院長コラム

ミラドライのメリット・デメリット|切らないワキガ治療を解説

「ワキガを治したいけど、切る手術は怖い」
「ミラドライという治療を聞いたけど、実際どうなの?」
「切らない治療と切る治療、どちらが自分に合っている?」

ミラドライは、メスを使わずにマイクロ波でわきの汗腺に作用する医療機器です。「切らない」という大きなメリットがある一方で、切開法と比べた際の違いや注意点もあります。

この記事では、ミラドライの仕組み・メリット・デメリット・切開法との違いを詳しく解説します。

なお、リノクリニック東銀座では現在ミラドライを導入していません。記事後半では、当院がミラドライを導入していない理由についても解説します。

この記事でわかること

  • ミラドライの仕組みと治療の流れ
  • ミラドライのメリットとデメリット
  • 切開法(皮弁法)との違い
  • ミラドライが向いている方
  • 当院がミラドライを導入していない理由

ミラドライの仕組みと特徴

ミラドライは、マイクロ波(電磁波)を皮膚の上から照射し、熱エネルギーによってわきの汗腺に作用する治療です。

皮膚を切開せずに治療できることが特徴で、主に原発性腋窩多汗症の治療に用いられています。発汗の減少に伴い、わきの臭いが軽減する場合もあります。

ワキガ特有の臭いには、主にアポクリン汗腺からの分泌物が関係しています。

ミラドライでは、アポクリン汗腺だけでなく、発汗に関係するエクリン汗腺にも熱エネルギーが加わるため、臭いとわき汗の両方に対する改善が期待されます。

一般的な治療の流れ

STEP 1|カウンセリング・診察

現在の症状、臭いの程度、汗の量、皮膚の状態などを確認し、ミラドライの適応があるかを判断します。

ワキガと多汗症は同じものではないため、まず症状を診断したうえで治療方法を検討することが重要です。

STEP 2|治療当日

  1. わきの下にマーキングを行う
  2. 局所麻酔を行う
  3. ミラドライのハンドピースをわきに当て、マイクロ波を照射する
  4. 照射後、必要に応じて冷却する

治療時間は医療機関や照射範囲などによって異なりますが、両わきで60〜90分程度が目安とされています。

STEP 3|治療後

ミラドライは皮膚を切開しませんが、ダウンタイムがまったくないわけではありません。

治療後には、腫れ、痛み、内出血、しびれ、感覚の変化などが生じることがあります。

症状や回復までの期間には個人差があるため、治療を受けた医療機関の指示に従って過ごす必要があります。

ミラドライのメリットとは

1.皮膚を切開しない

皮膚を切開せずに治療できることは、ミラドライの大きな特徴です。

「手術の傷跡をできるだけ残したくない」「切開手術には抵抗がある」という方にとって選択肢の一つになります。

2.切開手術と比較してダウンタイムを抑えやすい

皮弁法などの切開手術と比較すると、一般的に日常生活への影響を抑えやすい治療です。

ただし、治療後には腫れや痛み、しびれなどが生じることがあるため、「ダウンタイムがない治療」ではありません。

3.1回の治療で改善する場合がある

1回の治療で汗や臭いの改善を実感する方もいます。

一方で、1回の治療で十分な改善が得られない場合には、2回目の治療が検討されることがあります。

4.臭いと汗の両方に作用する

ミラドライは、アポクリン汗腺だけではなく、発汗に関係するエクリン汗腺にも作用します。

そのため、ワキガの臭いだけでなく、わき汗にも悩んでいる方に検討される治療です。

ミラドライのデメリット・注意点

1.効果の程度に個人差がある

ミラドライを受ければ、すべての方の臭いや発汗が完全になくなるわけではありません。

治療後の改善度には個人差があり、「臭いがかなり減った」と感じる方がいる一方で、希望する程度まで改善しない場合もあります。

2.追加治療が必要になる場合がある

ミラドライは必ず2回必要な治療ではありません。

1回で十分な改善が得られる場合もありますが、治療後の状態によっては2回目の照射が検討されることがあります。

追加治療を行う場合には、その分の費用も必要になります。

3.保険適用外の自由診療

ミラドライは自由診療のため、健康保険は適用されません。

料金は医療機関によって異なるため、治療を検討する場合には、1回あたりの料金だけではなく、追加治療が必要になった場合の費用も確認しておくことが重要です。

一方、腋臭症と診断され、一定の条件を満たす場合には、皮弁法などの手術が健康保険の対象となることがあります。

4.治療後に組織の変化が起こる

マイクロ波治療後の組織を病理学的に調べた研究では、汗腺の破壊に加えて、治療部位に線維化などの組織変化が起こることが報告されています。

ミラドライを受けたあとに臭いが残り、改めて皮弁法などの手術を希望する場合には、治療前とまったく同じ組織の状態ではない可能性があります。

ただし、ミラドライ後の線維化によって、その後の手術難易度がどの程度上昇するかについては、現時点で十分な比較研究があるとはいえません。

ミラドライと切開法の比較

治療の選択にあたり、両者の違いを整理します。

ミラドライ

・切開:なし

・麻酔:局所麻酔

・治療時間:約60〜90分が目安

・ダウンタイム:切開手術と比較すると短い傾向

・治療方法:マイクロ波による熱エネルギーを汗腺に加える

・追加治療:十分な改善が得られない場合には検討されることがある

・費用:自由診療

・保険適用:なし

皮弁法(切開法)

・切開:あり

・麻酔:局所麻酔など

・治療時間:約1〜2時間が目安

・ダウンタイム:ミラドライと比較すると長い

・治療方法:皮膚を切開し、医師がアポクリン汗腺を確認しながら処理する

・費用:保険適用となる場合と自由診療の場合がある

・保険適用:腋臭症と診断され、一定の条件を満たす場合に可能

ミラドライには「皮膚を切開しない」というメリットがあり、皮弁法には「原因となるアポクリン汗腺を直接確認しながら処理できる」という特徴があります。

どちらが適しているかは、症状や希望する治療効果、傷跡、ダウンタイム、費用などによって異なります。

保険適用の皮弁法について詳しくは、こちらをご覧ください。

リノクリニック東銀座の保険診療について

ミラドライが向いている方

ミラドライを検討しやすいのは、次のような方です。

・皮膚を切開したくない

・傷跡をできるだけ避けたい

・切開手術と比較してダウンタイムを短くしたい

・手術に抵抗がある

一方、皮弁法を検討したいのは次のような方です。

・ワキガの臭いをしっかり治療したい

・原因となるアポクリン汗腺を直接確認して処理する治療を希望している

・保険適用での治療を検討したい

・追加治療の可能性まで含めて治療方法を考えたい

どちらが自分に合っているかは、「切る・切らない」だけで決めるのではなく、症状の程度やライフスタイル、費用、希望する改善度などを含めて医師と相談することをおすすめします。

リノクリニック東銀座がミラドライを導入していない理由

リノクリニック東銀座では現在、ミラドライを導入していません。

これは、ミラドライという治療そのものを否定しているからではありません。

当院ではワキガ治療において、「切らないこと」だけではなく、臭いの原因となるアポクリン汗腺に対してどのようにアプローチするかを重視しているためです。

アポクリン汗腺を直接確認して処理することを重視している

ワキガ特有の臭いには、アポクリン汗腺からの分泌物が関係しています。

ミラドライは皮膚の上からマイクロ波を照射し、熱によって汗腺に作用する治療です。

一方、皮弁法では皮膚を切開し、医師が皮膚の裏側を確認しながらアポクリン汗腺を処理します。

切開を伴うため傷跡やダウンタイムというデメリットはありますが、当院ではワキガの原因となるアポクリン汗腺を直接確認しながら処理する方法を重視しています。

追加治療による費用負担まで考えている

ミラドライは自由診療です。

1回で十分な改善が得られる方もいますが、希望する改善が得られない場合には2回目の治療が検討されることがあります。

その場合には追加の治療費も必要になります。

一方、腋臭症と診断され、一定の条件を満たす場合には、皮弁法が健康保険の対象となることがあります。

当院では、1回の治療費だけではなく、追加治療の可能性や最終的な費用負担まで含めて治療方法を考えることが重要だと考えています。

ミラドライ後に手術が必要になる可能性まで考えている

ミラドライによるマイクロ波治療後には、汗腺の破壊に加えて、治療部位に線維化などの組織変化が起こることが報告されています。

そのため、ミラドライを受けたあとに臭いが残り、「やはり手術を受けたい」となった場合には、初めて手術を受ける方と組織の状態が異なる可能性があります。

実際に当院でも、他院でミラドライを受けたものの臭いが残り、手術を希望してカウンセリングに来院された方がいます。その方には治療部位の皮膚に拘縮が認められました。

当院では、こうした実際の診療経験と、マイクロ波治療後に線維化などの組織変化が生じるという報告を踏まえ、その後に手術が必要となる可能性まで考えて最初の治療方法を選ぶことが重要だと考えています。

そのため、「まずミラドライを受けて、効果が不十分なら手術を受ければよい」と一律に考えるのではなく、将来的に手術を選択する可能性まで含めて治療方法を検討することをおすすめしています。

よくある質問

Q. ミラドライは何回受ける必要がありますか?

A. 1回の治療で十分な改善が得られる方もいます。一方、効果に満足できない場合には、2回目の照射が検討されることがあります。必ず2回必要な治療ではありません。

Q. ミラドライの痛みはありますか?

A. 一般的に局所麻酔を使用して治療します。治療後には痛み、腫れ、しびれ、違和感などが生じることがあります。

Q. ミラドライを受けてから皮弁法を受けることはできますか?

A. ミラドライを受けたことだけを理由に、その後の手術ができなくなるわけではありません。ただし、マイクロ波治療後には組織の線維化などが起こることが報告されています。過去にミラドライなどの治療を受けている場合には、診察時に医師へお伝えください。

Q. リノクリニック東銀座でミラドライは受けられますか?

A. いいえ。当院では現在ミラドライを導入していません。ワキガ・腋臭症について診察し、当院で対応可能な治療方法をご案内しています。

Q. ワキガの手術は保険適用になりますか?

A. 腋臭症と診断され、保険診療の要件を満たす場合には、皮弁法などが健康保険の対象となることがあります。実際に保険適用となるかは診察のうえで判断します。

まとめ

  • ミラドライはマイクロ波を利用してわきの汗腺に作用する切開を伴わない治療
  • 傷跡を避けやすく、切開手術と比較するとダウンタイムを抑えやすい
  • 効果には個人差があり、十分な改善が得られない場合には追加治療が検討されることがある
  • ミラドライは自由診療で、皮弁法は一定の条件を満たせば保険適用となる場合がある
  • ミラドライ後には治療部位の線維化などの組織変化が報告されている
  • リノクリニック東銀座では、アポクリン汗腺を直接確認しながら処理する治療を重視しているため、現在ミラドライを導入していない

ミラドライと皮弁法には、それぞれメリットとデメリットがあります。

「切らない治療だから良い」「手術だから良い」と決めるのではなく、臭いの程度、傷跡、ダウンタイム、費用、希望する改善度、追加治療の可能性まで含めて治療方法を検討することが重要です。

リノクリニック東銀座でのワキガ治療

リノクリニック東銀座ではミラドライは導入していません。

当院ではワキガ・腋臭症について診察し、臭いの程度や皮膚の状態、ご希望などを確認したうえで、当院で対応可能な治療方法をご案内しています。

皮弁法では、皮膚を切開し、医師が皮膚の裏側を確認しながら原因となるアポクリン汗腺を処理します。

腋臭症と診断され、一定の条件を満たす場合には、健康保険が適用されることがあります。

「自分がワキガなのかわからない」
「ミラドライと手術で迷っている」
「保険診療の対象になるのか知りたい」

という段階でもご相談いただけます。

参考文献

  1. U.S. Food and Drug Administration. miraDry System MD4000. 510(k) Premarket Notification K180396. 2018.
  2. Chen SQ, Wang TT, Zhou Y, Li W, Man XY. Comparison of Long-Term Effectiveness and Safety of Microwave and Surgery in the Treatment of Axillary Osmidrosis: A Single-Center Retrospective Study. Dermatol Surg. 2022;48(1):126-130.
  3. Hatano T, Fukasawa N, Miyano C, Wiederkehr I, Miyawaki T. Pathological Changes in Axillary Hyperhidrosis and Axillary Osmidrosis Induced by Microwave Treatment: Comparison of Single- and Double-Pass Irradiation. Lasers Surg Med. 2021;53(9):1220-1226.

本記事は、ミラドライおよびワキガ・腋臭症治療に関する一般的な医療情報の提供を目的としています。治療の適応や保険適用の可否については、医師の診察により判断されます。

監修者情報

宮﨑 邦夫

リノクリニック東銀座 院長

【資格・所属学会】
日本外科学会専門医 / 日本外科学会会員 / 日本形成外科学会会員 / 日本頭蓋顎顔面外科学会会員 / 日本美容外科学会会員

消化器外科・心臓血管外科・呼吸器外科・小児外科など外科研修ののち、外科専門医を取得。その後、形成外科で6年、美容外科で7年実績を積み、リノクリニック東銀座を開業、院長を務める。美容外科の技術は韓国や台湾、アメリカなどへ出向き、良質な技術を取り入れて日々の診療に生かしている。 2014年から在籍していた湘南美容クリニックでは指導医として若手美容外科医の教育にも尽力し、同院で行われた美容外科コンテストで2年連続ではグランプリを獲得。次の東京美容外科では骨切りメニューの立ち上げを行い、スタッフ教育にも尽力した。

監修日:2026.04.27

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