院長コラム

Face-Driven Planningの実際|カウンセリングから治療計画ができるまで

「なりたい顔はあるけれど、うまく言葉にできない」
「希望を伝えたら、そのとおりに手術してもらえるの?」

結論から言うと、Face-Driven Planningのカウンセリングは、患者様の「本当の希望」を一緒に探し、それを安全に実現できる範囲と照らし合わせながら治療計画に落とし込む時間です。写真を見ながら対話してゴールの顔を共有し、そのゴールから骨の移動量を逆算し、骨の位置は顔で、歯の位置は噛み合わせで決めます。計画が1回で決まることは少なく、2〜3回のカウンセリングで詰めていくのが一般的です。

この記事は、院長の宮﨑 邦夫(日本外科学会認定 外科専門医)が、Face-Driven Planningシリーズの第3回として書いています。前回はなぜ「顔から考える」のかでした。

この記事でわかること

  • カウンセリングで最初に大切にしていること
  • 顔のゴールから治療計画をつくる具体的なステップ
  • 安全に動かせる範囲と、代わりの案の考え方
  • 「骨は顔で、歯は噛み合わせで決める」とはどういうことか

最初に知りたいのは「なりたい顔」

最初のカウンセリングで私がいちばん大切にしているのは、「この方はどんな顔になりたいのか」を理解することです。

当たり前に聞こえるかもしれませんが、これは想像以上に丁寧に聞く必要があります。

たとえば「あごを引っ込めたい」とおっしゃる方がいます。よくお話を伺うと、本当に気になっているのはあごではなく頬骨の張りだった、ということがあります。「Eラインを出したい」という希望も、下あごを下げるより上あごの出方を抑えたほうが自然に実現できるケースがあります。

ご自身でも、顔のどこをどう変えたいのかを正確に言葉にできていないことは珍しくありません。だからこそ、対話のなかで「本当はどうなりたいのか」を一緒に掘り下げていきます。これがFace-Driven Planningの出発点です。

治療計画ができるまでの流れ

Face-Driven Planningでは、次の順番で治療計画をつくります。

  • ステップ1 正面・横顔・斜めの写真を撮り、モニターで一緒に見ながら気になる部分と残したい部分を確認する
  • ステップ2 対話を通じて、顔貌のゴールを共有する
  • ステップ3 CTやセファロ分析で今の骨格の位置を把握する
  • ステップ4 ゴールの顔に近づけるための骨の移動量と方向を計算する
  • ステップ5 安全に動かせる範囲を確認し、必要に応じて代わりの案を検討する

ポイントは、セファロやCTのデータを使うのがステップ3以降だということです。データは「計画の出発点」ではなく、「ゴールを実現するための設計図」として使います。同じデータでも、使う順番が違うだけで計画の組み立て方が大きく変わります。

Face-Driven Planningの初診からシミュレーションまでの具体的な流れは、Face-Driven Planningの流れ|初診からシミュレーションまででも紹介しています。

希望どおりではなく安全の範囲で

Face-Driven Planningは、「患者様の希望をそのまま実現する」という意味ではありません。

神経の通り道、血管の位置、骨の厚み。こうした体の構造上の制約は、絶対に無視できません。ゴールの顔を共有したうえで、「どこまでなら安全に実現できるか」「どこに折り合いをつける必要があるか」を、データに基づいて話し合います。

私が心がけているのは、次のような説明です。

「目指す顔に近づけるために、安全な範囲でここまではできます。ここは体の構造上難しいので、こういう方法があります」

「数値がこうだから、こう動かします」という説明とは違います。こうして話し合うと、患者様が「先生に任せて結果を待つ」のではなく、「自分も設計に参加した」と感じていただけます。この話し合いの質が、治療の納得感を大きく左右すると考えています。

骨は顔で、歯は噛み合わせで

Face-Driven Planningの核心の一つが、「骨の位置は顔で決め、歯の位置は噛み合わせで決める」という考え方です。

顔のゴールを先に決めると、骨の移動量は顔から逆算されます。ただ、その位置では上下の歯がうまく噛み合わないこともあります。

そのときは矯正治療と組み合わせて解決します。顔のゴールに合わせた骨の位置に対して、上下の歯がきちんと噛み合う状態(Class Iの咬合)をつくる矯正計画を立てます。

  • 骨格の位置 → 顔貌のゴールから決める(外科が中心)
  • 歯の位置 → 噛み合わせから決める(矯正が中心)

すべてをセファロの数値ひとつで決めるのではなく、顔と噛み合わせを別々の層として考え、それぞれに最適な答えを出します。

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計画は2〜3回で詰めていく

実際のカウンセリングで、1回で計画が確定することはほとんどありません。

  • 1回目 ご希望を伺い、写真撮影とCT・セファロなどのデータを取得する
  • 2回目 シミュレーションを見ながら、ゴールと移動量をすり合わせる
  • 3回目 必要に応じて微調整する

時間はかかります。それでも、この過程を省くと、手術後に「思っていた顔と違う」という不満が生まれやすくなります。計画の段階で丁寧にゴールを共有することが、手術後の納得につながると考えています。

よくある質問

Q. なりたい顔をうまく説明できなくても大丈夫ですか?

A. 大丈夫です。多くの方が最初からはっきり言葉にできるわけではありません。写真を一緒に見ながら「ここが気になる」「ここはこのままでいい」とお話しいただくなかで、ゴールを一緒に整理していきます。

Q. 希望した顔に必ずなれますか?

A. お約束はできません。神経や血管の位置、骨の厚みなどで安全に動かせる範囲には限界があり、軟組織の変化にも個人差があります。安全な範囲でどこまで近づけられるか、難しい部分にはどんな代わりの方法があるかを、計画の段階でご説明します。

Q. 理想の顔の写真を持って行ってもいいですか?

A. 参考になるので歓迎します。ただし骨格や軟組織はお一人おひとり違うため、写真の方と同じ顔になることを目指すのではなく、「どの要素に惹かれているのか」を一緒に読み解くために使います。

まとめ

  • カウンセリングで最初に大切にするのは「本当はどんな顔になりたいのか」を一緒に掘り下げること
  • データは計画の出発点ではなく、ゴールを実現するための設計図として使う
  • 希望どおりではなく、安全に実現できる範囲と代わりの案を話し合う
  • 骨の位置は顔で、歯の位置は噛み合わせで決め、矯正治療と組み合わせる
  • 計画は2〜3回のカウンセリングで詰めていくのが一般的

次回は、Face-Driven PlanningとSurgery Firstの組み合わせについて書きます。Face-Driven PlanningとSurgery First

当院のご案内

リノクリニック東銀座は、東京都中央区銀座3丁目11-13 松本銀座ビル9階(東銀座駅から徒歩3分)にある美容外科・形成外科です。院長は宮﨑 邦夫(日本外科学会認定 外科専門医、外科経験20年以上)。両顎手術(OGS)・骨切り・輪郭形成について、顔貌のゴールを共有するカウンセリングから治療計画づくりまで、院長が担当しています。

監修者情報

宮﨑 邦夫

リノクリニック東銀座 院長

【資格・所属学会】
日本外科学会専門医 / 日本外科学会会員 / 日本形成外科学会会員 / 日本頭蓋顎顔面外科学会会員 / 日本美容外科学会会員

消化器外科・心臓血管外科・呼吸器外科・小児外科など外科研修ののち、外科専門医を取得。その後、形成外科で6年、美容外科で7年実績を積み、リノクリニック東銀座を開業、院長を務める。美容外科の技術は韓国や台湾、アメリカなどへ出向き、良質な技術を取り入れて日々の診療に生かしている。 2014年から在籍していた湘南美容クリニックでは指導医として若手美容外科医の教育にも尽力し、同院で行われた美容外科コンテストで2年連続ではグランプリを獲得。次の東京美容外科では骨切りメニューの立ち上げを行い、スタッフ教育にも尽力した。

監修日:2026.10.24

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