い患者満足度が報告されています。一方で、糸によるリフトは内出血や凹み、糸の露出といった合併症が一定の割合で起こることも報告されており、繰り返し行うほどリスクは積み重なります。つまり「手軽そうだから糸」ではなく、「たるみの深さに手術の深さを合わせる」という発想が要る。私はここを外すと、ダウンタイムをかけた意味がなくなると思っています。

施術の種類や範囲ごとの違いは、こちらもあわせてご覧ください。 施術一覧を見る

切開リフト後のダウンタイム経過

術後の腫れが引いていく経過をイメージした50代女性の横顔のクローズアップ|リノクリニック東銀座

ここからが本題です。切開フェイスリフトのダウンタイムの経過を、実際の診療でよく見る流れに沿って時系列でお伝えします。

STEP 1|術当日〜3日目

顔全体が重く、こわばった感じがします。痛みは「ズキズキ」というより「張っている」という表現をされる方が多い。処方する鎮痛薬でコントロールできる範囲がほとんどです。この時期は耳の前後の傷まわりがいちばん張ります。

STEP 2|4〜5日目(腫れのピーク)

意外に思われるかもしれませんが、腫れは術直後ではなく術後4〜5日目がピークです。「昨日より腫れた気がする」と不安になって連絡をくださる方がいますが、これは経過として想定内。ここを越えれば、あとは下り坂です。

STEP 3|1週間前後(抜糸)

耳周りの抜糸を行います。このタイミングで頬の内出血が黄色っぽく変化してくる方が多い。顔の突っ張り感はまだ残りますが、鏡を見て「輪郭が変わった」と実感し始めるのもこの頃です。

STEP 4|2週間(腫れの約7割が引く)

2週間でおよそ7割の腫れが引きます。この段階でメイクができるようになる方がほとんどで、髪型を工夫すれば耳前の傷もほぼ気づかれません。

STEP 5|1ヶ月(9割)

1ヶ月で9割。写真に写っても違和感がないレベルです。ただし耳の周りの感覚の鈍さやツッパリ感は残ることがあり、これは3ヶ月ほどかけて落ち着いていきます。

STEP 6|3〜6ヶ月

傷跡が赤みから白っぽく成熟していく時期。仕上がりの最終評価はここです。私は術後3ヶ月と6ヶ月の写真を必ず並べてお見せしますが、「1ヶ月の時点で完成だと思っていた」と驚かれることがよくあります。

腫れと内出血の経過と対策

内出血は、頬から顎の下、人によっては首元まで広がります。色の変化は紫→緑→黄色。これは血液中のヘモグロビンが分解されていく生理的な過程で、消えていく途中でいったん範囲が広がったように見えることもあります。多くは2週間以内に落ち着きます。

内出血を減らす工夫は、手術中からすでに始まっています。多施設で行われた左右比較試験では、フェイスリフトの局所麻酔液にトラネキサム酸を加えた側で、術後1週間時点の皮下出血の面積が小さかったと報告されています。止血を丁寧に行い、剥離の層を正確に選ぶこと。地味ですが、この二つがダウンタイムの長さを最も左右すると私は実感しています。手術時間の長さそのものも回復に影響するという報告があり、必要以上に時間をかけないことも術者の責任だと考えています。

患者さん側でできることもあります。まず、頭を高くして過ごすこと。就寝時も枕を二つ重ねるくらいでちょうどいい。これは重力を味方につけて、顔のむくみを心臓側に戻すためです。次に、術後1週間は飲酒と長風呂、激しい運動を避けること。血流が上がると腫れも内出血も強くなります。そして、意外と見落とされがちなのが「しっかりご飯を食べること」。傷が治るにはタンパク質が要ります。食欲が落ちてスープだけで過ごしていた方の回復が遅れた経験が、私には何度もあります。

50代の方に特にお伝えしたいのは、術前の血圧管理です。降圧薬を飲んでいる方は自己判断で中断しない。術後の血圧上昇は血腫(血のかたまり)の最大のリスク因子です。「そんなことまで聞かれるんですね」と言われますが、ここを詰めるかどうかで術後1週間の景色が変わります。

50代のダウンタイム中の過ごし方

東銀座のクリニックのカウンセリングルームで術後経過の説明を聞く50代女性|リノクリニック東銀座

まず、当院の方針をはっきりお伝えします。一般的にはフェイスバンドや包帯で顔を圧迫するクリニックもありますが、当院では圧迫固定を行いません。理由は三つ。圧迫すると万一血腫ができたときに発見が遅れること、気道の安全性が下がること、そして早い段階から口を動かすリハビリを優先したいからです。顔を締め付けて腫れを押さえ込むより、異変にすぐ気づける状態にしておくほうが安全だというのが私の考えです。

では代わりに何をするか。

ひとつ、頭を高くして過ごすこと。日中もソファで寝そべらず、上体を起こしておく。これだけで朝のむくみ方が違います。

ふたつ、しっかり食べること。噛みにくければ、柔らかくて栄養のあるものを選んでください。回復期に食事量が落ちると、傷の治りも腫れの引きも遅くなります。

みっつ、早期から口を動かすこと。大きく口を開ける、「あいうえお」とゆっくり発音する。こわばりが強い時期こそ、動かすほうが戻りが早い。術後2〜3日目から少しずつで構いません。

生活リズムについては、腫れを気にしないのであればどんどん元に戻していただいて構いません。散歩は術後数日から可能ですし、家事も無理のない範囲で。じっと寝ているほうが、かえって回復が鈍る印象すらあります。禁煙だけは徹底してください。喫煙は皮膚の血流を落とし、傷の治りを明らかに遅らせます。術前2週間、術後2週間はどうしてもお願いしたいところです。

仕事復帰とダウンタイムの目安

「何日休めばいいですか」。これはカウンセリングで必ず聞かれます。私の答えは「最低1週間、理想は2週間」。ただし、早い方は術後数日でデスクワークに戻っています。マスクをして髪をおろしていれば、耳前の傷も頬の腫れもかなりカバーできるからです。

目安としてはこう考えてください。

術後3〜5日:在宅勤務なら可能。人前に出るのは避けたい時期。
術後7〜10日:抜糸後。マスク着用でオフィス勤務に戻る方が多い。
術後2週間:メイクでほぼカバー可能。会食や外出も現実的。
術後1ヶ月:大きなイベントや人前でのスピーチにも耐えられるレベル。

50代の方は、お子さんの行事、親族の集まり、職場の節目など予定が重なりやすい年代です。だからこそ、私は逆算をおすすめしています。「3ヶ月後に結婚式に出る」なら、今から手術を入れれば余裕を持って間に合う。「2週間後」は正直に厳しいと申し上げます。ここで無理をして日程を詰めると、経過の途中で焦りが生まれ、それが一番つらい。

なお、当院は東銀座にあり、銀座・築地エリアにお勤めの方が仕事帰りに検診にいらっしゃるケースが多いです。中央区周辺で通院しやすい立地は、ダウンタイム中の細かい相談がしやすいという意味で意外と大きなメリットになります。

切開リフトの費用とリスク

費用は範囲によって変わります。頬から顎のラインを中心とするフェイスリフトで、参考価格としておおよそ100万円台が一つの目安。首まで含める範囲や、下顎の輪郭を同時に整える場合はこれに加算されます。麻酔料、術後の内服、検診費用が含まれるかどうかはクリニックによって異なるため、総額で比較してください。確定金額はカウンセリングでご案内しています。

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リスクについても正直にお話しします。血腫、感染、傷跡の肥厚、一時的な感覚鈍麻、耳たぶの形の変化、そして稀ですが顔面神経の枝への影響。特に頬骨の下から顎にかけては、顔面神経の側頭枝や下顎縁枝が走っており、ここの解剖を理解していない操作は取り返しがつきません。首元の輪郭に関する系統的レビューでも、下顎縁枝の障害が合併症として最も多く報告されています。だからこそ、どの層を、どこまで剥離するかの判断がすべてだと私は思っています。

もうひとつ。「引っ張れば引っ張るほどいい」わけではありません。強く引き過ぎた顔は、正面から見て不自然になります。私が目指しているのは、10年前の自分に戻ったように見えて、誰にも手術したと気づかれないライン。カウンセリングで「どのくらい変えたいですか」と聞かれて戸惑う方には、昔の写真を持ってきてくださいとお伝えしています。ゴールが共有できていない手術ほど、ダウンタイムが長く感じられるものはありませんから。

よくある質問

Q. 50代でほうれい線が深く、糸リフトを2回やりましたがもう効きません。切開に切り替えるべきでしょうか?

A. 糸の効果が短くなってきたということは、皮膚ではなくSMASという筋膜層が緩んでいるサインかもしれません。頬を指で持ち上げて満足できる位置が高いほど、切開リフトの適応に近づきます。まずは実際に触れて診させてください。

Q. 切開リフトの傷跡は目立ちますか?髪をアップにできなくなるのが不安です。

A. 切開線は耳の前の自然なシワと耳の裏、もみあげの生え際に沿わせます。術後3ヶ月ほどは赤みが残りますが、半年かけて白く成熟し、髪をまとめても目立ちにくくなる方が多いです。ただし体質による傷の治り方の差はあります。

Q. フェイスラインがぼやけて二重顎も気になります。首まで同時に手術できますか?

A. 可能です。むしろ顔だけを引き上げて首を放置すると、境目が不自然になることがあります。顎下の脂肪や筋肉、唾液腺の状態まで診た上で範囲を決めます。同時に行ってもダウンタイムが大幅に延びることは通常ありません。

まとめ|50代のダウンタイム計画

要点を整理します。

  • 切開フェイスリフトの腫れのピークは術後4〜5日。2週間で約7割、1ヶ月で約9割が引いていきます。
  • 抜糸は1週間前後。マスク着用でのデスクワーク復帰は術後数日から可能な方もいます。
  • 当院ではフェイスバンドによる圧迫固定は行わず、頭を高く保つこと・しっかり食事を摂ること・早期から口を動かすことを重視しています。
  • 50代は筋膜(SMAS)の緩みが主体になるため、糸では戻りやすい段階に入っている方が少なくありません。
  • 費用の目安は範囲によって変動します。総額での確認をおすすめします。

なお、経過や仕上がりには個人差があります。ご自身のたるみがどの段階にあるのか、どこまで手術が必要なのかは、実際に診察してみないと判断できません。迷っている時間がもったいないと感じたら、一度ご相談ください。

当院のご案内

リノクリニック東銀座では、外科専門医である私が、フェイスリフトをはじめとする切開を伴うたるみ治療、輪郭形成、婦人科形成などを担当しています。東銀座駅からすぐ、中央区の通院しやすい立地で、術後の検診まで一貫して同じ医師が対応します。カウンセリングでは無理に手術をお勧めすることはありません。初診のご予約はこちら(WEB予約24時間受付)。

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参考文献

  1. Pandkhahi A, Zare N, Karimi AM, et al. Comparison of Deep SMAS Lift and MACS in Facelift: A Meta-Analysis. Medicina (Kaunas). 2026;62(1). PubMed / DOI
  2. Shauly O, Dhawan R, Gould DJ. Submandibular Gland Reduction in the Modern Necklift Surgery: A Systematic Literature Review. Aesthet Surg J. 2026;46:384-391. PubMed / DOI
  3. Yi KH, Park SY. Facial Thread Lifting Complications. J Cosmet Dermatol. 2025;24(1):e16745. PubMed / DOI
  4. Klimczak JA, Abraham M, Hu S, et al. Tranexamic Acid in Rhytidectomy: A Split-Face Multi-Institutional Study. Facial Plast Surg Aesthet Med. 2025;27(4):298-304. PubMed / DOI
  5. Khoury S, Almubarak Z, Khan H, et al. The Deep Plane versus SMAS Facelift: A Systematic Review and Meta-Analysis. Aesthetic Plast Surg. 2025;49(21):5895-5903. PubMed / DOI
監修者情報

宮﨑 邦夫

リノクリニック東銀座 院長

【資格・所属学会】
日本外科学会専門医 / 日本外科学会会員 / 日本形成外科学会会員 / 日本頭蓋顎顔面外科学会会員 / 日本美容外科学会会員

消化器外科・心臓血管外科・呼吸器外科・小児外科など外科研修ののち、外科専門医を取得。その後、形成外科で6年、美容外科で7年実績を積み、リノクリニック東銀座を開業、院長を務める。美容外科の技術は韓国や台湾、アメリカなどへ出向き、良質な技術を取り入れて日々の診療に生かしている。 2014年から在籍していた湘南美容クリニックでは指導医として若手美容外科医の教育にも尽力し、同院で行われた美容外科コンテストで2年連続ではグランプリを獲得。次の東京美容外科では骨切りメニューの立ち上げを行い、スタッフ教育にも尽力した。

監修日:2026.09.18

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