院長コラム

骨切りの完全ガイド|適応・術式・費用・ダウンタイムを外科専門医が解説

写真に写った自分の顔が大きく見える。エラが張っていて、どんな髪型にしても輪郭が四角く見える。そんな相談を、東銀座の診察室でほとんど毎日のように受けています。結論から言うと、骨切りとは顔の骨そのものを削る・切る・動かすことで輪郭の土台を変える手術で、脂肪やたるみが原因の「顔の大きさ」には効きません。逆に、骨格由来の張り出しや長さは、骨を触らない限りどれだけ痩せても変わらないというのが現実です。だからこそ最初にやるべきなのは、自分の悩みが骨由来なのか、軟部組織由来なのかを画像で切り分けること。この記事では、適応・術式・費用・ダウンタイム・リスクまでを、手術をしている側の視点でまとめます。

【この記事でわかること】
・骨切りとは何をする手術で、どんな悩みに向いているのか
・エラ・頬骨・顎先・両顎の術式の違いと、自分に必要な手術の見極め方
・費用・入院・麻酔の目安と、保険が使えるケース
・腫れの経過と仕事復帰の時期、当院が圧迫固定を行わない理由

骨切りとは何をする手術か

骨切りとは、顔面の骨(下顎骨・頬骨・上顎骨など)を専用の器具で切離あるいは削り、形や位置を変える手術の総称です。皮膚や脂肪を扱う施術とは根本的に別物で、輪郭の「土台」を直接変えるのが特徴です。

申し遅れました。リノクリニック東銀座の院長、宮﨑 邦夫(日本外科学会認定 外科専門医)です。外科医として20年以上、顔面骨を含む手術に関わってきました。

カウンセリングでいちばん多い行き違いが、ここです。「顔が大きいので骨切りしたい」とおっしゃる方の顔を触診すると、実際には頬の脂肪とフェイスラインのたるみが主因で、骨の張り出しはそこまで強くない。こういうケースは珍しくありません。逆に、「痩せたのに横顔が変わらない」「正面からハチが張って見える」という訴えは、骨格の問題であることが多い。私が初診で必ず確認するのは、(1)正面の横幅がどの高さで最も広いか、(2)咬筋の厚み、(3)皮下脂肪の厚み、(4)噛み合わせ、の四点です。この四つを見ないまま「骨を削りましょう」と話を進めるのは、私はやるべきでないと考えています。

東アジア圏では、いわゆるベース型の四角い輪郭を気にして来院される方が多く、下顎角形成術や頬骨縮小術は定番の輪郭手術となっています。ただ、欧米の教科書的な基準をそのまま当てはめてもうまくいきません。日本人の骨格や軟部組織の厚みをしっかり踏まえた上で設計を行うこと。これが、私のカウンセリングにおける基本スタンスです。

なお、骨を切らずに輪郭を変える方法(ボトックスによる咬筋の縮小、脂肪吸引、糸によるリフトなど)もあります。骨の張り出しが軽度で、筋肉の肥大が主体なら、まず注射で様子を見る判断もありうる。手術ありきで考えない方がいい場面は、確かに存在します。

骨切りの部位別の術式と適応

カウンセリングルームで輪郭のCT画像を見ながら医師の説明を聞く女性患者|リノクリニック東銀座

部位ごとに目的がまったく違います。ざっくり言えば、横幅はエラと頬骨、縦の長さは顎先と上下顎、噛み合わせまで関わるなら両顎手術。この三層で整理すると分かりやすいでしょう。

エラ(下顎角形成術)

「エラが張っている」「正面から見て顔が四角い」という悩みに対する手術です。口の中から切開し、下顎角(えらの角)を曲線状に切除するロングカーブオステオトミーが代表的。角だけを切ると段差が出て不自然になるため、下顎縁へなめらかにつなげる設計が要になります。外板(骨の外側の層)を削るスプリットを加えると、正面の横幅にも効きます。術式は切離線の起点・終点・走行で違いが出る、と海外のレビューでも整理されていて、要するに「どの線で切るか」の設計がすべてだということです。

頬骨(頬骨縮小術)

「ハチが張る」「正面も横顔も顔が大きく見える」方の適応です。頬骨体部と頬骨弓を切離して内側へ移動し、固定します。骨を取るというより、外へ張り出した骨を内側へ寄せる手術だと考えてください。

顎先(オトガイ形成術)

顎が長い、逆に引っ込んでいる、Eラインが整わない、左右差がある。こうした悩みに対して、オトガイ部の骨を水平に切って前後・上下・左右に動かし、固定します。近年は3Dの術前バーチャルプランニングが広がっていて、従来法より精度が高く手術時間の短縮につながると報告されています。顎先は数ミリの移動で印象が変わる部位なので、設計の精度がそのまま結果に出ます。

両顎手術

受け口、しゃくれ、口ゴボ、噛み合わせが悪い——骨格そのものがずれている場合は、上顎(Le Fort I型骨切り)と下顎(下顎枝矢状分割術)を同時に動かす両顎手術の対象になります。咬合を扱う手術なので、矯正歯科との連携が前提。見た目だけの問題ではありません。

実際の仕上がりのイメージは症例を見ていただくのがいちばん早いと思います。 輪郭の症例写真を見る

骨切りの費用と入院の目安

骨切りは、部位・術式の組み合わせ・麻酔・入院の有無で費用が大きく変わります。単独の部位より、エラと顎先、頬骨とエラといった複合手術のほうが一般的です。国内の美容外科全体では、単独術式か複合かで数十万円から数百万円まで幅があるのが実情で、金額だけを並べて比較してもあまり意味がありません。

確認していただきたいのは、総額に何が含まれているかです。私が患者さんにお伝えしているのは、次の項目を必ず内訳で聞いてください、ということ。

STEP 1|術前検査(血液検査、心電図、胸部X線、3D-CTまたはセファロ撮影)が含まれるか

STEP 2|全身麻酔あるいは静脈麻酔の費用と、麻酔管理を誰が行うか
STEP 3|入院・宿泊の費用、術後1泊の管理体制があるか
STEP 4|術後の検診、抗菌薬・鎮痛薬、万一の再手術時の取り扱い

当院の確定金額はカウンセリングでご案内しています。料金の考え方はこちらでご確認ください。 施術の料金を確認する

保険について触れておきます。美容目的の輪郭手術は原則として全額自己負担ですが、顎変形症(骨格性の咬合異常)と診断され、厚生労働省の定める施設基準を満たした医療機関で、矯正歯科治療と組み合わせて行う顎矯正手術は保険診療の対象になります。受け口や噛み合わせの不具合が強い方は、まず「これは審美の問題なのか、機能の問題なのか」を切り分けるところから始めたほうがいい。見た目の相談のつもりで来院された方に、私から矯正歯科での精査をご提案することもあります。遠回りに見えて、結果的にはそのほうが近道になるケースがあるからです。

骨切り以外の選択肢も含めて検討したい方は、施術の全体像を眺めてみてください。 施術一覧を見る

骨切りの腫れはいつ引く?

術後の腫れが引いていく経過をイメージした女性の横顔のクローズアップ|リノクリニック東銀座

腫れのピークは術後4〜5日です。そこから徐々に落ち着き、2週間でおよそ7割、1か月で9割程度が引いていくというのが、私が日常の診療で見ている経過です。完全に最終形に近づくのは3〜6か月、骨の癒合と軟部組織の馴染みを含めれば1年かけて整っていきます。

あえて正直にお話ししますが、術後3〜5日目は「この腫れは本当に引くのだろうか」と不安になるピークの時期です。顔は腫れ、口も開きにくく、食事もままならない。ところが、術後1週間の抜糸・検診の頃になると、多くの患者さんが「昨日あたりから嘘みたいに楽になりました」と笑顔を見せてくれます。この数日間の山をどう乗り越えるかが、精神的なひとつの勝負どころです。だからこそ私は、術前のカウンセリングで必ず「4〜5日目が底になります」と先にお伝えするようにしています。

仕事復帰については、早い方で術後数日から戻られています。マスクをしていればデスクワークは可能という方が多い。人前に立つ職種や会食の多い方は2〜3週間みておくと安心でしょう。腫れを気にしないのであれば、生活リズムはどんどん戻していただいて構いません。

当院がフェイスバンドを使わない理由

一般的にはフェイスバンドで圧迫するクリニックもありますが、当院では圧迫固定を行っておりません。理由は三つあります。第一に、圧迫してしまうと血腫ができたときの発見が遅れること。第二に、顎周囲の腫脹に圧迫が重なると気道のリスクが上がること。第三に、早い段階から開口訓練を始めたいからです。顎の手術のあとは口が開きにくくなりますが、ここを放置すると開口障害が残りやすい。固定より、動かすほうを優先したいのです。

代わりにお願いしているのは、次の三つです。就寝時も含めて頭を高くして過ごすこと。痛くても、やわらかいものでいいのでしっかりご飯を食べること。そして、医師の指示に沿って早期から開口訓練を続けること。この三つを守った方のほうが、経過が良いと実感しています。

骨切りのリスクと安全対策

骨切りは美容医療のなかで最も侵襲の大きい手術のひとつです。起こりうる合併症を正しく知ったうえで判断してください。

代表的なものは、出血・血腫、感染、知覚神経の障害です。下顎の手術では下歯槽神経やオトガイ神経が走行する部位に近づくため、唇や顎先のしびれが出ることがあります。多くは数週間から数か月で回復していきますが、長引く例もゼロではありません。頬骨縮小術では、固定が不十分だと骨片のずれや、頬の軟部組織が下がることによるたるみが問題になります。左右差についても、もともと誰の顔にも非対称があるため、完全な左右対称を目指すのではなく「気にならない範囲へ寄せる」という考え方が現実的です。

きわめてまれですが、頬骨縮小術後の頭蓋内出血という重篤な合併症の報告もあります。海外のレビューでも、術式とアプローチの選択、骨切り時の器具操作が予防の鍵として論じられています。確率は非常に低い。ただし、こういう事象が存在すると知って手術に臨むのと、知らずに臨むのとでは、術中の慎重さが変わると私は思っています。

安全対策として私が重視しているのは、画像診断・麻酔・術後管理を一続きの流れとして設計することです。術前には3D-CTで骨の厚みと神経管の走行を確認し、どこまで切れてどこから危険かを一例ごとに決めます。麻酔は気道の管理が核心で、顔面骨の手術では術後の腫脹による気道狭窄を想定した準備が欠かせません。そして術後は、圧迫で隠さずに顔を直接観察できる状態にしておく。この三点がそろって初めて、骨切りは「受けてよい手術」になると考えています。

骨切りを受ける前の判断基準

まず自分の悩みが骨由来かどうかを画像で確認すること。これが出発点です。順番に整理します。

STEP 1|悩みを言葉にする

「顔が大きい」なのか「横幅が広い」なのか「面長」なのか。正面が気になるのか横顔なのか。ここが曖昧なまま術式の名前から入ると、必要のない手術を選びかねません。

STEP 2|画像で原因を切り分ける

3D-CTやセファロ(頭部X線規格写真)で、骨の張り出し・顎の長さ・咬合を客観的に評価します。触診とあわせて、脂肪・筋肉・骨のどれが主因かを判定します。

STEP 3|手術以外の選択肢も並べる

咬筋肥大が主体ならボトックス、脂肪が主体なら脂肪吸引、たるみが主体ならリフト系。骨を切らずに済むなら、そのほうがいいに決まっています。

STEP 4|全身状態と生活スケジュールを確認する

全身麻酔に耐えられる状態か、採血と心電図で確認します。あわせて、術後2週間をどう過ごせるかを具体的に組み立てます。繁忙期の直前に手術を入れるのは、私はおすすめしません。

銀座エリアには輪郭手術を扱う医療機関が多く、迷われる方も多いでしょう。選ぶ基準として申し上げたいのは、術式の名前ではなく、画像診断から麻酔、術後の見守りまでを一人の医師が責任をもって設計しているかどうかです。中央区にある当院では、この流れを分断しないことを方針にしています。

【よくある質問】

Q. エラが張っているのですが、骨切りで小顔になれますか?

A. 骨由来の張り出しであれば、下顎角形成術で輪郭の幅は変えられます。ただし咬筋の肥大や皮下脂肪が主因の場合、骨を削っても期待した変化が出ません。触診と3D-CTで原因を切り分けたうえで、手術が必要かどうかをご説明します。

Q. 術後にフェイスバンドは必要ですか?

A. 当院ではフェイスバンドによる圧迫固定は行いません。血腫の早期発見と気道の安全確保、そして早期の開口訓練を優先するためです。代わりに、頭を高くして過ごすこと、しっかり食事を取ること、開口訓練を続けることをお願いしています。

Q. 骨切りの腫れはどれくらいで仕事に行けますか?

A. 早い方は術後数日で復帰しています。腫れのピークは4〜5日目で、2週間で約7割、1か月で約9割が引いていきます。マスクをしていればデスクワークは可能な方が多いですが、人前に出る仕事なら2〜3週間みておくと安心です。

Q. 受け口や噛み合わせの悪さも骨切りで治せますか?

A. 骨格性の顎変形症であれば、上下の顎を動かす両顎手術が適応になります。矯正歯科治療との併用が前提で、条件を満たせば保険診療の対象となる場合があります。まず診察で、審美の問題か機能の問題かを切り分けます。

Q. 顎が長くて面長に見えるのが悩みです。何の手術になりますか?

A. 顎先の縦の長さが原因なら、オトガイ形成術で短縮・前後移動が可能です。中顔面(鼻の下から口元)の間延びが主因なら別のアプローチになります。どこが長いのかは自己判断が難しいため、セファロ撮影で計測して判断します。

【まとめ】
・骨切りとは顔面の骨を切離・削除・移動して輪郭の土台を変える手術で、脂肪やたるみが原因の悩みには向かない
・エラは下顎角形成、横幅は頬骨縮小、縦の長さは顎先、咬合まで関わるなら両顎手術と、部位ごとに術式が分かれる
・腫れのピークは術後4〜5日、2週間で約7割、1か月で約9割が引き、早い方は数日で仕事に復帰している
・当院は血腫の早期発見・気道確保・開口訓練を優先し、フェイスバンドによる圧迫固定を行わない
・費用は術式の組み合わせと麻酔・入院の有無で変わるため、内訳の確認を。確定金額はカウンセリングでご案内します
・効果には個人差があります

顔が大きい、エラが張っている、横顔が気になる。その原因が骨なのかどうかは、画像を見れば多くの場合はっきりします。迷っている時間がもったいないので、まずは診察で現状を確認しにいらしてください。

【当院のご案内】
リノクリニック東銀座は、東京都中央区銀座3丁目11-13 松本銀座ビル9階(東銀座駅から徒歩3分)にあります。院長は宮﨑 邦夫(日本外科学会認定 外科専門医、外科経験20年以上)。骨切り・輪郭形成をはじめ、人中短縮などの顔面手術、婦人科形成、保険診療の腋臭症手術まで対応しています。画像診断から麻酔計画、術後の経過観察までを一つの流れとして設計し、手術前の不安にも時間をかけてお答えします。銀座・東京で骨切りをご検討の方は、お気軽にご相談ください。初診のご予約はこちら(WEB予約24時間受付)。

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参考文献

  1. Xie Z, Bai X, Guo Z, et al. Mandibular angle osteotomy in Asian patients: A narrative review on techniques, emerging technologies, and personalized surgical strategies. JPRAS Open. 2026;51:230-247. PubMed / DOI
  2. Kim MS. Intracranial Hemorrhage After Reduction Malarplasty: A Narrative Review Focusing on Surgical Technique. J Clin Med. 2026;15(14). PubMed / DOI
  3. Illarramendi IZ, Cariati P, Martínez-Sahuquillo Á, et al. Customized Genioplasty and Advantages of 3D Virtual Planning: An Updated Literature Review. Facial Plast Surg. 2025;41:517-523. PubMed / DOI
  4. Han MD, Kwon TG. Zygoma and Mandibular Angle Reduction: Contouring Surgery to Correct the Square Face in Asians. Oral Maxillofac Surg Clin North Am. 2023;35(1):83-96. PubMed / DOI
監修者情報

宮﨑 邦夫

リノクリニック東銀座 院長

【資格・所属学会】
日本外科学会専門医 / 日本外科学会会員 / 日本形成外科学会会員 / 日本頭蓋顎顔面外科学会会員 / 日本美容外科学会会員

消化器外科・心臓血管外科・呼吸器外科・小児外科など外科研修ののち、外科専門医を取得。その後、形成外科で6年、美容外科で7年実績を積み、リノクリニック東銀座を開業、院長を務める。美容外科の技術は韓国や台湾、アメリカなどへ出向き、良質な技術を取り入れて日々の診療に生かしている。 2014年から在籍していた湘南美容クリニックでは指導医として若手美容外科医の教育にも尽力し、同院で行われた美容外科コンテストで2年連続ではグランプリを獲得。次の東京美容外科では骨切りメニューの立ち上げを行い、スタッフ教育にも尽力した。

監修日:2026.10.16

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