院長コラム
「顔が大きい」「エラが張っている」「顎が長くてバランスが悪い」といったお悩みをお持ちではありませんか。
Vライン形成を検討する中で、プロテーゼと骨切りのどちらが自分に合っているのか迷われる方は少なくありません。
ネット上にはさまざまな情報がありますが、「プロテーゼのほうが自然」「骨切りのほうがきれい」と単純に決められるものではありません。
東銀座のリノクリニックでは、外科専門医の院長が顔全体のバランスや骨格、顎先の位置、下顎角の張り、軟部組織などを確認しながら術式を検討しています。
この記事では、Vライン形成におけるプロテーゼと骨切りの違いを、仕上がり、適応、ダウンタイム、リスク、費用などの観点から比較します。
最後までお読みいただくことで、ご自身にはどの方向の治療が合っているのかを考える材料になると思います。
目次
この記事でわかること
- Vライン形成におけるプロテーゼと骨切り、それぞれの特徴と仕組み
- どのような骨格でプロテーゼ・骨切りを検討するのか
- 仕上がり、ダウンタイム、リスク、費用の違い
- 術式を選ぶときに私が重視しているポイント
Vライン形成とは?プロテーゼと骨切りの違い
Vライン形成とは、正面から見た下顔面をすっきり見せたり、顎先からフェイスラインまでのバランスを整えたりする輪郭形成の考え方です。
「ベース顔で横幅が気になる」「顎が長くて面長に見える」「顎が引っ込んで横顔のバランスが悪い」など、悩みの原因によって必要な治療は異なります。
まず大きく分けて考えたいのが、顎先に人工物を追加する方法と、骨そのものの位置や形を変える方法です。
顎プロテーゼは、シリコンなどの人工物を顎先に挿入し、主に前方への突出や輪郭を補う方法です。
一方、骨性オトガイ形成では、顎先の骨を切って前後・上下・左右へ移動したり、幅や長さを調整したりします。
また、エラや下顔面の横幅が問題になっている場合には、下顎角形成や外板切除など、顎先とは別の手術が必要になることがあります。
つまり、「Vライン形成=プロテーゼか骨切りの二択」ではありません。
まず、どの部分が顔全体のバランスに影響しているのかを見極める必要があります。
私は、術式を先に決めるのではなく、骨格の分析から始めるべきだと考えています。
顎プロテーゼで自然に見えやすいのはどんな人?

顎プロテーゼは、顎先の前方への突出が不足している方や、顎先の輪郭を補いたい方で検討される方法です。
骨そのものを切らずに顎先の形を変えられることが特徴です。
ただし、プロテーゼで変えられるのは主に「足りない部分を足す」方向です。
顎が長すぎる、左右差が大きい、顎先を上方へ移動したい、横幅を狭めたいといった場合には、人工物を追加するだけでは対応しにくいことがあります。
プロテーゼのメリット
プロテーゼは、骨切りを行わずに顎の突出や輪郭を調整できることが大きな特徴です。
骨性オトガイ形成と比較すると、手術範囲が小さくなる場合があり、希望する変化が比較的シンプルな方では選択肢になります。
また、人工物を使用するため、抜去や入れ替えが可能という点も特徴です。
プロテーゼで注意したいこと
プロテーゼは、サイズや形が骨格に合っていないと、顎先だけが強調されて見えたり、左右差や輪郭の不自然さにつながったりする可能性があります。
そのため、正面だけでなく、横顔や斜めから見たときのバランスまで確認して選ぶ必要があります。
また、人工物を使用する治療であるため、感染、位置ずれ、輪郭が触れてわかる、創離開、抜去や再手術が必要になる可能性などがあります。
顎プロテーゼによる下顎骨の骨吸収も、長期的な合併症の一つとして報告されています。
ただし、すべての方に骨吸収が起こるという意味ではありません。
私は、単に「顎を何ミリ出すか」ではなく、顔全体のバランスの中でどの程度の突出が自然なのかを見ることを重視しています。
骨切りによるVライン形成とは
骨切りでは、顎先の骨そのものを移動したり、エラや下顎骨の形を調整したりします。
代表的なのが、オトガイ骨切りです。
顎先の骨を切り、前方へ出す、後方へ下げる、上方へ移動して短くする、左右差を調整する、幅を狭めるなど、目的に合わせて骨の位置を変えます。
さらに、エラの張りや下顔面の横幅が気になる場合には、下顎角形成や外板切除などを組み合わせることがあります。
骨切りのメリット
骨性オトガイ形成の大きな特徴は、「骨を足す」のではなく、もともとの骨を移動できることです。
そのため、顎先を前方へ出すだけでなく、短くする、後ろへ下げる、左右差を調整する、幅を変えるといった複数方向の調整が可能です。
これは、プロテーゼでは難しい部分です。
近年の系統的レビューでは、顎プロテーゼと骨性オトガイ形成はいずれも高い患者満足度が報告されていますが、骨性オトガイ形成では骨の移動に対する軟部組織の変化が比較的予測しやすいとする報告があります。
ただし、「骨切りだから必ず自然」という意味ではありません。
移動量や方向が顔全体のバランスと合っていなければ、不自然に見える可能性があります。
骨切りのリスク
骨切りでは、腫れ、内出血、出血、感染、左右差、骨癒合の問題、プレートやスクリューに関する問題などが起こる可能性があります。
特にオトガイ周囲にはオトガイ神経があるため、一時的なしびれや知覚低下が生じることがあります。
多くは経過とともに改善しますが、知覚変化が長く残る可能性もゼロではありません。
そのため、見た目の変化だけでなく、神経や歯根との位置関係を含めた術前評価が重要です。
プロテーゼと骨切り、どちらが自然?

結論から言うと、「どちらが自然か」は術式だけでは決まりません。
その人の骨格に合った方法を選べているかが最も重要です。
顎先の前方への突出だけを少し補えばバランスが整う方であれば、プロテーゼでも自然な仕上がりを目指せます。
一方、顎の長さ、上下方向の位置、左右差、幅まで変える必要がある場合には、骨切りのほうが設計の自由度は高くなります。
また、「Vライン」と言っても、顎先だけが問題とは限りません。
下顎角が張っている方に顎プロテーゼだけを入れても、正面から見た顔幅はほとんど変わりません。
逆に、下顎角を削る必要がない方までエラの手術を追加すると、必要以上に顔の印象が変わることがあります。
私は、まず患者さんがどの角度の顔を一番気にしているのかを確認します。
正面なのか、横顔なのか、斜めなのか。
そのうえで、顎先の位置、下顎角、顔幅、軟部組織、咬み合わせなどを見て術式を決めます。
プロテーゼを検討しやすいケース
- 顎先の前方への突出が不足している
- 顎の長さや左右差を大きく変える必要がない
- エラや下顎骨の横幅が主な原因ではない
- 人工物を使用することについて理解している
骨切りを検討しやすいケース
- 顎先を短くしたい、長さを変えたい
- 顎先の左右差を調整したい
- 前後だけでなく上下方向や幅まで変えたい
- 下顎角や下顔面の骨格も含めて調整する必要がある
- 人工物を入れずに自身の骨で輪郭を変えたい
どちらにも適応と限界があります。
2025年の系統的レビューでも、顎プロテーゼと骨性オトガイ形成はいずれも有効な治療ですが、合併症の内容や適応範囲が異なるため、患者さんごとに選択すべきとされています。
プロテーゼと骨切りのダウンタイムの違い
一般的には、骨を切って移動・固定する骨切りのほうが、顎プロテーゼ単独より手術範囲が大きくなる傾向があります。
ただし、実際のダウンタイムは、手術範囲や移動量、複数の術式を組み合わせるかどうかによって変わります。
顎プロテーゼ
術後には腫れ、内出血、痛み、違和感などが出ることがあります。
口腔内から手術する場合には、口の中の創部管理も必要です。
見た目の腫れが比較的早く落ち着く方もいますが、仕事復帰の時期は腫れの程度や仕事内容によって異なります。
骨切り
骨切りでは、術後数日かけて腫れが強くなり、その後徐々に落ち着いていきます。
大きな腫れが落ち着いたあとも、むくみ、硬さ、しびれなどがしばらく残ることがあります。
最終的な輪郭を評価するまでには数か月単位で経過を見る必要があります。
当院では、術後の状態や手術内容を確認しながら、食事や開口訓練、日常生活への復帰についてご説明しています。
フェイスバンドなどの圧迫についても、術式や術後の状態に応じて管理方針を決めます。
「○日で必ず仕事復帰できる」「2週間で○割腫れが引く」と一律には言えないため、仕事や大切な予定がある場合には余裕を持ったスケジュールをおすすめしています。
Vライン形成の費用
費用は、顎プロテーゼ、オトガイ骨切り、下顎角形成、外板切除など、選択する術式によって大きく異なります。
また、麻酔料、術前検査、術後診察などが含まれているかどうかによっても総額は変わります。
当院での現在の料金については、料金表をご確認ください。
Vライン形成の術式を決める流れ
STEP 1|カウンセリング
まず、どの角度の顔が気になるのか、どのような変化を希望しているのかを確認します。
「小顔にしたい」という言葉だけでは、必要な手術は決まりません。
STEP 2|骨格・軟部組織を確認
顎先の位置、下顎角、左右差、顔幅、軟部組織、咬み合わせなどを確認します。
必要に応じて画像検査を行い、神経や歯根との位置関係も確認します。
STEP 3|術式を比較する
プロテーゼで希望する変化が得られるのか、骨切りが必要なのか、あるいは別の治療のほうが適しているのかを検討します。
メリットだけではなく、それぞれのリスク、ダウンタイム、将来的な再手術の可能性についても説明します。
STEP 4|手術・術後管理
手術方法に応じて麻酔や術後管理を行います。
骨切りの場合には、腫れや出血、神経症状、咬合なども確認しながら経過を診ます。
STEP 5|経過観察
輪郭手術は、手術直後の状態が完成形ではありません。
腫れや軟部組織の変化が落ち着くまで経過を確認しながら、最終的な仕上がりを評価します。
よくある質問
Q. 顎が引っ込んでいてEラインが整いません。プロテーゼで自然になりますか?
A. 顎先の前方への突出が不足していることが主な原因であれば、プロテーゼでバランスを整えられる可能性があります。
ただし、顎の長さ、上下顎の位置、口元の突出、咬み合わせなどによっては、顎先だけを前に出しても理想のバランスにならない場合があります。
そのため、横顔だけではなく顔全体を確認して判断します。
Q. エラが張っているベース顔ですが、Vライン形成で小顔になれますか?
A. エラの張りが下顎骨の形や厚みによるものであれば、下顎角形成や外板切除などを検討することがあります。
ただし、咬筋の発達や脂肪など、骨以外の要素が影響している場合もあります。
まず何が顔幅に影響しているのかを診断することが重要です。
Q. プロテーゼと骨切りを組み合わせることはありますか?
A. 症例によっては、複数の手術を組み合わせることがあります。
ただし、骨切りを行ったあとに必ずプロテーゼが必要になるわけではありません。
オトガイ骨切りだけで希望する位置や形を作れる場合もありますし、顎先より下顎角や軟部組織への治療を優先したほうがよい場合もあります。
必要な処置だけを選ぶことが重要です。
まとめ|Vライン形成はプロテーゼと骨切りのどちらが自然?
- Vライン形成は、顎先だけではなく下顎角や顔幅まで含めて考える必要がある
- 顎プロテーゼは、主に顎先の前方への突出や輪郭を補う方法
- 骨性オトガイ形成では、前後・上下・左右や幅など複数方向に骨を移動できる
- プロテーゼと骨切りはいずれも自然な仕上がりを目指せるが、適応とリスクが異なる
- 「骨切りのほうが必ず自然」「プロテーゼのほうが手軽だから良い」と一律には判断できない
- 顔全体の骨格、軟部組織、咬み合わせ、希望する変化を確認して術式を決めることが重要
Vライン形成でプロテーゼと骨切りのどちらが自分に合っているのか迷っている方は、まず「自分の顔を大きく見せている原因がどこにあるのか」を確認することから始めてください。
顎先だけなのか、エラなのか、下顎全体なのか。
原因が違えば、必要な手術も変わります。
効果や術後の経過には個人差があります。
当院のご案内
リノクリニック東銀座では、外科専門医の院長が骨切り・輪郭形成の診療を行っています。
Vライン形成では、プロテーゼ、オトガイ骨切り、下顎角形成など複数の選択肢から、骨格とご希望に合わせて治療方法を検討します。
「プロテーゼで十分なのか」「骨切りまで必要なのか」「自分の顔が大きく見える原因を知りたい」という段階でもご相談ください。
参考文献
- Kauke-Navarro M, Knoedler L, Allam O, et al. Implant-Based Chin Augmentation Vs Osseous Genioplasty: A Systematic Review of Indications and Outcomes. Aesthet Surg J Open Forum. 2025;7:ojaf048.
- Baus A, Rem K, Revol M, Cristofari S. Prosthetic genioplasty versus osseous genioplasty in aesthetic chin augmentation: Literature review and knowledge update. Ann Chir Plast Esthet. 2018;63(3):255-261.
- Osseous genioplasty versus chin implants: early complications and patient satisfaction. Int J Oral Maxillofac Surg. 2023.
- Lee S, Kim BK. Current concepts in genioplasty: surgical techniques, indications, and future perspectives. Arch Craniofac Surg. 2025.
- Mandibular Bone Resorption Following Chin Augmentation: A Systematic Review. Front Surg. 2022.
監修者情報

宮﨑 邦夫
リノクリニック東銀座 院長【資格・所属学会】
日本外科学会専門医 / 日本外科学会会員 / 日本形成外科学会会員 / 日本頭蓋顎顔面外科学会会員 / 日本美容外科学会会員
消化器外科・心臓血管外科・呼吸器外科・小児外科など外科研修ののち、外科専門医を取得。その後、形成外科で6年、美容外科で7年実績を積み、リノクリニック東銀座を開業、院長を務める。美容外科の技術は韓国や台湾、アメリカなどへ出向き、良質な技術を取り入れて日々の診療に生かしている。 2014年から在籍していた湘南美容クリニックでは指導医として若手美容外科医の教育にも尽力し、同院で行われた美容外科コンテストで2年連続ではグランプリを獲得。次の東京美容外科では骨切りメニューの立ち上げを行い、スタッフ教育にも尽力した。
監修日:2026.09.14



