院長コラム

骨切りの種類を部位別に比較|頬骨・エラ・オトガイ・上下顎の違い

「顔が大きい」「エラが張って小顔に見えない」「顎が長くて面長」——こうしたお悩みで骨切りの種類を調べ始めると、頬骨縮小、下顎角切除、オトガイ形成、両顎手術と専門用語が並び、結局どれが自分に必要なのか分からなくなる。そんな声を、東銀座の診察室でほぼ毎日聞きます。骨は場所ごとに動かせる方向が決まっています。だから「どの部位の骨をどう動かすと、どの悩みが変わるのか」を一度整理してしまえば、選択肢はぐっとシンプルになります。この記事では、上顔面・中顔面・下顔面という三つの階層に分けて、術式の違いを私の手術経験を交えて解説します。読み終えたときに、自分がカウンセリングで何を相談すべきかがはっきりするはずです。

この記事でわかること

  • 骨切りの種類を上顔面・中顔面・下顔面の三階層で整理する考え方
  • 頬骨縮小、下顎角切除、オトガイ形成、上下顎手術がそれぞれ改善できる輪郭の違い
  • 骨を「幅・長さ・前後」のどの方向に動かすかという設計の視点
  • 術式別の費用の目安と、腫れが引くまでの現実的なスケジュール

骨切りの種類は三階層で考える

骨切りの種類を暗記しようとすると混乱します。私がカウンセリングで必ず紙に書いて説明するのは、顔を横に三本の線で区切るやり方です。眉から上が上顔面、眉から鼻の下までが中顔面、鼻の下から顎先までが下顔面。この三階層のどこに、どんな不満があるのかを先に決めてしまう。

もうひとつ大事なのが「動かす方向」です。骨は幅(横方向)、長さ(縦方向)、前後の三方向にしか動きません。たとえば「顔が大きい」という悩みでも、正面から見た横幅が気になるのか、縦の長さが気になるのかで、選ぶべき術式は全く別物になります。横幅なら頬骨と下顎角、縦の長さならオトガイや上顎、前後なら上下顎やオトガイの前進・後退。ここを取り違えたまま手術をすると、骨は減っているのに「なんだか変わった気がしない」という結果になりかねません。

正直に言うと、患者さんが最初に希望される術式と、私が診察して必要だと考える術式が一致しないことは珍しくありません。「エラを削りたい」と来られた方の骨格を診ると、実はエラの張りは軽度で、顎先が長く前後に引っ込んでいることが輪郭のもたつきの主因、というケースがかなりあります。だから初診では、必ず正面・斜位・側面の三方向と、CT(三次元的に骨の厚みと下顎の神経の走行を確認できます)を見ながら話を進めます。

東アジアの患者さんに多い四角い顔(ベース顔)に対する輪郭手術については、下顎角縮小と頬骨縮小が最も多く行われる二大術式であることが、海外の総説でも整理されています。つまり「顔が大きい」という訴えの多くは、この二つの部位の横幅に集約されるということ。私の実感とも一致します。

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上顔面の骨切り種類と適応

三方向から骨格のバランスを確認しながら輪郭治療の説明を受ける女性|リノクリニック東銀座

上顔面、つまり額からこめかみの領域は、「ハチが張る」「額の骨がゴツゴツしている」「眉の上が出て怖い印象に見える」といった悩みが中心です。この領域は骨切り(骨を切って移動させる)より、骨削り(骨の表面を削って形を整える)が主役になります。額の骨は内側に前頭洞という空洞があり、外板の厚みには限界があるため、削れる量は骨の厚み次第。ここは事前の画像評価が特に効いてきます。

眉の上の隆起(眉間から眉上の骨の張り出し)を減らすと、目元の影が取れて印象が柔らかくなります。顔の性別的な印象を整える手術では、上顔面の眉上の突出を減らし、鼻と額の角度を作り直すというアプローチが確立されており、術前CTで前頭洞の形や眼窩上の神経の出口を確認しておくことが計画上の要点とされています。私も、上顔面を触る手術では術前に骨の厚みを必ず数値で把握してから臨みます。

一方で、上顔面だけを変えても「小顔になった」という満足は得られにくい。これは経験上はっきり言えます。顔の大きさの体感は、正面の最大幅(頬骨)と下半分の輪郭(エラと顎先)にほぼ支配されているからです。ハチの張りが気になる方でも、まず中顔面・下顔面のバランスを見せてから判断していただくことが多いです。

中顔面の骨切り種類と頬骨縮小

中顔面は「顔の横幅が広い」「頬骨が出て面長に見える」「口元が前に出ている(口ゴボ)」「笑うと歯茎が見える」といった悩みの舞台です。ここには大きく二系統の術式があります。

頬骨縮小(頬骨体部+頬骨弓)

正面から見た顔幅を決めているのは、頬骨の本体(体部)と、そこから耳へ向かう頬骨弓です。頬骨縮小は、口の中と側頭部などの小さな切開から骨にアプローチし、体部をL字型に骨切りして内側へ移動、頬骨弓も内側へ寄せて固定します。動かす方向は「内方+やや後方」。これで両側の最大幅が数ミリ単位で減り、正面の印象が変わります。

ここで誤解が多いのですが、頬骨は「削る」だけでは幅はほとんど変わりません。骨の外側表面を削れる量はせいぜい数ミリで、しかも表面を削ると輪郭の稜線がぼやけて平坦な顔(のっぺり顔)になりやすい。私は幅を減らす目的なら、削るより骨切りして移動させる方が理にかなっていると考えています。固定が甘いと骨のずれや頬のたるみにつながるため、プレートでの確実な固定が前提です。

上顎の骨切り(ル・フォーI型骨切り)

上顎の骨を水平に切って位置を変えるのが、いわゆるル・フォーI型骨切りです。後方に下げれば口元の前突(口ゴボ)が改善し、上方に上げれば中顔面の縦の長さが短くなり、ガミースマイルにも対応できます。噛み合わせに直接関わるため、矯正歯科との連携が必須。骨切りの種類の中では最も計画性が問われる領域です。

近年は術前に三次元シミュレーションを行い、患者専用の切削ガイドや事前に曲げたプレートを用いる方法が、骨格性の噛み合わせ異常に対して術後の合併症が少なく精度が高かったと報告されています。デジタル計画の方法論をまとめた総説でも、噛み合わせを基準にする計画と輪郭を基準にする計画では適した手法が異なると整理されており、私も「噛み合わせが絡むなら咬合基準、純粋な輪郭なら左右対称性と稜線基準」という使い分けを意識しています。

下顔面の骨切り種類を比較する

「エラが張っている」「顎が長い」「しゃくれ・受け口」「Eラインが整わない」——問い合わせが最も多いのが、この下顔面です。ここは術式の数が多く、混同されやすいので整理します。

下顎角切除(エラ削り・エラ骨切り):下顎の後下方の角を、なだらかなカーブで切除します。角を点で落とすと二次的な角(二段エラ)ができるため、私は必ず下顎体部まで長く連続したラインで切ります。さらに正面の幅が気になる方には、下顎の外側の板(外板)を矢状方向に分割して薄くする方法を組み合わせます。前者は主に斜め・横顔、後者は正面の幅に効く。ここを説明せずに「エラを削ります」だけで済ませてしまうと、術後の満足度が下がります。

オトガイ形成(顎先):顎先を水平に骨切りして移動させます。前進させればEラインが整い、後退させれば出ている顎先が収まる。縦の長さを取りたい場合は骨を二本切って中間の骨片を抜き(短縮)、顎先の横幅を細くしたいときはT字型に骨切りして中央の骨を抜いて寄せます。「顎が長い」「顎が四角い」という悩みに直接対応できるのがこの術式です。

下顎枝の骨切り(両顎手術の下顎側):受け口やしゃくれ、噛み合わせのずれが主因の場合は、骨の形を整えるだけでは足りません。下顎全体を後方・上方に移動させる必要があり、下顎枝を矢状に割る方法(SSRO)と垂直に切る方法(IVRO)があります。両者を比較したランダム化比較試験では、下唇の感覚を担う下歯槽神経の障害や術後の顎関節の痛みは、垂直骨切りの方が少なかったと報告されています。どちらが万能ということはなく、移動量や方向、固定の必要性で選びます。

手術をしていて感じるのは、下顔面は「引き算」だけでは整わないということ。エラを落とし、顎先を短縮し、必要なら前進させる。この三つを立体的に組み合わせて初めて、いわゆるVラインの輪郭になります。ロボット支援による下顎輪郭手術の切削精度を検証した臨床試験も出てきていますが、現時点では術者が神経の位置と骨の厚みをどれだけ正確に把握できているかが結果を左右する、と私は思っています。

骨切り手術後のフェイスラインの変化を鏡で確認する女性の横顔|リノクリニック東銀座

骨切りの種類別の費用と回復目安

費用はあくまで参考価格としてお伝えします。頬骨縮小が100万〜150万円前後、下顎角切除が100万〜150万円前後、オトガイ形成が80万〜120万円前後、上下顎(両顎)手術は200万〜300万円前後が、東京の自由診療での一般的な目安です。範囲が広いのは、骨切りの範囲、麻酔、入院の有無、術前のCTやシミュレーションの内容で変わるためです。確定金額はカウンセリングでご案内します。

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回復のスケジュールは、術式が違っても大きな流れは共通です。腫れのピークは術後4〜5日。ここを越えると毎日目に見えて軽くなり、2週間で約7割、1ヶ月で約9割が引きます。早い方は術後数日で仕事に戻っていますし、マスクをしていればデスクワークは可能という方が多い。腫れを気にしすぎなければ、生活リズムはどんどん戻していい、と私はお伝えしています。

ここは当院の方針として、はっきり書いておきます。リノクリニック東銀座では、術後にフェイスバンドや包帯による圧迫固定を行いません。一般的にバンドを使うクリニックもありますが、私が使わない理由は三つ。圧迫すると血腫ができたときに発見が遅れること、口腔内やあご周りの手術では気道閉塞のリスクが高まること、そして何より早期からの開口訓練を優先したいからです。

代わりにお願いしているのは、頭を高くして過ごすこと(就寝時も枕を高めに)、しっかりご飯を食べること、そして早い段階から口を開ける訓練を始めること。この三つの方が、腫れの引きと機能回復には効きます。術後1週間の検診で「食事量が落ちています」という方は、やはり回復が一歩遅れる印象があります。栄養が足りないと骨も治りません。

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なお輪郭手術は形成・美容外科領域の中でも侵襲が大きい手術です。日本形成外科学会や日本美容外科学会(JSAPS/JSAS)でも骨格治療は継続的に議論されているテーマで、術前診断と術後管理の体制がそろっているかどうかを、施設選びの基準にしていただきたいと考えています。

骨切りの種類に関するよくある質問

Q. エラが張っているのですが、骨切りで小顔になれますか?

A. 下顎角の張りが原因であれば、下顎角切除や外板の処理で斜め顔・正面の幅の改善が期待できます。ただし咬筋の発達や脂肪、皮膚のたるみが主因のこともあります。診察とCTで「骨・筋肉・軟部組織」のどれが張りを作っているのかを切り分けてからご提案します。

Q. 顎が長くて面長に見えます。オトガイと両顎、どちらを選ぶべきですか?

A. 噛み合わせが安定していて、顎先の長さだけが気になる場合はオトガイの短縮で対応できることが多いです。受け口や口ゴボがあり噛み合わせもずれているなら、上下顎の移動が必要になります。骨格全体の縦横比と咬合を合わせて判断する領域です。

Q. 頬骨と下顎角を同時に手術することはできますか?

A. 同時手術は可能で、正面の幅を上下そろえて整えたい方には理にかなった選択です。一方で腫れの量と麻酔時間は増えます。私はご希望と骨格、ご都合を伺い、一度で行う場合と分けて行う場合のメリットを両方お話ししてから決めていただいています。

まとめ:骨切りの種類の選び方

  • 骨切りの種類は上顔面・中顔面・下顔面の三階層+「幅・長さ・前後」の移動方向で整理すると分かりやすい
  • 上顔面は額やハチの形(主に骨削り)、中顔面は頬骨縮小と上顎骨切り、下顔面は下顎角・オトガイ・下顎枝
  • 「顔が大きい」の正体が幅なのか長さなのかで、必要な術式は全く変わる
  • 噛み合わせが絡むなら上下顎、輪郭だけなら輪郭手術という切り分けが基本
  • 腫れはピークが術後4〜5日、2週間で7割、1ヶ月で9割が目安。当院は圧迫固定を行わず、開口訓練と栄養を優先します

効果には個人差があります。まずはご自身の骨格を画像で確認し、どの階層に手を入れるべきかを一緒に整理していきましょう。

東銀座で骨切りを相談できる当院

リノクリニック東銀座(東京都中央区)では、頬骨縮小、下顎角切除、オトガイ形成、上下顎手術といった輪郭・骨格治療を、外科専門医が術前診断から術後管理まで一貫して担当しています。銀座エリアで骨切りをご検討中の方は、CTを含む診察で無理のない計画をご提案します。初診のご予約はこちら(WEB予約24時間受付)。

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参考文献

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  2. Riordan E, Yung A, Cheng K, et al. Modeling Methods in Craniofacial Virtual Surgical Planning. J Craniofac Surg. 2023;34:1191-1198. PubMed / DOI
  3. Leung YY, Wang R, Wong NSM, et al. Surgical morbidities of sagittal split ramus osteotomy versus intraoral vertical ramus osteotomy for the correction of mandibular prognathism: a randomized clinical trial. Int J Oral Maxillofac Surg. 2021;50(7):933-939. PubMed / DOI
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監修者情報

宮﨑 邦夫

リノクリニック東銀座 院長

【資格・所属学会】
日本外科学会専門医 / 日本外科学会会員 / 日本形成外科学会会員 / 日本頭蓋顎顔面外科学会会員 / 日本美容外科学会会員

消化器外科・心臓血管外科・呼吸器外科・小児外科など外科研修ののち、外科専門医を取得。その後、形成外科で6年、美容外科で7年実績を積み、リノクリニック東銀座を開業、院長を務める。美容外科の技術は韓国や台湾、アメリカなどへ出向き、良質な技術を取り入れて日々の診療に生かしている。 2014年から在籍していた湘南美容クリニックでは指導医として若手美容外科医の教育にも尽力し、同院で行われた美容外科コンテストで2年連続ではグランプリを獲得。次の東京美容外科では骨切りメニューの立ち上げを行い、スタッフ教育にも尽力した。

監修日:2026.09.18

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